NIH助成による治験薬crizotinibが既治療の小児癌に有益性を示す/NCIプレスリリース | 海外がん医療情報リファレンス

NIH助成による治験薬crizotinibが既治療の小児癌に有益性を示す/NCIプレスリリース

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NIH助成による治験薬crizotinibが既治療の小児癌に有益性を示す/NCIプレスリリース

NCIプレスリリース

2012年5月16日

若年患者に対する分子標的薬の臨床試験で、治療中に腫瘍が消失した。この薬剤は、標準治療が無効であった一部の進行癌に関連するタンパク質を標的として阻害する。Children’s Oncology Group (COG)の試験責任医師らによる、米国国立衛生研究所(NIH)に属する米国国立癌研究所(NCI)主導の多施設共同試験の第1相試験からの発見である。

研究によると、小児と思春期小児、特に血液癌の一種である未分化大細胞リンパ腫(ALCL)と、副腎や胸部に発生することが最も多い神経癌である神経芽細胞腫の患者において、有害事象をほとんど認めず、かつ有望な結果が得られた。

第1相試験の結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)のジャーナル、2012年5月16日号に掲載された。その研究は、2012年6月2日にシカゴで開催される2012年度ASCOで発表される。

この早期臨床試験である第1相試験で試された薬剤は、crizotinib(商標名XALKORI、ファイザー製薬社の製品)である。Crizotinibは、未分化リンパ腫リン酸化酵素またはALKというタンパク質の活性を阻害することで作用し、ALKタンパク質の活性を高めるALK遺伝子変異が認められた腫瘍のある成人で効果がある。試験結果は、ALK遺伝子変異が見られる非小細胞肺癌(NSCLC)の成人ではcrizotinibによる治療が奏功する可能性があることを示した。Crizotinibは、非小細胞肺癌患者を対象とする治療で米国食品医薬品局に承認される。ALK遺伝子変異は、ALCLのほぼすべての小児と神経芽細胞腫の約10%の小児で認められている。ALK遺伝子変異はまた、その他の小児癌でも起きることがある。

COGの試験主任であり、フィラデルフィア小児病院小児科の助教授でもあるYael P. Mosse医師は、「近い将来、従来の化学療法薬の投与量を減らすことができる比較的毒性の低い薬剤を提供することで、神経芽細胞腫やALCLの子供達にとって個別化治療の大きなチャンスがあります」。

このCOG第1相試験は、平均年齢10歳(1歳から21歳までの患者)の70人の参加者が含まれている。入院時、ALK遺伝子変異の存在について腫瘍組織を検査した。

COG試験責任医師らは、NSCLCの成人患者で使用されている投与量より少ない量のcrizotinibを小児患者に提供することで試験を開始した。この試験に参加した小児患者と思春期小児患者は、crizotinibを1日2回28日間、経口で服用した。疾患の進行や忍容できない毒性が認められなかった場合、継続して薬剤を服用できた。試験責任医師らは、最小限の毒性で6段階の用量を、成人患者に使用される量を超える用量までcrizotinibを安全に増量できた。

研究者らは、腫瘍サイズの変化について試験参加者を観察した。ALCLで登録した8人の患者のうち、7人で腫瘍が完全に消失するなどの完全奏効が認められた。神経芽細胞腫の27人の患者のうち、3人で完全奏効を認め(2人はALK変異がある)、7人は疾患の進行が認められなかった。これらの患者は、9か月から2年以上治療を継続中で進行を認めていない。高頻度でALK遺伝子変異を認める肉腫のまれな型である炎症性筋線維芽細胞性腫瘍がある7人の患者は、治療を継続しており、大半で有益性が認められている。

「この試験の注目すべき側面は、これらの小児患者と思春期小児患者で多数の完全奏効が認められることであり、いかに忍容性が高いかということです。ALK遺伝子変異が認められる腫瘍があると新たに診断された患者においてcrizotinibの最善の使用法を見つけることは、これらの患者にとって生存率を改善する可能性があるため今では最優先となっています。」と、NCIのCOG第1相試験コンソーシアムのプログラム・ディレクターであるMalcolm Smith医師は述べた。

COGは、ALCLと神経芽細胞腫を持つ患者を対象に化学療法とcrizotinibを併用するさらなる試験を開発中である。COG試験実施施設または試験グループについての詳細は下記のWebページを参照。http://www.childrensoncologygroup.org

この試験は、NCI のU01-CA97452によって助成された。

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湖月みき 翻訳
寺島慶太(小児科/テキサス小児病院)監修
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原文

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