ホルモン除去薬アビラテロンが高リスク限局性前立腺癌に対し有用性を示す/ダナファーバーがん研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

ホルモン除去薬アビラテロンが高リスク限局性前立腺癌に対し有用性を示す/ダナファーバーがん研究所

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

ホルモン除去薬アビラテロンが高リスク限局性前立腺癌に対し有用性を示す/ダナファーバーがん研究所

2012年5月16日

6月1日から5日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology(ASCO))の年次総会において発表される臨床試験結果によると、転移性前立腺癌治療の適応で昨年承認されたホルモン除去薬が、まだ前立腺以外に進展していない高悪性度の癌患者の多くで、腫瘍を消失、またはほぼ消失させることに役立つことが示された。

ダナファーバー癌研究所や他の試験施設の医師に主導された第2相臨床試験では、高リスクの限局性前立腺癌の男性患者58人における、プレドニゾロン、外科手術と併用での酢酸アビラテロン(abiraterone acetate (Zytiga®))の使用効果を調べた。参加者は3ヶ月または6ヶ月間の2剤併用療法後に前立腺の除去手術を受けた。病理検査により、治療完了時に参加者の3分の1は腫瘍組織が全くあるいはほとんど残っていないことが示された。

「前立腺に局在化した非常に高リスクの癌は、前立腺切除だけではほとんど治らない」と試験の筆頭著者であるダナファーバーのMary-Ellen Taplin医師は述べた。「外科手術と旧来のアンドロゲン阻害薬を併用した治療は、これまでの歴史から見て、転帰を改善していない。このアンメットニーズは、前立腺腫瘍内のアンドロゲンレベルをより完全に減少させることが可能な新規薬剤の開発努力につながった」。

Taplin氏はMcCormick PlaceのArie Crown Theaterにおいて、6月2日(土)の中部時間8時にデータの発表を行う予定である(要約 4521)。

男性ホルモンであるアンドロゲンは前立腺癌の成長に必要な栄養を与える。従来の治療法は精巣や副腎のアンドロゲン産生を標的としており、腫瘍組織そのものでの産生を標的としなかった。酢酸アビラテロンはこれら3つの部位すべてにおけるアンドロゲン産生を阻害することが可能である。

本研究においては、酢酸アビラテロンと共に、標準用量の半分のプレドニゾロン(ステロイド剤の1つ)を併用投与した。この低用量プレドニゾロンは、アビラテロンに関連したステロイド不均衡に対する保護による有益性を維持しつつ、ステロイドに関連した副作用を抑制すると期待されている。アビラテロンによる副作用の増加がみられなかったので、研究者は低用量のプレドニゾロン(1日5mg)が多くの患者にとって適切であると感じている。

「本研究の患者の多くは大きな腫瘍や高悪性度の前立腺癌を有し、癌転移のリスクが高かった。」とTaplin氏は述べた。「私たちはこの結果にとても勇気づけられ、高リスク前立腺癌に対する術前補助療法として、別の新規アンドロゲンシグナル阻害剤であるMDV3100の効果を調べるもう一つの第2相臨床試験を開始している。また、私たちはアビラテロンによる治療に治験薬のARN509を追加した際の効果を調べる臨床試験計画も立てている。前立腺切除術と合わせた集中的なアンドロゲン除去療法の総合的な有益性を証明するために、大規模ランダム化臨床試験が行われる必要があるだろう。」

本研究はJanssen Research & Development社と前立腺癌財団(The Prostate Cancer Foundation(PCF))から一部資金提供を受けた。本臨床試験は国防省とPCFから資金提供を受けている Prostate Cancer Clinical Trial Consortiumを介して実施された。

本研究はTaplin氏に加えて、他の著者としてダナファーバー、Fred Hutchinson Cancer Research Center、ワシントン大学医学部、Beth Israel Deaconess Medical Center 、Brigham and Women’s Hospital、M.D.アンダーソンがんセンター、Janssen Research & Developmentの研究者を含む。

******
下野龍太郎 訳
榎本 裕(泌尿器科/東京大学医学部付属病院)監修
******
原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3卵巣がんの起源部位は卵管であることが示唆される
  4. 4若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  5. 5コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  6. 6がん領域におけるシームレス臨床試験数が近年増加
  7. 7アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  8. 8治療が終了した後に-認知機能の変化
  9. 9ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  10. 10乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害

お勧め出版物

一覧

arrow_upward