2つの薬剤が腎臓癌、乳癌に有効性を示す/メイヨークリニック | 海外がん医療情報リファレンス

2つの薬剤が腎臓癌、乳癌に有効性を示す/メイヨークリニック

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

2つの薬剤が腎臓癌、乳癌に有効性を示す/メイヨークリニック

2012年7月31日(火)

フロリダ州、ジャクソンビル
トリプルネガティブ乳癌(エストロゲン受容体(ER)陰性、プロゲステロン受容体(PgR)陰性、HER2陰性)や最も多くみられる腎臓癌である腎明細胞癌の2つの致死的な転移性癌の治療に効果を示す可能性のある新たな治療法がフロリダ州のMayoクリニックの研究者によって発見された。

Molecular Cancer Therapeutics誌のオンライン版において、ロミデプシン(romidepsin)とデシタビン(decitabine)の2つの薬剤が互いに作用し、これらの癌で発現が抑制されている強力な癌抑制遺伝子を活性化させることが報告された。薬物が使用された後に、Secreted Frizzled Related Protein one(sFRP1)遺伝子がひとたび活性化すると、実験室の腫瘍細胞は成長を止め、死滅した。

両薬剤は血液癌の治療を適用として米国食品医薬品局に承認されており、さらに現在、sFRP1が機能していない多くの固形癌を対象に個々に試験が進行中である。本研究はsFRP1が関連するこれらの転移性癌において、両薬剤の併用を評価した最初の試験であり、結果はとても有望である、とMayoクリニックの分子生物学者であり上級研究者のJohn Copland博士は述べた。

「われわれは現在、2つの薬剤耐性癌や将来的にはより多くの種類の腫瘍を対象とする有効な治療法の提供を目的とした臨床試験の基盤を得ている」とCopland氏は述べた。sFRP1は乳癌や腎臓癌の他、大腸、卵巣、肺、肝臓やその他の種類の癌でも抑制されている。

Copland氏とその同僚は以前にsFRP1が特定の癌で抑制されていることを発見した。今回の新しい研究は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるロミデプシンとメチル基転移酵素阻害剤であるデシタビンによりその発現が回復することを実証した。両薬剤は活性化あるいは不活化されるかで遺伝子に機能変化をもたらすエピジェネティックな薬剤である。

「単独ではそれぞれの薬剤はいかなる細胞死も誘導しなかったが、併用した場合、研究所で評価したすべての異なる種類の腎臓癌やトリプルネガティブ乳癌の細胞株を死滅させた」とMayoクリニックの腎臓癌を専門とする分子生物学者で筆頭研究者のSimon Cooper博士は述べた。

毎年最大8万人ものアメリカ人がこの2つの癌に侵されており、特にこれらの癌が進行性である場合、その治療法はかなり限定される、とMayoクリニック癌センターの副院長であり共著者のEdith Perez医学博士は述べた。

「しかし今、われわれは将来の治療にとても有望な手がかりを得ただけでなく、もしこの併用治療が期待通りに効果を示した場合、どの患者に最も治療が役立つかを評価できるバイオマーカーを得ることにもなるだろう」と彼女は述べた。「言い換えると、生検により、sFRP1機能を失っている腫瘍を有する患者を特定することが可能ということ。」

この将来性のある新しい治療法を見つけるためのアプローチはこれまでにないものである、と腫瘍学者であり、研究の共著者でもあるMichael Menefee医学博士は追述した。

「科学的な意義だけでなく、薬剤がすでに臨床で使用されておりトランスレーショナル(探索医療)の努力は促進されるため、この種の総合的な前臨床の研究努力は重要であり、そして進行性悪性腫瘍患者における前臨床での知見の確認につながる」と彼は述べた。

研究に携わった他の共著者はChristina A. von Roemeling氏、Kylie H. Jang氏、Laura A. Marlow理学修士、Stefan K. Grebe医学博士、Han W. Tun医学博士、Gerardo Colon-Otero医学博士である。

本研究は米国国立衛生研究所、the David & Lois Stulberg Endowed Fund for Kidney Cancer Research、the Breast Cancer Research Foundation、James C. and Sarah K. Kennedy Mayo Clinic Research Career Development Award for Clinicians、The Brenda E. and Roger S. Luca Family Endowment at The Tallahassee Memorial HealthCare Foundation、RITA Foundation (Research Is The Answer)、Scheidel Foundation、rant for rare cancers from Dr. Ellis and Dona Bruntonからの補助金により一部資金提供を受けている。

******
下野龍太郎 訳
峯野知子(高崎健康福祉大学薬学部 准教授)監修
******
原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3卵巣がんの起源部位は卵管であることが示唆される
  4. 4若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  5. 5コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  6. 6がん領域におけるシームレス臨床試験数が近年増加
  7. 7アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  8. 8治療が終了した後に-認知機能の変化
  9. 9ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  10. 10乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害

お勧め出版物

一覧

arrow_upward