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抗うつ薬が白血病治療薬の使用を拡大できる可能性/Cancer Research UK

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抗うつ薬が白血病治療薬の使用を拡大できる可能性/Cancer Research UK

Cancer News  2012年03月09日

新たな実験室での研究によれば、一般的な成人白血病がビタミンA由来の薬と抗うつ薬の組み合わせで治療できるかもしれないということである。

急性骨髄性白血病(AML)のうち稀な種類の白血病患者の治療に既に使用されている薬である「レチノイド」に抗うつ薬を加えると、他の種類のAML患者にも有効になるかもしれない。

レチノイドはビタミンAと化学的に相似する化学物質の一種である。

オールトランスレチノイン酸(ATRA)と呼ばれるレチノイドは、既にAMLの病型のうち稀なもののひとつである急性前骨髄性白血病の治療に使用されている。

しかしこの最新の研究では、抗うつ薬トラニルシプロミン(TCP)を加えることで、レチノイドをより多くの患者に広げて使用できると示している。

英国癌研究所(ICR)でこの研究を率いた中のひとりであるArthur Zelent博士は「レチノイドは既にひとつの致命的で稀な種類の白血病を治癒可能な病気に変えている。われわれはこの強力な薬をより発症数が多い種類の白血病の治療のために利用する方法を見つけたのだ」と述べた。

「これまで、他の種類のAMLがこの薬に対して反応しない理由は謎だった。われわれの研究は、抗うつ薬として既に一般的に使用されている薬を二つ目の薬として使うことで、分子的な阻害を覆せるという事を明らかにした。」

ATRAは白血病細胞が成熟し、自然死するのを促進する働きを持つが、研究者らは多くのAML患者がこの治療に反応しない原因は、ATRAが本来攻撃する遺伝子がLSD1と呼ばれる酵素によって働きを止めるためであると言う。

科学者らはTCPを使用してその「働きを止める」ことを阻害することで、これらの遺伝子を再び働かせ、癌細胞がARTAに感受性を持たせることを発見した。

また、Zelent博士はもしこの発見が患者にて再現できるのなら、潜在的な利益は「非常に大きい」と言った。このチームは既にドイツのミュンスター大学(University of Munster in Germany)と協力してAML患者にこの組み合わせの薬での第2相臨床試験を開始している。

著者らはまた、レチノイドARTAと抗うつ薬TCPは両方とも英国で入手可能で特許が切れているので、これらの薬は医療制度においても高額でないだろうと述べている。

Cancer Research UKのinformation nurseの長であるMartin Ledwickは、AML治療の新しいやり方が開発されているのを見るのはとても興奮すると言い、「すべてのAML患者が化学療法や骨髄移植のような治療が適応されるわけではなく、しかもこれらの治療法は対処が難しいのです」。

彼は「この臨床試験は、AMLのうち稀な一種類に効く治療法がAMLの他の種類に効かない理由を説明するのに役立ち、その問題を解決する試みとして非常に興味深い」と付け加えた。

しかし、彼は実験室での結果が本当にAML患者の状況を向上するのかどうかが判明するには、より多くの研究がなされる必要があると忠告した。

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岩崎多歌子 翻訳
吉原 哲(血液内科・造血幹細胞移植/兵庫医科大学病院) 監修
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原文

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