小児ホジキンリンパ腫治療における放射線使用削減への進展/聖ジュード小児研究病院 | 海外がん医療情報リファレンス

小児ホジキンリンパ腫治療における放射線使用削減への進展/聖ジュード小児研究病院

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小児ホジキンリンパ腫治療における放射線使用削減への進展/聖ジュード小児研究病院

聖ジュード小児研究病院の研究者らによる試験では、重篤な副作用の可能性を減らしながら、予後良好群のホジキンリンパ腫若年患者において、高い治癒率を維持することに成功している。

テネシー州メンフィス、2012年6月26日

初期ホジキンリンパ腫若年患者のほぼ半数は、後に二次癌、不妊、心臓や他の疾患へのリスクを残す放射線治療、強化化学療法のいずれも受けずに治癒させ得ることが多施設試験によって示された。

聖ジュード小児研究病院の研究者らが、広範な疾患や、体重減少、発熱、寝汗などの症状がない小児ホジキンリンパ腫患者を対象としたこの多施設研究を行った。その調査結果によって、より少ない放射線での効果的な癌治療が可能な、より進行した疾患を持つ患者を特定するための努力に拍車がかかるだろう。

「この研究により、強度を弱めた化学療法レジメンにより治療された患者においても、放射線治療を行わなくても、優れた長期生存を達成し得るという証拠が加わる」と聖ジュード腫瘍部門の準会員であるMonika Metzger医師は述べた。彼女はこの研究の筆頭著者また責任著者でもあり、それはthe Journal of the American Medical Association誌の6月27日版で発表されている。

「これらの結果は、できるだけ多くの患者において放射線治療を行わないことを目標に、患者の持つ疾患の危険因子や治療に対する早期反応に応じて治療法をさらに適合させるための努力を後押しするのに役立つだろう」と彼女は述べた。Metzger医師は、調査結果は、同様に限局性疾患を持ち、強化化学療法により耐えられない高齢のホジキンリンパ腫患者も、本研究で使用した最小限の治療法の対象となりうるという可能性を示していると述べた。

何十年もの間、放射線治療は、小児または、成人ホジキンリンパ腫治療に不可欠なものであった。小児患者においては、放射線治療と化学療法は、予後良好群患者の長期生存率を90%以上に押し上げるのに役立ってきた。しかし、放射線治療によって、患者は、その後、二次癌やその他の重篤な疾患にかかりやすくなる。 1990年代まで、放射線治療なしに治癒することができる患者を識別するための本格的な作業が進められていた。

ホジキンリンパ腫は、毎年850人から900人の小児および青年で見つかり、すべての小児癌の推定6%を占める。この疾患はリンパ系を襲い、そこには、リンパ節、扁桃および他の免疫システムの構成要素が含まれている。

この研究は、病変部位が3カ所未満のリンパ節領域と周囲の組織に留まっていた患者88人に関して行われた。どの患者からも、発熱、体重減少や増悪した結果につながる​​他の症状の報告はなかった。若年ホジキンリンパ腫患者の約3分の1は、この予後良好群に分類される。患者らは、2000年3月から2008年12月の間、聖ジュード小児研究病院、スタンフォード大学メディカルセンター、ボストンのダナファーバー癌研究所とマサチューセッツ総合病院、およびポートランドのメイン医療センターで治療された。患者1人が早い段階で参加を取りやめ、結果には含まれなかった。

すべての患者は、薬剤ビンブラスチン、アドリアマイシン、メトトレキサート、プレドニゾン、またVAMPとして知られている多剤併用の化学療法を4回受けた。ホジキンリンパ腫を治療するために使用されるいくつかの他の化学療法剤とは異なり、これらの薬剤はいずれも二次癌や不妊につながらない。ひとつ、アドリアマイシンのみ心臓の損傷につながる可能性がある薬剤群に属するが、それは(本試験で投与された量より)はるかに高い累積用量でのことである。

放射線治療は、2回の化学療法後に、腫瘍が少なくとも75%縮小していない患者のために推奨されていた。これらの患者は、腫瘍と周囲の組織に25.5グレイの低線量照射を受けていた。

化学療法に対して良好な初期反応の患者については、放射線治療を行わなくても、診断後2年、5年における生存に与える影響はない。これらの患者は、(最初2回の)化学療法後の治療効果が部分的であったために放射線治療を受けた患者に比べて劣っているということはなかった。少なくとも5年間のフォローを受けたすべての患者は初期治療にかかわらず、生存を続けていた。

5年生存者の88%以上が無再発であり、これは両治療群で同等であった。

放射線での初期治療をしていない5人を含む11人の患者に癌が再発した。その再発は、化学療法と低線量照射でうまく治療できた。初期治療で放射線治療を受けた患者のうち4人が、再発時に高用量の化学療法および骨髄移植を受けた。1人の患者は、初期治療よりもさらに強化した化学療法や放射線治療による治療が成功し、骨髄移植は受けなかった。別の患者は、非ホジキンリンパ腫として知られているリンパ腫の形で再発した。治療にもかかわらず、後に患者はその疾患で死亡した。

Metzger医師は、調査結果によると、ホジキンリンパ腫患者の部分群については、この治療法が適切でないかもしれないことが示唆されると述べた。それは、結節性リンパ球優位型ホジキンの患者群である。化学療法のみの群で再発した5人の患者のうち4人が、この亜型だった。

著者は他に、マサチューセッツ総合病院のHoward Weinstein、Alison Friedmann、Torunn YockそしてNancy Tarbell、聖ジュード小児研究病院のMelissa Hudson、Scott Howard、 Matthew Krasin、Larry Kun、Catherine BillupsそしてJianrong Wu、ダナ·ファーバー癌研究所のAmy BillettとKaren Marcus、メイン医療センターのEric Larsen、スタンフォード大学メディカルセンターのSarah DonaldsonとMichael Linkである。

この研究は、米国国立衛生研究所とALSACの米国国立癌研究所からのがんセンターサポート助成金(CA021765)によって一部賄われた。

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伊藤実花 訳
吉原 哲 (血液内科/造血幹細胞移植) 監修
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原文

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