血液検査による腎臓癌治療選択/デューク大学医療センター | 海外がん医療情報リファレンス

血液検査による腎臓癌治療選択/デューク大学医療センター

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

血液検査による腎臓癌治療選択/デューク大学医療センター

2012年8月13日
デューク医療ニュースおよびコミニュケーションズ発表

デュークがん研究所の医師らによると、血液中で容易に検出される酵素により、ある特定の治療法が進行腎臓癌患者にどの程度効果があるのかを予測できる可能性がある。

この知見により進行腎臓癌患者への最善の治療を決定する血液検査が初めて出現する可能性があると、2012年8月13日(月)付Journal of Clinical Oncology誌オンライン版で掲載された。

「私たちが進行腎臓癌患者の役に立つだろうとわかっている治療法に患者を導くことができれば、治療が大きく前進することになるだろう」とDuke研究所の内科と外科で準教授をつとめ、本試験の筆頭著者であるAndrew Armstrong医師(ScM)は述べた。「それと同時に、その治療が効かないであろう患者は、QOLを低下させる副作用をもつ治療レジメンから免れることになるだろう」

この初期の結果を追加的試験で確認できれば、本知見は、米国で増え続けている疾患に対する治療法を変える可能性がある。米国国立癌研究所は、今年米国において、65,000人が腎臓癌になり、約14,000人が腎臓癌で死亡すると推定している。

デュークがん研究所のArmstrong医師らは、ほぼ全ての体細胞内に存在し、食物をエネルギーに変換する役割を持つ乳酸脱水素酵素(LDH)という酵素に注目した。細胞死または細胞損傷時に、細胞はLDHを放出する。そこで、血液検査時のLDH上昇を利用して、癌、組織損傷およびその他疾患を特定することが長い間行われてきた。

腎臓癌において、高LDHは、高悪性度であることのリスク因子と考えられており、腫瘍の進行を示す。最近の研究によると、高LDHは、癌の増殖につながる重要な遺伝子変異の活性化も示している可能性があると示唆されている。

これら癌遺伝子経路の1つは、哺乳類ラパマイシン標的タンパク、すなわちmTORの影響を受ける。mTOR阻害剤と呼ばれる薬剤はその経路を阻害するように作用する。mTOR阻害剤として知られるテムシロリムスを調べた国際共同第III相試験で、当時は治験薬であったテムシロリムスが、癌が全身に広がっている腎臓癌患者の寿命を延長し、また典型的には予後不良とされる高LDHの患者にさえ効果があった。

デュークがん研究所の研究者らは、これらの結果に興味を持ち、試験データを用いて高LDHがただの進行腎臓癌の予後予測ツールではなく、mTOR阻害剤の有効性の予測にも利用できる可能性があるかを調べた。Armstrong医師らは、その試験の被験者404人を対象に転帰を解析した。被験者は約半数が標準療法であるインターフェロンαの投与を受け、残りの半分は米国食品医薬品局(FDA)が腎臓癌治療に承認したテムシロリムスの投与を受けた。

LDH値は全被験者を対象に試験開始時に測定された。実施した解析の中で、デュークがん研究所チームが見出したことは、試験開始時に高LDHであると、mTOR阻害剤の投与を受けた被験者の方が、高LDHでインターフェロンαの投与を受けた被験者よりも有意に生存期間が延長したということであった。高LDHで、標準治療を受けた患者の生存期間の中央値は4.2ヶ月であるのに対して、高LDHでテムシロリムスの投与を受けた患者の生存期間の中央値は6.9ヶ月であった。投与開始から6ヶ月の時点で、高LDHでインターフェロンαの投与を受けた患者は39.5%しか生存してないのに対して、高LDHでテムシロリムスの投与を受けた患者は53.7%生存していた。投与開始から12ヶ月の時点での生存率は、テムシロリムス群で34.3%、インターフェロンα群で12.7%であった。

試験開始時に低LDHであった場合は、投与された薬剤による生存率の差はほとんどみられず、mTOR阻害剤投与群では中央値が11.7ヶ月、インターフェロンα投与群では中央値が10.4ヶ月であった。

「これは、期待が高まる知見です。」Armstrong医師は述べた。「例えば、乳癌については、HER-2発現を検査しその結果に応じて、効果的な治療を提供することが可能です。腎臓癌も同様のバイオマーカーを持つことで、患者を最善の治療法に導くことが可能になります。それは大きな前進です。」

Armstrong医師は、本知見を検証し、またLDHが他の癌を標的にした別の薬の効果も予測できるのかを判断するために追加試験が必要であると述べた。

Armstrong医師に加えて、Daniel J. George医師およびSusanHalabi博士は、研究共著者である。本試験は、テムシロリムスを販売しているPfizer社により資金提供を受けている。Armstrong医師およびGeorge医師は、Pfizer社およびNovartis社より講演料および研究支援を受けている。

******
舛田理恵 訳
野長瀬祥兼(社会保険紀南病院)監修
******

原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3がんに対する標的光免疫療法の進展
  4. 4「ケモブレイン」およびがん治療後の認知機能障害の理解
  5. 5若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  6. 6BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  7. 7治療が終了した後に-認知機能の変化
  8. 8ASCO、がん臨床試験に対する適格基準の緩和を推奨
  9. 9コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  10. 10ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず

お勧め出版物

一覧

arrow_upward