最も一般的な遺伝子サブタイプ*の非小細胞性肺癌における初の標的治療成功の試験報告/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

最も一般的な遺伝子サブタイプ*の非小細胞性肺癌における初の標的治療成功の試験報告/ダナファーバー癌研究所

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最も一般的な遺伝子サブタイプ*の非小細胞性肺癌における初の標的治療成功の試験報告/ダナファーバー癌研究所

2012年5月31日

タグ:肺癌、標的治療

ある新規化合物が最も一般的な遺伝子サブタイプ*を有する肺癌患者に有効な初の標的治療となった。ダナファーバー癌研究所とその他の施設の研究者により主導された国際共同臨床試験結果が、6月1日から5日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology(ASCO))の年次総会において発表される。

(*注:欧米人ではKRAS変異は非小細胞肺癌の20%を占める最も一般的なサブタイプですが、日本人では10%以下であり最も一般的なサブタイプはEGFR変異です。)

ダナファーバーのBelfer Institute for Applied Cancer Scienceの科学共同ディレクターであるPasi Jänne医師・博士は、McCormick PlaceのE Hall D2において、6月4日(月)の中部時間午後3時に第2相臨床試験の結果を発表する予定である(抄録 7503)。

本試験には、腫瘍にKRAS遺伝子変異がみられる非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer、NSCLC)患者87人が参加した。このような腫瘍はNSCLC症例の約20%を占めているが、これまでの臨床研究でこれら腫瘍に対し有効性が証明されている標的治療は無い。治験薬であるselumetinibはKRASを直接攻撃するのではなく、その下流にある分子の1つであるMEKと呼ばれるタンパクを阻害する。

すべての試験参加者は進行期の非小細胞性肺癌を有していた。彼らは標準的な化学療法薬であるドセタキセル(docetaxel)と併用して、selumetinibまたはプラセボの投与を受けた。

治療への奏功率や奏功期間、腫瘍サイズの変化、無増悪生存患者の割合などの多くの評価基準から判断したところ、selumetinib群はプラセボ群より有意に良い結果を示した。臨床的に最も重要な結果は、治療奏功率の改善(selumetinib群37%、プラセボ群0%)と、無増悪生存期間の延長(selumetinib群5.3ヶ月、プラセボ群2.1ヶ月)であった。selumetinib群の患者はプラセボ群より、平均的には生存期間が延長したが(selumetinib群9.4ヶ月、プラセボ群5.2ヶ月)、その延長は統計学的には有意ではなかった。

「本臨床試験により、化学療法とselumetinibの併用は化学療法単独より、この患者集団に対して有意に優れた治療であることが、治療の奏効率や無増悪期間の観点から示された」とJänne氏は述べた。「この結果により、肺癌で最も多い単一サブタイプであるKRAS変異型の肺癌に対する有効な治療の可能性が初めて示唆された。このような素晴らしい臨床試験の結果は肺癌の治療だけでなく、膵臓癌や結腸直腸癌を含むKRAS変異を有するすべての癌の治療に影響を与える」。

好中球減少症(白血球の欠乏)、体力喪失、にきび、呼吸器系等のいくつかの副作用は、プラセボ群と比較してselumetinib群に多く認められた。しかし、重い副作用により試験から脱落した患者の割合は両群で同等であった。

本試験には12ヶ国67箇所に渡る医療センターとクリニックの研究者や医師間の協力が関わった。貢献者として、ダナファーバー、Massachusetts General Hospital、Instituto Brasileiro de Cancerologia Toracica, Sao Paulo, Brazil、Service Pneumologie Oncologie Thoracique, Clermont Ferrand, France、University Hospital Gasthuisberg, Leuven, Belgium、 PUCRS School of Medicine, Porto Alegre, Brazil、Hospital de Caridade de Ijui, Ijui, Brazil、アストラゼネカ、University of Perugia, Perugia, Italyの研究者を含む。

本試験はアストラゼネカにより資金提供を受けた。

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下野龍太郎 訳
田中文啓(呼吸器外科/産業医科大学教授)監修
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原文

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