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2つの標的療法はユーイング肉腫に作用する/MDアンダーソンがんセンター

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2つの標的療法はユーイング肉腫に作用する/MDアンダーソンがんセンター

研究者は第1相臨床試験において治療により発現する薬剤の副作用をコントロールする
MDアンダーソンがんセンター
2012年3月31日

米国癌学会(AACR)の 2012年年次総会で報告されたテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの治験医により実施された研究によれば、治療抵抗性のユーイング肉腫または線維形成性小円形細胞腫瘍(DSRCT)の一部が、2種類の標的療法併用により縮小した。

ユーイング肉腫の17例中5例において本併用療法が奏効し、2例が完全寛解に達して、1例は27週間持続した。患者の治療に起因する副作用の制御が、治療を継続し疾患の進行を遅らせるのにきわめて重要であることに、研究者は言及した。

試験結果はAACRの機関誌であるClinical Cancer Researchで同時に刊行された。

ユーイング肉腫は主に骨に影響を及ぼし、10代および若年成人で最も発生頻度が高く発生、再発率が高いと、代表研究者でMDアンダーソンのがん治療開発部門の助教(assistant professor)であるAung Naing医師は述べた。

インスリン様成長因子受容体1(IGF-1R)を標的とするヒト型IgG1モノクローナル抗体であるシクスツムマブと、mTORすなわち「哺乳類ラパマイシン標的タンパク質」を阻害する薬剤であるテムシロリムスとの併用療法を、研究者は用いた。細胞の増殖および生存、異常血管増殖ならびに化学療法および放射線療法に対し抵抗性を引き起こす分子経路に、2つの薬剤は関与する。

治療抵抗性患者における勇気付けられる奏功率
20例が第1相臨床試験に登録され、17例がユーイング肉腫および3例がDSRCTであった。患者には4週間のサイクルで、cixutumumab(シクスツムマブ)6mg/kg およびテムシロリムス25~37.5mg/kg が毎週静注され、追跡期間の中央値は8.9カ月であった。

「20例中7例において奏効し、5カ月間以上安定(stable disease; SD)であった。」とNaing医師は述べた。「治療奏効例のうち5例はユーイング肉腫で、腫瘍が20%以上縮小した。治療に対する奏効は8~27カ月持続した。」

奏効例は中央値で6種類の治療を治験以前に受けていたと、Naing医師は付け加えた。「奏効症例には極めて重い前治療歴があり、他のほとんどの治療に対してきわめて強い抵抗性があった」とNaing医師は述べた。「ユーイング肉腫の17例中5例-約29%で治療が奏効し、2例が完全寛解に達したことに勇気付けられる。」

2薬剤をそれぞれ単剤として用いた場合、治療の結果がまちまちであったことに治験医は注目し、癌治療においてしばしば発現し大きな障害となる薬剤抵抗性を併用両方によって回避できるのではないかという仮説を立てた。

「2つの標的薬剤併用により、IGFR阻害剤単独治療中院腫瘍が増悪した症例を含む重い前治療を受けた転移性ユーイング肉腫症例において、腫瘍が退縮する、さらに一部症例では完全寛解することを示す初期のデータが得られた」とがん治療開発部門の教授かつ部門長で、統括著者であるRazelle Kurzrock医師は述べた。「科学的に合理的な方法で薬剤を併用することにより、単剤に対する抵抗性を克服し、進行ユーイング肉腫患者に利益をもたらすことが可能になるかもしれない。」

治療による副作用の管理
治療に起因する最も頻度の高い副作用は、血小板数減少(85%)、口内炎(80%)、コレステロール上昇(75%)、トリグリセリド高値(70%)および血糖値上昇(65%)であった。

程度の大部分がグレード1または2の副作用を見ることはまれでないことに、Naing医師は述べた。氏はさらに、糖尿病を発症した一例について言及したが、この患者はインスリンおよび糖尿病治療薬であるメトフォルミンで結果的に管理することできた。

治療による非血液副作用には、口内炎、倦怠感、発疹または搔痒感、AST/ALT上昇、クレアチニン上昇、下痢、食欲不振/体重減少、ならびに悪心および嘔吐であった。これらおよび他の副作用を管理出来ることは極めて重要である、とNaing医師は述べた。

「4例の最も優れた奏功例には、グレード3の口内炎、あるいは血小板減少症または好中球減少症のようなグレード3の骨髄抑制がみられた。これらのグレード3の副作用がみられた患者は、通常治験から除外される」とNaing医師は述べた。「しかし、依頼者および施設の倫理委員会からの承認を得て、治療を継続することが出来た。副作用を管理出来たので、患者は継続した治療の恩恵を受けた。」

支持療法は治療の助けとなる
研究者によれば、治療効果を維持できる十分な高用量に達しかつ維持することを可能にする支持療法をすべての患者が受けるべきであることが、試験結果から示唆された。

「もし副作用を管理出来るならば、治療を中止すべきでない」とNaing医師は述べた。「これは真に重要なメッセージである。」

共著者で、MDアンダーソンの肉腫内科部門の教授で部門長であるRobert Benjamin医師および同部門の助教(assistant professor)であるJoseph Ludwig医師は、より多数のユーイング肉腫およびDSRCT症例を対象とした追加試験を計画しており、個々の患者において根底にある薬剤抵抗性についての付随研究も予定している。

この研究は国立がん研究所の資金の援助を受けた。

Naing, Kurzrock, BenjaminおよびLudwig医師の共著者は以下のとおりである。
Siqing Fu, M.D., Ph.D., and David Hong, M.D., of the Department of Investigational Cancer Therapeutics (第1相臨床試験のプログラム)、Pete Anderson, M.D., Ph.D., of MD Anderson’s Department of Pediatrics; Particia LoRusso, D.O., of the Barbara Ann Karmanos Cancer Institute at Wayne State University in Detroit, Michigan; and Helen X. Chen, M.D., and Lawrence A. Doyle, M.D., of the Cancer Therapy Evaluation Program at the NIH/National Cancer Institute in Rockville, Maryland.

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木下秀文 訳
寺島慶太(小児科/テキサス小児病院)監修
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原文


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