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NIH開発ツールが抗癌剤とその標的遺伝子との整合性を容易にする

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NIH開発ツールが抗癌剤とその標的遺伝子との整合性を容易にする

NCIプレスリリース

2012年7月16日

数千の薬剤と、膨大な収集量のゲノム情報のデータとを比較する能力が飛躍的に改良されたウェブツールが研究者に提供されたので、その詳細について詳述する。種々の薬剤とそれぞれの標的遺伝子とを比較することで、研究者はさまざまな癌に対して効果のある薬剤を特定しやすくなる。

この最新のソフトウェアはCellMinerと呼ばれ、NCI-60に適応するために開発された。NCI-60とは、潜在的な抗癌剤テストを行うのに最もよく利用されている癌細胞サンプル集のひとつである。CellMinerは無料で利用でき、NCI-60で分類されている22,379個の遺伝子データ、および過去に分析された20,503種類の化合物データ(米国食品医薬品局に承認された102の医薬品を含む)に素早くアクセスすることができる。

本研究成果は、米国国立衛生研究所(NIH; National Institutes of Health)傘下の米国国立癌研究所(NCI; National Cancer Institute)でCellMinerを開発した研究者らが執筆し、2012年7月16日付Cancer Research誌に掲載された。

「従来であれば、すべてのデータを調べるためにはバイオインフォマティクス(生命情報科学)チームを雇う必要があったのですが、こうしたツールがあれば、どの研究者でも、指先一つでデータベース全体を利用することができます」と、Yves Pommier医学博士(NCI癌研究センター)は説明する。「こうしたツールの存在によって、あらゆる医薬品と遺伝子との比較ができると同時に、薬剤反応も分析できるようになるのです」。

ゲノム塩基配列の決定とその分析は、バイオ医薬品にとってますます重要なものとなっている。しかし、それらは非常に漠然としたデータの組み合わせとなるため、研究者らはデータの意味に接近しても、それを比較する事を難しく感じることがある。新たな技術が登場し、より多くのデータが生み出されるにつれて、遺伝子と有望な医薬品との比較研究を容易にするためのツールが、これまでにも増して重要視されるだろう。新たなツール(http://discover.nci.nih.gov/cellminer)を利用すれば、薬物活性と遺伝子発現とのパターンを互いに比較できるだけでなく、他の興味深いパターンとの比較まで可能になる。CellMinerは、大量のゲノムデータおよび薬品データをインプットすることができ、遺伝子と薬物活性プロフィールの相関関係を予測し、統計的に有意な相関を特定することができる。このデータ統合機能は、他の方法よりも簡単で、速く、柔軟であり、他の集積データとともに使用することも可能である。

特定の医薬品について調査している研究者ならば、CellMinerを用いて、その医薬品に関する過去の実験データにアクセスし、他の医薬品およびさまざまな遺伝子プロフィールにどのように関連するのかを分析することができる。この研究事例として、研究者らは、治験化合物NSC732298を確認するため、過去の研究にある薬物活性レベルおよび遺伝子発現パターンを比較した。NSC732298は、現時点で大腸癌に対する試験は実施されていないが、CellMinerの遺伝子-薬剤マッチング(整合)によれば、この疾患の潜在的な治療法にもなり得る。同様にして、研究者らは、大腸癌で試されている第2の治験薬selumetinibが黒色腫にも有効な可能性があることを突き止めた。

「研究者らが、遺伝子の共制御や遺伝子発現の制御、遺伝子発現と癌との関連性を調べるために、このツールをどう使っていくのか楽しみです」と、Pommier氏は言う。

本件は、NCI癌研究センターおよび癌治療・診断部門の協力を得て、センター内プロジェクト番号ZIA BC 006150の下に実施されたものである。

画像キャプション上:NCI-60からの細胞株が培養された細胞プレート

画像キャプション下:CellMinerプログラムのスクリーンショット

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濱田 希 翻訳
高山吉永(分子生物学/北里大学医学部分子遺伝学・助教)監修
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原文

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