癌末期の激しい痛みにある子どものために「死を早めること」を一部の両親は考える/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

癌末期の激しい痛みにある子どものために「死を早めること」を一部の両親は考える/ダナファーバー癌研究所

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癌末期の激しい痛みにある子どものために「死を早めること」を一部の両親は考える/ダナファーバー癌研究所

両親は医療スタッフとそうした不安について話し合う機会が必要であると研究者らは述べる
ダナファーバー癌研究所
2010年3月1日

子供を癌で亡くした両親に対する調査において、子どもが人生最期の1カ月に直面する痛みの大きさに影響され、8人に1人は子どもの死を早めることを考えると、ダナファーバー癌研究所の研究者らがArchives of Pediatrics & Adolescent Medicine誌3月号で報告した。

慎重な配慮の必要なこの領域を初めて調査した本研究により、多くの両親は自分たちの子どもが制御できない痛みに苦しむことを憂慮し、さらに一部の両親では死を早めることが望ましいと考える場合があることが示唆されている。

調査の結果は、患者の痛みに対処すること、および進行性の痛みを緩和する方法を両親に知らせることの重要性を強調していると研究者らは報告した。

「問題は、家族のこのような憂慮についての話し合いがいつも持たれているわけではないということなのです」と、ダナファーバー癌研究所小児緩和医療部長およびボストン小児病院小児緩和医療部門主任を勤める統括著者Joanne Wolfe医師は述べた。

「両親にはこのような感情や考えを表現する機会がないのかもしれません。そして、臨床医として、私たちは両親が自らの不安を話すために十分な機会を適切に提供してないのかもしれません」。

ダナファーバー癌研究所研究員である筆頭著者Veronica Dussel医師・公衆衛生学修士と共に、Wolfe医師は、一部の両親が子どもの生命を意図的に終わらせるほどの極端な手段を考える理由はなにかを理解する目的で研究を行った。

研究者らは、ダナファーバー癌研究所、ボストン小児病院あるいはミネソタ州セントポールおよびミネアポリスの小児病院・クリニック群において治療を受け、癌により死亡した子ども141人の両親にインタビューを行った。

研究者らは、子どもの死に至るまでのあいだ親たちの行動と感情について尋ね、および子どもの死亡後1年以降の調査時点でも質問を行った。制御できない耐え難い痛みを感じている、または覚醒しない昏睡状態にある末期症状の子どもについて仮定の症例も両親に示された。

子どもの生命を終わらせる可能性について医療スタッフに尋ねることを考えた親は8人に1人(13%)であり、実際にそのような話し合いを持ったと報告した親は9%にとどまった。4%にあたる5人の親が子どもの死を早めることを依頼し、それがモルヒネ使用により遂行されたと述べたのは3人であった。

しかし、Wolfe医師は「これは実際に起こったことを反映していない可能性があります。なぜなら、モルヒネは、生命を終わらせるという意図ではなく、または、そのような効果をもたらさずに、ひどくなる痛みを管理するために漸増用量で使用されているからです」とコメントしている。

仮定の症例に対しては、50%の親は、制御できない疼痛、あるいはもし子どもが不可逆的昏睡にあるならば、死を早めることを支持すると述べた。

親たちが、極度の疼痛を感じている子どものために死を早めることを承認する傾向は、昏睡状態にある末期症状の子どもの場合よりも40%高かった。

Wolfe医師は調査結果を全体としてとらえることが重要だとする。自分の子どもの死を早めることについて話したと報告した親は5人のみであるが、話しをしたいと考えた親は19人いた。

Wolfe医師は自らの経験として、疼痛管理について話し合うことにより親の苦しみは和らぎ、子どもの苦痛を緩和するためにどのようなことが行われるかを知ることによって多くの親は安らぎを得ると語った。

ハーバード大学医学部小児科准教授でもあるWolfe医師は「癌の子どものための緩和ケアと支持療法の良いプログラムを得て、私たちは大きく前進したのです」と述べた。

しかし、同医師は 「私は、両親に対して、彼らの子ども達は痛みを感じることはないと約束することは決してできません」と認めている。「人生の終わりにあって苦しみを和らげる最善策を見つける道のりは、かなり遠いのです」。

「その隔たりの理由の一つは、この領域が研究資金援助団体にとって最優先ではないことです」と、Wolfe医師は述べた。

他の共著者は以下の通りである。
Steven Joffe, MD, MPH, and Jane Weeks, MD, MSc, of Dana-Farber; Joanne Hilden, MD, of the Peyton Manning Children’s Hospital at St. Vincent in Indianapolis, Ind.; and Jan Watterson-Schaeffer of Children’s Hospitals and Clinics, St. Paul, Minn.

本研究は主に医療研究・品質調査機構および米国国立癌研究所による資金援助を受けた。

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下村郁子 訳
寺島 慶太(小児科医/テキサス小児病院)監修
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原文


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