アーミッシュの癌発症率は低いとオハイオ州立大学の調査で示される/オハイオ州立大学 | 海外がん医療情報リファレンス

アーミッシュの癌発症率は低いとオハイオ州立大学の調査で示される/オハイオ州立大学

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アーミッシュの癌発症率は低いとオハイオ州立大学の調査で示される/オハイオ州立大学


オハイオ州立大学
2010年1月1日

オハイオ州立大学の癌研究者らが、オハイオ州に在住する大規模な宗派であるアーミッシュ(※サイト注:ペンシルベニア州やオハイオ州などに居住するドイツ系アメリカ人で、電気や自動車など一切の現代文化を拒否した生活を送る宗教的集団)の調査を開始した当初、アーミッシュの癌の発症率はより高いだろうと想定した。なぜなら、アーミッシュは宗教的信仰と伝統上の理由から主要社会との接触を制限しているため、比較的小さな集団の中での結婚によって、癌に関連した遺伝子変異の発現率が高くなる可能性があるからである。

しかしながら、われわれは全く逆の結果を発見した、とオハイオ州立大学総合がんセンターのジェームズがん病院およびソローブ研究所(OSUCCC-James)ヒト遺伝子学部課長であるDr. Judith Westman氏は述べた。

アーミッシュの調査では、清く正しい生活はより健康的な生活につながる可能性を示唆している。この集団での全体の癌の罹患率は、オハイオ州における癌の年齢調整罹患率の60%であり全米罹患率の56%であった。アーミッシュ成人における、タバコに関連した癌の発症率はオハイオ州成人発症率の37%で、タバコに関連しない癌の発症率は72%であった。

「アーミッシュは、遺伝性疾患を発症するリスクは高いものの、彼らの生活スタイル(タバコやアルコールの摂取がほとんどなく、性的パートナーが限られている生活スタイル)と、癌に対する感受性を低くさせるような遺伝子により、さまざまな癌に抵抗性を持っている可能性があります」と、OSUCCC-Jamesの疫学を専門とする研究者Amy K. Ferketich 氏とこの調査の共同筆者であるWestman氏は述べた

知見は、最近発行されたCancer Causes & Control誌に報告された。

1996年から2003年にわたり、アーミッシュ集団での24種類の癌の発症率が調べられた。調査した24種類の癌のうち、子宮頸癌、喉頭癌、肺癌、口腔癌/咽頭癌、黒色腫、乳癌と前立腺癌の、7種類の癌の発症率がオハイオ州の発症率と比較して有意に低かった。

Westman氏とFerketich氏は、環境と遺伝子の癌の発症に対する関与について理解を深めるためアーミッシュを調査することにした。オハイオ州は世界で最も大規模なアーミッシュの集団が存在し、約2万6000人ものアーミッシュがホームズ郡に生活している。彼らはすべて、200年前にこの地に移住してきた100人の子孫である。

研究者らは、横断的世帯調査の一環として92世帯のアーミッシュに聞き取り調査を実施し、3世代そしてできる限り前の世代にさかのぼり、すべての血縁者について癌情報を入手し癌の家族歴を図表化した。「たとえば、対象者とその祖父母についての聞き取り調査をすれば、祖父と祖母両方の祖先と家系に関する癌の情報を集めることができます」とFerketich氏は述べた。

調査対象集団は、ホームズ郡地域に居住する9992人のアーミッシュの成人で構成された。研究者らはまた、死亡診断書の収集とOhio Cancer Incidence and Surveillance System(オハイオ癌発症率と調査システム)に報告された癌症例との照合も実施した。1996年から2003年の期間中、191件の癌症例を確認した。

「小規模で比較的閉鎖された集団を対象としたため、ホームズ郡に居住する集団の90%をカバーするのに、92世帯のみの聞き取り調査だけですみました」とFerketich氏は述べた。

オハイオ州アーミッシュでの低い癌発症率は、非常に低いタバコ消費量やフリーセックスがないことなどのライフスタイル要因によって部分的な説明が可能である。全体としてアーミッシュは、タバコやアルコールの消費がほとんどなく、農業者や建設作業者、工場労働者として、活動的で労働集約型の生活を送っている。

「アーミッシュからわれわれが学べることの一つは、彼らは典型的な禁煙者であり、タバコ製品も使用していないことです。また、特定の相手を性的パートナーとし、一夫一婦の関係を持つためフリーセックスに関連した一部の癌が認められませんでした」とWestman氏は述べた。

多くのアーミッシュが直射日光や紫外線に曝露される屋外での労働で生計を立てているにもかかわらず、皮膚癌の発症率ですら低い。

「彼らは、つばの広い帽子や腕を保護する長袖の着用が通常推奨されているので、直射日光の中での作業も一般的に露出部分を覆ったり衣服を着たりしています」とWestman氏は述べた。

調査に参加したその他のオハイオ州の研究者らは、Steven N. MacEachern氏、J.R. Wilkins III氏、Robert T. Pilarski氏、Rebecca Nagy氏、Stanley Lemeshow氏、Albert de la Chapelle氏とClara D. Bloomfield氏である。

本調査は、米国腫瘍協会オハイオ支部、米国国立衛生研究所とLeukemia Clinical Research Foundation(白血病臨床調査財団)により資金提供された。

The Ohio State University Comprehensive Cancer Center- Arthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Institute is one of only 40 Comprehensive Cancer Centers in the United States designated by the National Cancer Institute. Ranked by U.S. News & World Report among the top 20 cancer hospitals in the nation, The James (www.jamesline.com) is the 180-bed adult patient-care component of the cancer program at The Ohio State University. The OSUCCC-James is one of only five centers in the country approved by the NCI to conduct both Phase I and Phase II clinical trials.

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湖月みき 訳
朝井鈴佳(獣医学・免疫学)監修
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原文


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