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遺伝子の発見により急性骨髄性白血病治療の改善に期待/アルバート・アインシュタイン医科大学

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遺伝子の発見により急性骨髄性白血病治療の改善に期待/アルバート・アインシュタイン医科大学

2012年8月13日(ニューヨーク州、ブロンクス)

 イェシーバー大学付属アルバート・アインシュタイン医科大学の研究者らは、マウスと人間を対象とし、症例が少なく致死的となることが多い癌である急性骨髄性白血病(AML)の患者に、新たな治療選択肢をもたらす可能性のある発見をした。研究結果は本日、Cancer Cell誌電子版に掲載された。

 アルバート・アインシュタイン医科大学の細胞生物学・医学の准教授であり今回の論文の統括著者であるUlrich Steidl博士は、「私たちは、急性骨髄性白血病のマウスモデルで、白血病幹細胞においてHLXと呼ばれる遺伝子が異常に高いレベルで発現していることを発見しました」と述べている。(遺伝子発現とは、ある遺伝子がコードの対象とする分子を合成するためのプロセスであり、“過剰発現”した遺伝子は、異常に多い量の遺伝子産物を生産する。)

 米国国立癌研究所によれば、254人に1人が生存中に急性骨髄性白血病の診断を受けると見込まれ、そのほとんどは診断から数年以内に死亡する。過去数十年間において、急性骨髄性白血病患者の生存率はほとんど改善していない。

 Steidl博士と共同研究者らは、マウスにおいて、HLX遺伝子が過剰に発現することで造血幹細胞が機能不全となり、それが正常な白血球細胞へと分化できない異常な前駆細胞(生物学上の祖先)の生成を引き起こしていることを発見した。代わりに、未熟で異常な白血球細胞が、自らを複製していた。

 研究者らは、354人の急性骨髄性白血病患者から収集したHLX発現データの分析により、87%の患者において、健康な人と比べHLXの過剰発現が認められることを突き止めた。さらに、601人というより大きな患者集団においても、HLXの発現が高い患者では、その発現度合が高いほど患者の生存率は低下していた。

 重要なことに、Steidl博士のチームが急性骨髄性白血病のマウスモデルと患者からそれぞれ取り出した急性骨髄性白血病細胞のHLX発現を『ノックダウン(破壊)』する実験技術を使用したところ、マウスとヒトの両方において白血病細胞の増殖が大きく抑制された。また、マウスとヒトの急性骨髄性白血病細胞のHLX発現を研究者がノックダウン(破壊)し、それら両方の癌細胞を健康なマウスに移植したところ、何もしていない急性骨髄性白血病細胞を移植したマウスに比べ生存期間が大幅に長くなった。

 これらの研究結果は、HLXの過剰発現を標的とすることが急性骨髄性白血病の治療における有望な新戦略であることを示唆している。

 「HLXが急性骨髄性白血病における白血球の過剰生成の鍵となる要因であることは明らかです。我々の研究はまだ初期段階ですが、急性骨髄性白血病治療や、可能であれば他の種類の癌の治療も改善するため、HLXまたはHLXが影響する分子構造を標的とし不活性化する新薬の開発に期待しています。」とSteidl博士は述べている。アルバート・アインシュタイン医科大学はこの研究に関する特許を申請した。HLX技術のライセンス供与は利用可能である。

 研究グループの論文タイトルは“H2.0-like homeobox (HLX)による造血早期の制御および急性骨髄性白血病の促進(H2.0-like homeobox (HLX) regulates early hematopoiesis and promotes acute myeloid leukemia.)”である。著者にはDiane and Arthur B. Belfer Faculty Scholar in Cancer Research の一人でもあるSteidl博士の他、アインシュタイン医科大学のAshley Pandolfi、 Boris Bartholdy、 Laura Barreyro、Britta Will、Michael Roth、Ujunwa C. Okoye-Okafor、Tihomira I. Todorovaの各氏がいる。また、他の研究協力者としては、Masahiro Kawahara (京都大学、京都府、日本)、Maria FigueroaおよびAri Melnick(ウェイル・コーネル医科大学、ニューヨーク州、ニューヨーク)、Constantine S. Mitsiades(ハーバード大学医学部ダナ・ファーバー癌研究所、マサチューセッツ州、ボストン)の各氏がいる。本研究は米国国立衛生研究所の米国国立癌研究所(CA131503) におけるニューヨーク州幹細胞科学プログラム(NYSTEM)の白血病研究基金(Leukemia Research Foundation)、および天使ガブリエル癌研究財団(Gabrielle’s Angel Foundation for Cancer Research)の助成を受けて行われた。

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寺澤多恵 訳
吉原 哲 (血液内科/造血幹細胞移植) 監修
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原文

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