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マンモグラフィ乳腺高密度、乳癌の死亡リスク増加に関与せず

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マンモグラフィ乳腺高密度、乳癌の死亡リスク増加に関与せず

NCIプレスリリース

2012年8月20日

米国国立衛生研究所に属する米国国立癌研究所(NCI)のGretchen L. Gierach 博士が指揮した研究によれば、マンモグラフィ乳腺高密度は乳癌発症リスク増加を示すマーカーであるが、乳癌患者の死亡リスクを高めることはないようである。この研究は、NCIが資金提供する乳癌サーベイランス・コンソーシアム(BCSC: Breast Cancer Surveillance Consortium)の臨床試験医師らと共同で行われた。

乳癌の確定診断を受けた女性9,000人以上について調べた結果、マンモグラフィ乳腺高密度は、乳癌による死亡、あるいはあらゆる複合原因による死亡のリスクと関連性はなかった。この研究は、2012年8月20日付Journal of the National Cancer Institute誌に掲載された。

マンモグラフィ乳腺密度は、マンモグラフィ画像に映し出される乳房の組織組成を反映する。マンモグラフィ高密度は、X線で広範囲に白く映る。乳腺組織と結合組織は合わせて線維性乳腺組織と呼ばれ、脂肪組織よりはるかにX線通過を遮断する。このため、線維性乳腺組織の比率が高い乳房は、マンモグラフィ画像で高密度と表現される。大半の女性の場合、正常な老化過程で線維性乳腺組織が徐々に脂肪組織と入れ替わるため、マンモグラフィ乳腺密度は加齢とともに低くなる。

マンモグラフィ乳腺高密度は乳癌発症に関して確定されたリスク因子であるが、本研究以前は、乳腺密度が乳癌女性患者の死亡リスクとも関連があるかどうかは不明であった。この問題に対して、研究者らはBCSCのデータ、すなわち米国内の乳房画像診断施設の集団ベース登録簿を分析した。研究に当たり、肥満度指数(BMI)データを一貫して収集していた5種類のBCSC登録簿に限定して分析を行った。BMIは乳腺密度に反比例する乳癌予後不良因子であるため、乳腺密度と乳癌による死亡との相関性に影響を及ぼす可能性があると考えられたからである。

今回の研究対象は、主として1996年1月から2005年12月までの間に30歳以上で乳癌と診断された患者である。平均6.6年間にわたる患者追跡調査の結果、死亡者数1,795人のうち乳癌による死亡は889人、その他の原因による死亡は810人であった。研究者らは乳腺密度分析の手段として、現在、臨床で最も広く利用されている乳腺密度基準である乳腺画像報告データシステム・スコアを用いた。このスコアは、放射線科医がマンモグラフィ画像を視覚的に精査して決定する。腫瘍の性質のほか、個人の健康因子に関するデータも分析した。乳腺密度以外の健康因子および腫瘍の性質を加味した上で、マンモグラフィ密度を分析した結果、乳腺密度の高い乳癌患者は乳腺密度の低い患者と比較して乳癌による死亡リスクが高いわけではないことが判明した。マンモグラフィ乳腺密度と乳癌による死亡との間に関連性がないことは、この関連性について調べた以前の小規模研究の結果とも一致する。

さらに今回の研究から、特定のサブグループ、特に肥満の乳癌患者においては乳腺密度が低いと乳癌による死亡リスクが増加することも判明した。著者らは、一部のサブグループにおいて乳腺低密度に伴いリスクが増加することについて、脂肪比率の高い乳房が癌の増殖および進行を促す腫瘍微小環境となるためではないかと推察する。

「全体的に見ると、マンモグラフィ乳腺高密度は乳癌の最も強力なリスク因子の一つであるものの、乳癌患者の乳癌をはじめ、いかなる原因による死亡リスクとも関連性がないことが分かって安心した」とGierach博士は話す。「今回の研究では、乳腺低密度が予後不良を伴う一部の乳癌女性患者を特定できたことから、乳腺密度を左右する生物学的諸要素の理解を深める必要性が浮き彫りになった。」

デジタル・マンモグラフィ、高密度乳房の課題に関する放射線科医とのインタビューは、以下のサイトでご覧いただけます。http://benchmarks.cancer.gov/2012/08/zuurbier-discusses-digital-mammography-and-dense-breasts/

(キャプション)デジタル・マンモグラフィ画像で高密度乳房を精査し、癌の可能性のある個所を示すSibley Memorial HospitalのRebecca Zuurbier医師

原文

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山田登志子 翻訳
原 文堅(乳癌/四国がんセンター) 監修
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