テキサス大学MDアンダーソンの研究から初期乳癌における血中循環腫瘍細胞の的中率が判明/MDアンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

テキサス大学MDアンダーソンの研究から初期乳癌における血中循環腫瘍細胞の的中率が判明/MDアンダーソンがんセンター

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

テキサス大学MDアンダーソンの研究から初期乳癌における血中循環腫瘍細胞の的中率が判明/MDアンダーソンがんセンター

転移性以外での有益性を示す最大規模の試験
MDアンダーソンがんセンター
2012年6月5日

ヒューストン - 血中循環腫瘍細胞(Circulating tumor cells:CTC)により転移性乳癌女性の再発・生存期間を予測できることが判っているが、今回、初期乳癌でも同様の的中率であることがテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究から示された。

本試験はLancet Oncologyで発表され、CTCのこの新たな的中率を示すものとしては初めてかつ最大規模のものであった。今回の結果を、どの初期乳癌患者に追加療法や補助療法が必要かを判定するのに応用できる可能性がある。

MDアンダーソンがんセンターの研究は、転移癌でのCTC的中率を解明する上で不可欠な役割を果たした。CTCの存在と数量の多さは、再発の早さおよび全生存率の低さと相関していた。CTCの的中度は、転移性の結腸癌と前立腺癌でも認められている。

研究者たちは初期癌患者に対する同様なCTC的中率を判定しようと長い間試みてきた、とMDアンダーソンがんセンターの外科腫瘍部門の教授であるAnthony Lucci医師は述べた。現行では、早期乳癌女性において、腋窩のリンパ節切除が予後を最善にする手段とされている。

「腫瘍切除、リンパ節摘出、全身療法により癌の所見が除去された非転移性乳癌患者は多数いるのですが、約2年後、それは再発が起こりやすい時期なのですが、そういった女性患者の25~35%で他の部位に転移が見つかるため、われわれはその理由をつきとめたかったのです」と試験の筆頭著者で主任臨床研究医師である、Lucci氏は述べた。「今回の試験で、循環血中の癌細胞を特定するによりそれが実際に再発予測因子なのかどうかを判定したいと思いました」。

今回の前向き研究のため、手術直前のステージⅠ、Ⅱ、ⅢのMDアンダーソンの患者302人から、採血および骨髄採取によりCTCが収集された。(本試験では血液から採取されたCTCについてのみ報告する。)血液採取前に化学療法を受けた患者はいなかった。両側乳癌であること、両側乳癌の診断後5年以内に発症した別の悪性腫瘍があることのいずれかまたは両方の条件を満たす患者は除外された。

CTCはVeridexセルサーチシステムを用いて測定された。研究者により、CTC測定結果と腫瘍特性(大きさ・グレード、エストロゲン・プロゲステロン・HER2の状態、リンパ節転移等)との相関性を吟味した。試験に登録された女性患者の平均年齢は54歳、追跡期間中央値は35カ月であった。73人(24%)に1個以上、29人(10%)に2個以上、16人(5%)に3個以上のCTCが検出された。

CTCが1個以上検出されることにより、無増悪生存期間(PFS)の短縮または早期再発、全生存率の全てを予測することができた。少なくとも1個のCTCが検出された73人の患者のうち11人(15%)に再発がみられたのに対し、CTCが検出されなかった229人のうち再発がみられたのは7人(3%)であった。

CTC数の増加は、PFSや全生存率の低下と相関性がみられた。2年後のPFS率は、CTCが検出されなかった女性患者で98%であったのに対し、CTCが1個以上、2個以上、3個以上検出された患者では、それぞれ、87%、79%、69%であった。2年後の全生存率は、CTCが検出されなかった患者で99%だったの対し、1個以上、2個以上、3個以上検出された患者でそれぞれ94%、89%、81%であった。

「現在では、癌の所見がみられない非転移性乳癌患者のうち25%で血中循環腫瘍細胞を確実に検出できるようになり、そういった患者の再発または死亡のリスクは、循環血中にCTCがみられない患者に比べ約4倍高いということがわかりました」とLucci氏は述べた。

興味深いことに、腫瘍の大きさと他の原発腫瘍特性のどちらからもCTCの存在を正確に予測することはできなかった、とLucci氏は続けた。

「試験の結果から、癌細胞はかなり初期の段階で原発腫瘍から遊離し、初期癌であっても危険な癌細胞を流出させる可能性があることが判っています。われわれの次に焦点をあてる研究領域は、どの腫瘍細胞が別の場所に転移し、どの細胞が原発腫瘍部位以外では生存しないかを特定することです」とLucci氏は述べた。

今回の研究では、まだ治療法の改変には至っていない。また、彼および研究チームの計画では、CTCを追加療法の指標とできるどうかを判定するため、個々のCTC上にあるマーカーに目を向けている。

MDアンダーソンでの本試験全てに関する共著者は以下の通りである:
Carolyn S. Hall博士、教授であるAshutosh K. Lodhi医師、 Anirban Bhattacharyya医師、Amber E. Anderson氏、准教授であるIsabelle Bedrosian医師、教授であるHenry Kuerer博士, 以上全員外科腫瘍部門、ならびに生物統計学部門のLianchun, Xiao氏、病理学部門のSavitri Krishnamurthy医師。

本研究は以下の資金援助を受けた:
The Society of Surgical Oncology Clinician Investigator Award、The Morgan Welch Inflammatory Breast Cancer Program、The institute for Personalized Cancer Therapy and the State of Texas Rare and Aggressive Breast Cancer Research Program.

***********
木下秀文 訳
佐々木亜衣子 校正
上野 直人(乳癌、幹細胞移植・細胞療法/MDアンダーソンがんセンター)監修
************


原文


printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3卵巣がんの起源部位は卵管であることが示唆される
  4. 4若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  5. 5コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  6. 6がん領域におけるシームレス臨床試験数が近年増加
  7. 7アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  8. 8治療が終了した後に-認知機能の変化
  9. 9ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  10. 10乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害

お勧め出版物

一覧

arrow_upward