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PI3K/mTOR経路により制御されるタンパク質は乳癌の予後不良と関連/MDアンダーソンがんセンター

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PI3K/mTOR経路により制御されるタンパク質は乳癌の予後不良と関連/MDアンダーソンがんセンター

ホルモン受容体陽性乳癌の生存に関与する翻訳制御因子の異常
M.D.アンダーソンがんセンター
2012年4月1日

一般的なタンパク質生合成の最後の段階である翻訳に携わる4種類のタンパク質は、その調節機能に異常が起きた場合に、ホルモン受容体陽性乳癌の予後不良と関連することが米国癌学会(AACR)2012年年次総会にて報告された。

異常に活性化された翻訳後のタンパク質は、ある種の癌の発生および進行に関与するPI3K/mTOR分子のシグナル伝達経路によって制御される。

ごく最近、mTORの活性化はエストロゲン受容体陽性乳癌における標準的な内分泌療法への耐性に関連していると、MDアンダーソンがんセンター外科腫瘍学部門の教授で、AACRにて研究発表を行ったFunda Meric-Bernstam医師は述べている。

「このデータはホルモン受容体陽性乳癌におけるPI3K/mTOR経路の重要性を裏付けるもので、新たな予後因子および治療標的の可能性を示唆するものです」と、MDアンダーソンSheikh Khalifa Bin Zayed Al Nahyan Institute for Personalized Cancer Therapy(癌個別化治療研究所)の所長でもあるMeric-Bernstam医師は語った。

2つのmTOR阻害薬であるエベロリムスおよびテムシロリムスは、ある種の癌の治療薬として承認されているが、他にも数十種類の薬剤について臨床試験が行われていると、Meric-Bernstam医師は述べている。

タンパク質合成の増加に依存する癌細胞
遺伝子はメッセンジャーRNAを発現させると、次にそのメッセンジャーRNAは、翻訳という段階である特定のタンパク質を合成するために、細胞内のリボゾームを通してその役目を果たす。

「癌細胞は増殖および生存するために多くのタンパク質合成を必要とします」とMeric-Bernstam医師は述べた。Meric-Bernstam医師らは、ステージ1から3のホルモン受容体陽性乳癌患者190人の腫瘍組織を用いて翻訳調節における主要なタンパク質を系統的に解析した。フォローアップ期間の中央値は96カ月であった。

全生存の予測因子となる4種類のタンパク質の異常が確認された。これらの異常は、生存に影響を与える年齢やリンパ節転移の有無などの他の要因を説明する多変量解析の実施後においても有意差はみられなかった。タンパク質の異常は以下のとおりである。

•リボソームタンパク質S6のリン酸化(pS6)の上昇および翻訳開始因子4E結合タンパク質1のリン酸化(P4E-BP1)の上昇
•eEF2K (eukaryotic elongation factor 2 kinase) の発現増加
•プログラム細胞死タンパク質4(pdcd4)の発現減少

本研究の結果は、追加試験によって立証されるならば、標準的な内分泌単独療法による治療では再発のリスクが上昇する可能性のある患者を選択し、分子標的薬による追加療法を行うことでベネフィットが得られる可能性のある患者を識別するマーカーになりえることが示された。

2011年度CTRC-AACRサンアントニオ乳癌シンポジウムで発表されたフェーズIIIの主要試験の結果によると、難治性ホルモン受容体陽性乳癌の治療に、mTOR阻害薬のエベロリムスとエキセメスタンによるホルモン治療を併用することで、無増悪生存率が上昇したことが示された。

「患者の選択に有用な方法が分かったことで、乳癌患者の転帰改善のために分子標的療法をより有効に使用することが可能になります」と、Meric-Bernstam医師は述べた。

Meric-Bernstam医師とともに本研究に参画したMDアンダーソン共同研究者は、以下の各位である:Huiqin Chen, Gabriel Hortobagyi M.D., and Ana Gonzalez-Angulo, M.D., of the Department of Breast Medical Oncology; Argun Akcakanat, M.D., Ph.D., of the Department of Surgical Oncology; Kim-Anh Do, Ph.D., of the Department of Biostatistics; and Gordon Mills, M.D., Ph.D., of the Department of Systems Biology. Ana Lluch, M.D., Ph.D., Hospital Clinico Universitario de Valencia, Valencia, Spain and Bryan Hennessy, M.D., Beaumont Hospital, Dublin, Ireland, also collaborated on the project.

本研究は、AACR-Stand Up To Cancer Dream Team Award, Susan G. Komen for the Cure, the Society of Surgical Oncology Clinical Investigator Award、および米国国立癌研究所(NCI)のがんセンター支援助成金により資金援助を受けた。

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栃木和美 訳
太田 真弓 (精神科、児童精神科) 監修
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原文


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