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治療が終了した後にーリンパ浮腫

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治療が終了した後にーリンパ浮腫

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翻訳更新:2013年9月13日

リンパ浮腫

リンパ浮腫では腕や脚にむくみが発生します。がんサバイバーの中には、がん治療のために行った外科手術や放射線照射の副作用としてリンパ浮腫を経験する人もいます。リンパ浮腫は早期に発見して治療すれば進行を予防でき、生活の質(QOL)の改善にも役立つでしょう。

 

症状をよく観察して主治医に知らせ、できるだけ早く治療を始められるようにしましょう。リンパ浮腫は身体的にも精神的にもサバイバーに大きな影響をもたらします。見た目や感染リスクの増大、身体機能の制限、痛みなどが心配になることもあるでしょう。何か気になることがあれば主治医と話し合いましょう。

 

リンパ浮腫の症状

 

リンパ液が体内に蓄積すると、腕、脚、体幹など各部にむくみを生じることがあります。症状およびむくみは短期間のみ出現することもあり、治療せずに消え、再び出現することもあります。何らかの症状に気づいたら、いつ生じたのか、そのとき何をしていたか、どんなことをすれば和らいだかといったことを書き留めておきましょう。場合によってはむくみが頻繁に出たり引いたりすることがあり、それは慢性リンパ浮腫の始まりかもしれません。早期発見と治療が非常に大切です。むくみが慢性化すると、症状を和らげられるだけで元には戻らなくなります。主な症状を次に示しますから定期的に身体のチェックをしましょう。

 

  • 影響を受けた半身の腕や脚、体幹にむくみが出る
  • 腕や脚が重く感じられる、または不快感がある
  • 手、手首、足首の柔軟性が失われる
  • 着衣困難
  • 指輪、腕時計、ブレスレットなどがきつい
  • 感染症が治癒しない、または同じ部位で感染を繰り返す
  • 皮膚のこわばり(むくみに気づく以前に感じることもあります)
  • 皮膚の圧痕浮腫(軽く押しただけでも指の痕が残るようなむくみ)

 

がんサバイバーにおけるリンパ浮腫のリスク

リンパ浮腫は、リンパ節やリンパ管に変化を加えるような治療を行った後に生じることがあります。治療が適切でなかったから生じるというわけではありません。感染症でもリンパ系にダメージを受けることがあります。感染症から身を守ることは非常に重要です。

 

一部のがん治療の副作用としてリンパ浮腫が生じることもあります。放射線照射はリンパ節を損傷することがあります。外科手術でリンパ節を完全に切除する必要に迫られるサバイバーもいるでしょう。腫瘍とその周辺組織を切除するために行う生検でリンパ管を傷つけたり、皮膚の傷口から細菌が体内に侵入することもあります。こういった変化がリンパ浮腫の原因となります。

 

リンパ浮腫は治療中に生じることもありますし、治療直後や、がん治療が終わって何年もたってから生じることもあります。リスクがいつまで続くかという正確な目安はないので、定期的に検査を受け、徴候があるかどうか調べることが重要です。リンパ浮腫が生じるかどうかは、受けた治療の種類や、その他の素因、治療に対する身体の反応などによります。

 

リンパ浮腫のリスク因子

  • 生検
  • 腫瘤摘出術
  • 単純乳房切除術
  • 腋窩リンパ節郭清をともなう胸筋温存乳房切除術
  • リンパ節の外科的切除
  • 外傷
  • 放射線照射
  • 感染症
  • リンパ構造およびリンパ機能の障害
  • リンパ節を採取したり腋窩リンパ節のリンパ液の流れを悪くするような外科手術や生検
  • 患者個人の素因やその他完全に解明されていない基礎的な要因

 

リンパ浮腫のリスクがあるがんの種類

  • 乳がん
  • 悪性黒色腫
  • 前立腺がん
  • 卵巣がんなどの婦人科がん
  • 頭頸部がん
  • 大腸がん
  • リンパ節の生検や郭清を要するがん
  • リンパ節への放射線治療

 

サバイバーにとってリンパ浮腫リスクとなりうる要因は他にもあります。重度の肥満、糖尿病にともなう投薬などもこれに入ります。しかし、これらの要因がリンパ浮腫のリスクを高めるのかどうか、どのように高めるのかについてはまだ研究が十分になされていません。あなたがこれらの要因に当てはまるのであれば医療チームと相談しましょう。

 

リンパ浮腫になるリスクを最小限にするには

リンパ浮腫になるリスクを下げるため、医療チームと別の治療法について話し合いましょう。リスクを最小限にする方法について質問し、治療法に関する理解を深めましょう。

 

  • 腕や手、指、胸、胴、脚などの少しのサイズの変化や、むくみ、その他の症状がないかチェックしましょう。何かに気づいたら医療チームに見てもらいましょう。
  • リンパ浮腫のリスクがあるほうの腕に注射をしたり指先穿刺、採血などをしないようにしましょう。他に選択肢がない場合は、注射または穿刺の部位を丁寧に消毒してから実施し、終了後は保護包帯で覆いましょう。注射や採血を行う人に、自分はリンパ浮腫のリスクがある患者であることを伝えておきましょう。
  • リスクのある腕で血圧測定を行わないようにしましょう。乳房または腋窩におよぶがんの治療を受けた場合は、血圧測定は反対側の腕で行いましょう。左右両側に処置を受けている場合、可能ならば大腿で血圧測定をしましょう。
  • 感染予防しましょう。リスクがある腕および脚の皮膚は清潔にして健康を保ちましょう。入浴後は保湿クリームやローション(Eucerin, Lymphoderm, Curelなど)でお手入れしましょう。乾燥はやさしく、でも十分に。
  • リスクのある腕や脚の血行が悪くならないようにしましょう。リンパ浮腫のリスクがある、または浮腫そのものがあるほうの腕や脚を、ときどき心臓より高い位置まで上げたり、適切な強さの運動を定期的に行ったりしましょう。
  • リンパ浮腫のリスクまたは浮腫そのものがある腕や脚で、抵抗力に反した強い繰り返し運動はしないようにしましょう。段階的に身体運動を再開または増加させる個人プログラムについて、主治医またはリンパ浮腫の専門医に相談しましょう。できれば反対側の腕や脚を使うか誰かに手伝ってもらいましょう。こする、押す、引くなどの活動は避けましょう。
  • 浮腫の生じた腕で重い物を持ち上げたり、腕に大きな力がかかったりしないようにしましょう。物を持ち上げるのは15ポンド(6.8kg)までにしましょう。
  • 現存するリンパ管を締め付けないようにしましょう。全乳房切除後に人工乳房を使用する場合は軽い素材のものを選ぶようにしましょう。リンパ浮腫がある、またはそのリスクがある指や腕へのアクセサリーはゆるやかなものにしましょう。ブラはワイヤーのあるものや、肩、胴、乳房の血液循環を妨げるようなものは使わず、浮腫のリスクまたは浮腫がある側には肩ごしのストラップを使わないようにしましょう。また、浮腫のリスクまたは浮腫がある腕で重いハンドバッグやかばんを持たないようにしましょう。
  • 浮腫のリスクまたは浮腫がある腕や脚に極端な体温の変化がないようにしましょう。入浴や食器洗いの際には体温の変化を十分にチェックしましょう。浮腫のある手足は異常な温度とならないよう、サウナや熱いお風呂には入らないようにしましょう。
  • リンパ浮腫のリスクまたは浮腫がある腕や脚に、打撲、切り傷、日焼けなどの熱傷、スポーツでの負傷、昆虫の刺咬、動物の咬傷やひっかき傷など、負傷する機会を最小限に抑えましょう。体を保護できる服を着用したり日焼け止めを使ったりしましょう。安全かみそりよりは電気かみそりを用いましょう。家事やガーデニングなど小さなけがのおそれがある作業をする場合は手袋をしてください。足を保護するため靴やスリッパをはきましょう。マニキュアやペディキュアを施してもらうときは、ネイルアーティストに特別な注意が必要であることを伝えましょう。けがをしてしまった場合は、腫れ、発赤、疼痛、熱感、発熱など感染症の徴候に気をつけましょう。
  • 運動プログラムは安全なものを作りましょう。運動プログラムを始める前に、医療チームのメンバーに相談しましょう。リスクのある方の腕や脚にむくみや不快感、うずき、痛みなどの徴候があれば主治医に診てもらいましょう。横になって手足を持ち上げるべきか尋ねてください。ウオーキング、水泳、軽いエアロビクス、自転車のほか、特別に作ったバレエやヨガなどの運動をあなた個人に合わせた運動プログラムに組み入れるとよいでしょう。
  • 飛行機に乗るときは特に注意してください。すでにリンパ浮腫がある場合はぴったりフィットする弾性スリーブや弾性ストッキングを身につけましょう。フライト時間が長い場合は包帯も追加して必要となるかもしれません。フライト中は飲み物を多めに摂りましょう。ただし、お酒や塩分の多いものは避けます。旅行前にリンパ浮腫の専門医にリンパ浮腫のリスクがある腕や脚についてアドバイスを求めましょう。重たい荷物は一人で持たずに誰かに手伝ってもらいましょう。定期的に腕や脚の運動をし、深呼吸の練習もしておきましょう。

 

リンパ浮腫の治療法

リンパ浮腫は効果的な治療により管理可能ですが、完全に治癒するわけではありません。しかし、むくみが少しでも生じた時点で早期診断し治療すればリンパ浮腫の慢性化を防止できると考えられています。どの治療があなたにとってベストなのか主治医に尋ねてみましょう。

 

リンパ浮腫の治療法

治療法の詳細

弾性包帯および弾性着衣

  • ぴったりフィットした弾性着衣で日中のむくみを和らげます。
  • 就寝時に弾性着衣または弾性包帯、もしくは両方を着用し、夜間のむくみを和らげます。
  • 腕や脚のむくみを減らす集中治療中は、通常、特別な多層構造の包帯を24時間ずっと巻いておきます。
  • 就寝時の包帯は浮腫コントロールの自己管理法として続けることもあります。

運動

  • 弾性着衣をしているときは、医療関係者の指導のもと毎日運動を行い、むくみがおさまるのを助けます。
  • 疲労やむくみの悪化を防ぐため過度の運動は避けます。

スキンケア

  • 皮膚を保湿し肌荒れから防護することで感染症を防ぎます。感染症は手や脚のむくみを増悪し、命にかかわるような全身感染症に至ることもあります。

健康的な食事

  • バランスのよい食事で健康的な体重を維持しましょう。
  • 水分を維持しましょう。
  • リンパ液にはタンパク質が多いとはいえ、食事におけるタンパク制限は行わないことが推奨されます。

用手リンパドレナージ

  • リンパ浮腫治療の訓練を受けた医療関係者が特別な手技を実施し、その後患者が自己管理できるように研修します。
  • このソフトな「マッサージ」技術によりリンパ系を刺激し、むくみなどの症状をやわらげます。

 

参考文献

International Society of Lymphology. “The diagnosis and treatment of peripheral lymphedema: Consensus document of the International Society of Lymphology.” Lymphology 36 (2003): 84-91.

 

HayesSC, Reul-Hirche H, Turner J. “Exercise and secondary lymphedema: safety, potential benefits, and research issues.” School of Public Health, Institute of Health and Biomedical Innovation, Queensland University of Technology, Brisbane, Queensland, Australia. Med Sci Sports Exerc. 2009 Mar; 41(3): 483-9.

 

Schmitz, KH. “Balancing lymphedema risk: exercise versus deconditioning for breast cancer survivors.” University of Pennsylvania School of Medicine, Abramson Cancer, Philadelphia, 19104-6021, United States. Exercise Sprt Sci Rev 2010 Jan; 38(1): 17:24.

 

Ridner SH. “Breast cancer lymphedema: pathophysiology and risk reduction guidelines.” Oncology Nursing Forum29(9) (Oct. 2002): 1285-93.

 

National Lymphedema Network Position Papers online: http://www.lymphnet.org/lymphedemaFAQs/positionPapers.htm

 

Lymphedema Risk Reduction Practices – National Lymphedema Network http://www.lymphnet.org/pdfDocs/nlnriskreduction.pdf

 

 

原文ページへ

■  ‘ジャパン・フォー・リブストロング’(Japan for LiveSTRONG)のサイト

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橋本仁 訳

廣田裕 (呼吸器外科、腫瘍学 とみます外科プライマリーケアクリニック)監修

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