関節リウマチへの生物学的療法は発癌リスク増加と関連しないことが判明/MDアンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

関節リウマチへの生物学的療法は発癌リスク増加と関連しないことが判明/MDアンダーソンがんセンター

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関節リウマチへの生物学的療法は発癌リスク増加と関連しないことが判明/MDアンダーソンがんセンター

最大規模の系統的レビューにより、患者へ使用可能な薬剤の最新情報を提供
MDアンダーソンがんセンター
2012年9月4日

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの新しい研究によると、過去10年間に開発された関節リウマチ治療を目的とする生物学的製剤は、従来の薬剤と比較して発癌リスク増加と関連がみられなかった。

Journal of the American Medical Association (JAMA)誌で発表された今回の研究は、腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤など、既に承認されている生体応答調節剤(BRMs)を投与された関節リウマチ患者における、悪性腫瘍発生リスクを評価する最大規模の系統的レビューである。2005年以降、TNF阻害剤がある種の悪性腫瘍発生リスクの増加に関連することが、相反するデータによって示されている。小児および思春期小児の自然発症性リンパ腫の増加に伴い、現在、FDA警告表示には全TNF阻害剤に対し悪性腫瘍の危険性が記載されている。

「今回の結果に、生物学的製剤の使用を考える患者は安心するでしょう」と、統括著者であるMDアンダーソン一般内科Maria E. Suarez-Almazor教授は話す。「治療法が発癌リスクに関係するとなれば患者が心配するのも無理はありません。今回の知見を基に、臨床医はBRMsの有益性がそのリスクをはるかに上回ることを効果的に説明することができます。」

関節リウマチは人口の約1%に発症し、著しい罹患率、関節変形、生活の質の低下を引き起こす可能性がある。従来の関節リウマチ治療薬には、メトトレキサートなどの抗リウマチ薬(DMARDs)や抗炎症薬がある。

BRMsは、DMARDsによる一次治療が奏効しなかった場合の二次治療薬として処方される。BRMsは、免疫系と関節に存在する細胞上の分子、および、関節内で分泌される産生物を標的とする薬剤であり、標的となる物質はすべて炎症や関節破壊を引き起こす可能性がある。患者の25~56%が治療でBRMsを投与されるが、この治療法は免疫系に干渉するため、発癌リスクに対する懸念が高い。

MDアンダーソンの内科専門医チームの中で、癌患者の癌以外の医学的問題の治療に取り組んでいる研究者らは、コクラン共同計画を利用して、63のランダム化比較試験から成人患者29,423人の結果を解析した。グループとして、現在、FDAの承認を受けているBRMs全9製剤の安全性を、プラセボ群または従来のDMARD群とで比較し、経過観察を6カ月以上行った関節リウマチ患者のみを対象としている試験を選択した。コクラン・コレクションとは、世界中のランダム化比較試験の記録を最も数多く保有している独立した非営利組織である。

本研究では、BRMsによる治療を受けた患者を他の薬物療法を受けた患者と比較すると、いかなる種類の癌発生リスクにおいても統計的に有意な増加は見られなかった。解析を行った試験で、211人の患者が試験期間中に悪性腫瘍を発症した。対照群とBRM療法群との間で癌発症患者数に有意差はみられなかった。

「長期的リスクがないかどうか確かめるために、観察研究をさらに検証する必要がありますが、こうした新しい作用機序の薬物療法に伴う発癌リスクを全体として理解する上で一歩前進したと言えます」とSuarez-Almazor氏は話す。「今回の結果により、患者と臨床医は関節リウマチの治療について十分な情報に基づいた判断を下すことができます。」

Suarez-Almazor氏のほか、本研究に携わった研究者は以下のとおりである。

Maria A. Lopez-Olivo, M.D., and Jean H. Tayar, M.D., of the Department of General Internal Medicine at MD Anderson; Stephanie Fulton, MSIS, executive director of the Research Medical Library at MD Anderson; Juan A. Martinez-Lopez, M.D., of the Spanish Society of Rheumatology; Eduardo N. Pollono, M.D., of Texas Tech University Health Science Center; Jose Polo Cueto, M.D., of Manati Medical Center (Manati, Puerto Rico); and M. Rosa Gonzales-Crespo, M.D., of the Hospital 12 de Octubre (Madrid, Spain).


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山田登志子 訳
須藤智久(薬学/国立がん研究センター東病院 臨床開発センター)監修
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原文


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