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多発性骨髄腫で奏効性に優れ、副作用の少ない薬剤/M.D.アンダーソンがんセンター

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多発性骨髄腫で奏効性に優れ、副作用の少ない薬剤/M.D.アンダーソンがんセンター

Carfilzomib(カーフィルゾミブ)が患者の45%に寛解を誘導、神経障害を軽減
M.D.アンダーソンがんセンター
2009年12月7日

多発性骨髄腫患者を対象とした第2相試験で、第2世代プロテアソーム阻害剤であるcarfilzomib(カーフィルゾミブ)が顕著な奏効率を示し、かつ副作用発生率が低かったことが、本日行われた第51回米国血液学会年次総会において報告された。

17の施設で行われたこの試験の最新データは、第1世代プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブによる治療歴がなく、それ以外の1〜3種類の前治療歴を有する、再発性あるいは難治性多発性骨髄腫患者が対象とされた。

M.D.アンダーソンリンパ腫/骨髄腫学科(Department of Lymphoma/Myeloma)で准教授を務めるMichael Wang医師は「多発性骨髄腫の患者さんにとって、このような知見はまさに進歩です」と述べている。「多発性骨髄腫とは完治不可能で、非常に厳しい結末を迎える困難な病気なのです」。

またWang氏は「新薬は平均余命を延ばす一方で、重篤な神経障害を含む副作用を伴うことが多いのです。カーフィルゾミブは奏効率が良好で、副作用において改善がみられます」という。神経障害とは末梢神経の疼痛あるいは麻痺であり、治療中止を余儀なくするほど患者を衰弱させることもある。

米国癌協会によると、今年米国内で多発性骨髄腫の診断を受ける患者は20,000人以上になるという。また、血液癌の一種であるこの病気で命を落とす患者は10,000人を超えるとみられている。

他の薬剤より忍容性が良好

前臨床試験においてカーフィルゾミブは、数日連続した投薬および治療が長期間可能で、ボルテゾミブよりも忍容性が良好であることが示された。双方とも、細胞内で変異タンパク質あるいは損傷タンパク質を分解するプロテアソームを標的として作用する薬剤である。この分解過程を阻害することで細胞死を誘導する。カーフィルゾミブがプロテアソームを標的とし結合する機序はボルテゾミブのそれとは異なる。

以前に研究者らはカーフィルゾミブが、ボルテゾミブ治療後に再発した患者よりも、ボルテゾミブ治療歴のない患者に対して高い奏効率を示すことを認めている。

試験にはボルテゾミブ未投与の患者57人が登録し、56人がカーフィルゾミブの投与を1回以上受けた。患者には、アルキル化剤、幹細胞移植、サリドマイド、レナリドマイドおよびアントラサイクリン系抗癌剤などによる治療歴があった。また、前治療の結果さまざまな副作用を発症しており、21人(37%)に神経障害、12人(21%)に腎機能の低下があった。診断後、平均経過年数は4年であった。

奏効率は約5割

試験はカーフィルゾミブを28日ごと6日間静注投与、最大12サイクル実施した。今日までのところ、患者1人あたりの平均投与回数は30回である。12サイクルすべてを終えたのは5人、9サイクル以上を終えたのは5人である。17人が現在も試験を続けている。

評価可能な患者51人で奏効率は45%、そのうち完全寛解は1人、部分寛解は18人であった。やや有効であったのが9人、6週間以上にわたり病態の安定がみられたのが10人であった。新薬の併用投与療法にもかかわらず腫瘍が進行した患者に対する単剤投与レジメンとして、この結果は注目すべきものである。

「有害事象の多くは軽度であり、倦怠感、悪心および貧血などでした」とWang氏は述べている。神経障害の発生率は、評価可能患者51人のうち7人(12%)に減少した。投与量変更はほぼ不要であった。試験参加時に腎機能低下があった患者が、腎臓への副作用を理由に投与量を減らす必要はなかった。

本臨床試験は、カーフィルゾミブの開発元であるProteolix社による資金提供を受けている。Wang氏は同社から研究費および謝礼金を受けた。

Wang氏の他、共著者は以下の通りである。
Robert Orlowski, M.D., Ph.D., of M.D. Anderson’s Department of Lymphoma/Myeloma; David Siegel, M.D., Ph.D., Hackensack University Medical Center, Hackensack, N.J.; Jonathan Kaufman, M.D., Winship Cancer Institute-Hematology and Medical Oncology, Emory University School of Medicine, Atlanta; A. Keith Stewart, M.D., Mayo Clinic, Scottsdale, Ariz.; Andrzej Jakubowiak, M.D., Ph.D., Hematology/Oncology, University of Michigan Comprehensive Cancer Center; Melissa Alsina, M.D., Hematologic Malignancies Program, H. Lee Moffitt Cancer Center, Tampa; Vishal Kukreti, M.D., Princess Margaret Hospital, Toronto; Nizar Bahlis, M.D., Department of Hematology, Medicine, University of Calgary; Kevin McDonagh, M.D., University of Kentucky Markey Cancer Center; Andrew Belch, M.D., Cross Cancer Institute, Edmonton, Albert, Canada; Michael Sebag, M.D., Ph.D., Division of Hematology, Royal Victoria Hospital, Montreal; Nashat Gabrail, M.D., Gabrail Cancer Center, Canton, Ohio; Mai H. Le, M.D., Mark K Bennett, Ph.D., Lori Kunkel, M.D., Michael Kauffman, M.D., Ph.D. Proteolix, Inc. San Francisco; Ravi Vij, M.D., Washington University School of Medicine, St. Louis; and the Multiple Myeloma Research Consortium.

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河原恭子訳
林 正樹(血液・腫瘍内科)監修
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原文


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