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血管を膨張させて膵臓癌を治療する/Cancer Research UK

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血管を膨張させて膵臓癌を治療する/Cancer Research UK

Cancer Research UK プレスリリース 
2012年3月20日

本日GUT誌で公表された研究によれば、ある酵素が血管の内腔を再び拡げることができ、より多くの薬剤および大きな抗体分子を膵腫瘍に到達させることができることを、キャンサー・リサーチUKの研究者が示した。 

キャンサー・リサーチUKのケンブリッジ研究所の癌研究チームは、PEGPH20と呼ばれる酵素が、マウスの血管の内腔を拡張することを示した。このことにより、ゲムシタビンおよびドキソルビシンの2種の化学療法剤のより多くの量を、腫瘍に到達させることができた。 

血管が硬く圧迫されている時点では、薬剤を腫瘍に到達させることは困難である。そして膵腫瘍の血管のまわりには、「セメント様」構造分子が多量に存在する。このことが薬剤の腫瘍への到達を制限し、薬剤が腫瘍に拡散して殺細胞作用をしめすことを制限している。 

血管のまわりの主な「セメント」は、ヒアルロン酸と呼ばれる巨大分子で構成されている。 

研究者は、PEGPH20が膵腫瘍でヒアルロン酸を取り除いて速やかに血管を拡げ、薬剤の腫瘍への自由な流れを可能にすることを見出した。 

研究者は、PEGPH20と化学療法剤であるゲムシタビンとを併用することにより、腫瘍増殖が阻害され、生存期間が延長することを示した。 

キャンサー・リサーチUKのケンブリッジ研究所のグループリーダーであり、研究結果の著者であるDavid Tuveson教授は、「臨床試験で患者の治療に安全に使用できることが示されれば、治療にこの酵素を加えることは、膵臓癌治療のゲームチェンジャーとなりうる」と述べた。 

「酵素は血管の形をより広くし、丸くした。即ち、本質的に潰れた自転車のタイヤから空気の入った自転車のタイヤへ血管の形が変わる違いがある。このことにより、以前は非常に困難であった薬剤を容易に腫瘍に到達させ、腫瘍を破壊することが可能になった。また、拡がった血管には薬剤をより効果的に腫瘍に移送出来る穴がある。」 

膵臓癌は英国で5番目に多い癌死の原疾患であり、英国では約8000人が毎年、膵臓癌と診断されている。 

膵臓癌は1970年代以降、1年生存率が2倍となったが、生存率はなお低い。診断後1年以上生存していた患者は、5人中1人よりも少ない。 

キャンサー・リサーチUKの科学情報上席マネージャーであるJulie Sharp博士は、「膵臓癌は既に拡がっている後期でしばしば診断されるため、成功裏に治療出来ることが困難である。このため効果的な治療方法を見出すことが非常に重要である。」 

「膵臓癌および生存率がなお低い他の腫瘍を治療する新しい方法の開発が、優先的に支援される」。 

「キャンサー・リサーチUKは、治療可能な膵臓癌に対して世界的治療を変えて膵臓癌患者の生存率改善を助ける、かつてない大規模試験に資金を提供した。しかしまだなすべきことは多く残っている。」 

「この酵素を将来、膵臓癌患者の治療に使用できるかを述べることは時期尚早だが、この研究は膵臓癌に対するわれわれの理解の助けとなるだろう。次の段階は、臨床試験で膵臓癌患者を治療する有効で安全な方法かどうかを評価することである」。 

参考文献
Jacobetz et al. Hyaluronan impairs vascular function and drug delivery in a mouse model of pancreatic cancer. GUT.

 原文

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木下秀文訳
畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)監修
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