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C型肝炎は主な死因のひとつであり、未診断は多いが治癒が可能/サンフランシスコ大学

  • 2012年4月23日

    2012年2月23日 

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    米国では、死亡の一番多い慢性ウイルス感染症は後天性免疫不全症候群(AIDS)を引き起こすヒト免疫不全ウイルス(HIV)ではなく、C型肝炎ウイルスであり、感染者で最も多いのはベビーブーム世代である。感染者の半数以上が感染していることを知らないでいる。

    Annals of Internal Medicine誌2月21日号に発表された研究によれば、米国疾病管理予防センター(CDC)の研究者らが、米国での死因として2007年までにC型肝炎がHIVを追い抜いていたことを明らかにした。

    米国では、HIV感染による死亡が着実に減少してきており、2007年には13,000人を切った。一方、C型肝炎ウイルス感染による死亡は着実に増加しており、2007年には初めて年間15,000人を超えた。

    朗報として、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)肝臓専門家のAlex Monto博士によれば、両疾患とも対策に進展があったことである。HIV感染を死の宣告から治療可能な疾患に変えるために大きく貢献した薬剤併用療法戦略が同様に、C型肝炎ウイルス感染者の治癒率をさらに押し上げそうな勢いである。

    「保因者でもわずかな人しか検査を受けていないことがわかっている。自分にC型肝炎があることを知らずに歩き回っている人がたくさんいる」とMonto氏は言う。

    Monto氏は、UCSFと提携しているサンフランシスコ退役軍人医療センターにある肝臓クリニックの所長である。このクリニックは、米国の退役軍人組織のC型肝炎センター4施設のうちのひとつである。退役軍人もベビーブーム世代と同じく、非常に多くC型肝炎に感染している。退役軍人組織では、C型肝炎ウイルスに慢性的に感染した患者165,000人をケアしている。

     

    米国では3百万人がC型肝炎に感染

    米国では約3百万人が慢性C型肝炎であると診断されている。無症状であることが多く、数年から数十年にわたって感染していても、多くの人が症状を発現するまで気がつかないことがある。C型肝炎が肝硬変に進行する場合は半数以下であるが、慢性感染による最終的な死因は肝硬変または肝癌であり、ワクチンはない。

    Monto氏は「アメリカでの主要危険因子は、過去の薬物注射の使用である」とし、「そのほかに最もリスクが高いのは、1992年以前に輸血を受けた人たちである」、と高精度の献血スクリーニングが実施されるようになった年を引用した。

    Monto氏の話では、HIVまたはB型肝炎に比べ、C型肝炎が性行為により感染する危険性は低いが、男性同性愛者に性行為によって感染したウイルスの報告が増えてきており、HIV感染者ではさらに多い。

    「薬物注射を一度でも実施したことのある人、献血スクリーニングが導入される前に献血を受けたことのある人であれば、検査を受けるべきである。そのことに全く問題はない。意見が分かれているのは、ベビーブーム世代をひとり残らずスクリーニングすべきかどうかである」とMonto氏は話す。
     

    同誌の今週号にある別の研究が、1945年から1965年までに出生した人に対するC型肝炎ウイルス抗体のスクリーニングをプライマリケア医療提供者が依頼して、血液を単回検査すれば、費用は一人当り2,874ドルとなり費用効率がよいことと、未診断の症例800,000人以上が確認されることを示唆している。

    慢性感染者は飲酒を控え、適正な体重を維持し、A型およびB型肝炎の予防接種を受けることによって、疾患が進行する可能性を抑えることができると考えられている、とMonto氏は述べる。

     

    C型肝炎は治療によって治癒することが多い

    感染者の5人に4人は治療を受けず、ウイルスは排除されない。約10年の間、標準治療はペグ化インターフェロンの週1回の皮下注射およびリバビリン錠を毎日投与するという2剤併用療法であり、治療期間は6カ月から11カ月である。Monto氏によれば、この治療法はきわめて大きな改善であり、ほとんどの患者で40〜50%の治癒率である。

    ここ1年の間に、プロテアーゼ阻害薬として知られる種類の新薬2剤が利用可能になっている。これは、遺伝子型1型と呼ばれるウイルスの一種に感染している米国のC型肝炎患者の75%に有用である。2剤併用療法にこのプロテアーゼ阻害薬をさらに上乗せすると、治療期間が短縮される可能性があり、過去に未治療の患者では、治癒率は約70%に上昇した、とMonto氏は話す。治療を受けたことのある患者が治癒する可能性はこれより低いかもしれないが、それ以前の治療がどの程度奏効したのかによる。

    「新しい治療法が以前より改善されていることは明らかであり、25から30品目の開発中の新薬があり、その多くが次の数年に上市される状況にある。既存薬よりさらによい薬剤となりそうだ」とMonto氏は話す。Monto氏をはじめ、UCSFの研究者数人が臨床試験による新薬の評価に携わっている。UCSFの研究者はC型およびB型肝炎ウイルスの感染に対する免疫系の役割も研究している。

     

    B型肝炎と混同しがちである

    米国では、B型肝炎に慢性的に感染する人はC型肝炎の約半数であり、特にアジア系の人が感染しやすく、B型肝炎感染者の半数を占めている。米国では毎年、B型肝炎により約1800人が死に至る。

    名称は類似しているが、このふたつのウイルスに特に関連はない。B型肝炎は、C型肝炎よりもっと簡単に性行為によって広がり、母子感染も容易に発現する。成人が感染してもほとんどの場合、免疫系が感染を巧みに制御する。Monto氏によれば、B型肝炎に曝露した成人のうち慢性感染者となるのは、わずか5%にとどまる。
     

    B型肝炎に対してはワクチンが準備されている。現在は名誉教授であるWilliam Rutter氏が率いるUCSFの研究チームが初めて、B型肝炎ワクチンの純原料が、遺伝子組み換えで培養した酵母内にできるウイルスタンパク質を大量生産することによって得られることを実証した。これが基礎となり、Rutter氏が共同創立者であるカイロン社が製造した、遺伝子組み換えワクチンが初めて上市された。

    カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医療センターについて

    UCSF医療センターは、米国内の病院では常に上位10位以内に位置づけられている。画期的な治療、先端技術、医療専門家と研究者の連携や、きわめて行き届いた患者ケアチームで知られるUCSF医療センターは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の大学医療センターである。小児の健康、脳神経系、臓器移植、女性の健康および癌には、同センターでも国内屈指のサービスが提供される。また、UCSF内の独立した事業として運営されており、独自に収益をあげて患者ケアを提供するための運営費をまかなっている。

     

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    感染リスクのある人
    B型肝炎B型肝炎ウイルス(HBV)によるC型肝炎C型肝炎ウイルス(HCV)による
     

    • 感染した母親から生まれた乳児
    • 感染者の性行為パートナー
    • 複数の性行為パートナーを持つ者
    • 性感染症(STD)患者
    • 男性同性愛者
    • 薬物注射使用者
    • 感染者と家事での接触
    • 仕事上血液に触れる機会のある医療従事者および公衆衛生担当者
    • 血液透析患者
    • 発達障害者用施設の居住者や関係者
    • B型感染率が中程度から高い(B型肝炎ウイルス抗原感染率2%以上の)地域への旅行者
     

    • 現在または過去の薬物注射使用者
    • 1987年以前に血液凝固因子投与を受けた人
    • 1992年7月以前に輸血または臓器提供を受けた人
    • 長期血液透析患者
    • HCVに曝露したことがわかっている人(針刺し事故のあった医療従事者、輸血または臓器提供を受けたが、後にその提供者がHCV陽性であることが判明した場合など)
    • HIV感染者
    • 感染した母親から生まれた乳児
    慢性感染スクリーニングが推奨される人
    B型肝炎B型肝炎ウイルス(HBV)によるC型肝炎C型肝炎ウイルス(HCV)による
    次にあてはまる場合、検査が推奨される。

    • 全妊婦
    • B型肝炎感染率が中程度から高い(B型肝炎ウイルス抗原感染率2%以上の)地域で出生した人
    • 米国で出生したが乳児期に予防接種を受けておらず、親がB型肝炎感染率の高い(B型肝炎ウイルス抗原感染率8%以上の)地域で出生した人
    • B型肝炎ウイルス抗原陽性の母親に生まれた乳児
    • 家事、注射針の共用または性行為によってB型肝炎ウイルス抗原陽性の人と接触したことがある者
    • 男性同性愛者
    • 薬物注射使用人
    • 原因不明の肝酵素(ALT/AST)高値がみられる患者
    • 血液透析患者
    • 免疫抑制療法または細胞毒性療法を必要とする人
    • HIV感染者
    • 血液、血漿、臓器、組織または精子の提供者
    次にあてはまる場合、検査が推奨される。

    • 薬物注射を現在使用しているか、1回または何年前であっても過去に使用したことがある人
    • 1987年以前に血液凝固因子投与を受けた人
    • 1992年7月以前に輸血または臓器提供を受けた人
    • 長期血液透析患者
    • HCVに曝露したことがわかっている人(針刺し事故のあった医療従事者、輸血または臓器提供を受けたが、後にその提供者がHCV陽性であることが判明した場合など)
    • HIV感染者
    • 感染した母親から生まれた小児(18カ月未満の乳児には検査しないこと)
    • 肝疾患の徴候または症状が認められる患者(肝酵素検査異常など)
    • 血液、血漿、臓器、組織または精子の提供者
    資料提供 アメリカ疾病管理予防センター

     

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    ギボンズ京子 訳
    辻村信一(獣医学/農学博士、メディカルライター) 監修
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    原文

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