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ビタミンD受容体遺伝子の変異マーカーが膵癌患者の全生存期間延長と関連/米国癌学会

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ビタミンD受容体遺伝子の変異マーカーが膵癌患者の全生存期間延長と関連/米国癌学会

2012年6月19日

  • ビタミンD受容体遺伝子の変異が全生存期間延長と関連
  • In vitroアッセイでは変異遺伝子によりビタミンD受容体の発現レベルが上昇
  • 研究により、ビタミンD経路が病勢進行に与える影響に再び脚光

ネバダ州レイクタホ発 ― 6月18日から21日に当地で開催された米国癌学会の「Pancreatic Cancer: Progress and Challenges(膵癌:進歩と挑戦)」カンファレンスでの発表によると、ビタミンD受容体の発現増加と関連する遺伝子マーカーを有する膵癌患者では全生存率が高いという。

「今回の知見を受け、われわれは膵癌におけるビタミンD経路の役割にもう一度着目すべきでしょう。なぜなら、癌患者の生存に影響を与える可能性があるからです」。ノースカロライナ大学チャペルヒル校薬学部の薬学准教授Federico Innocenti医師・医学博士はこう述べた。

以前の研究でInnocenti氏らは、進行性膵癌に対し2種の治療法を検討したCALGB 80303試験というランダム化第3相臨床試験の参加者365人から事前にDNAを採取している。このDNAサンプルを用いて全ゲノム関連解析(GWAS)を行い、患者転帰と関連する一塩基多型(SNP)と呼ばれる遺伝子変異の同定を行った。そして今回の新試験では、全生存期間ともっとも強い関連があるとすでに示されている300種のSNPについて、メイヨークリニックで治療中の進行性膵癌に罹患したヨーロッパ系患者408人を対象に全生存期間との関連を調査した。

種々のSNPのうち、CALGB 80303試験に参加した患者とメイヨークリニックで治療を受けた患者の全生存期間に対する影響が共通していたのがビタミンD受容体をコードする遺伝子のSNPであった。VDR遺伝子に存在するこのrs2853564と呼ばれるSNPは全生存期間の延長と関連していた。

VDR遺伝子にrs2853564が2コピー存在する患者の全生存期間中央値は、メイヨークリニックの患者群で10.5か月、CALGB 80303試験の患者群で8.9か月であった。1コピーを持つ患者の生存期間中央値はメイヨークリニックの患者群で8.34か月、CALGB 80303試験の患者群で5.9か月であった。この変異型対立遺伝子を持たない患者の全生存期間中央値は、メイヨークリニックの患者群で6.6か月、CALGB 80303試験の患者群で4.7か月であった。

Innocenti氏は本研究の結果がただちに臨床に応用されるものではないとしているが、ビタミンDの生物学と膵癌の関連について新しい情報をもたらすものと確信している。

本研究は米国国立癌研究所(NCI)、米国国立衛生研究所(NIH)およびノースカロライナ大学チャペルヒル校の資金提供を受けている。

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