2012/04/17号◆癌研究ハイライト「多くの癌患者が疼痛治療の改善を求めている」「初期治療が奏効しなかった小児白血病に対し追加化学療法が有効」「低用量ゲムツズマブが高齢の白血病患者の生存を改善」 | 海外がん医療情報リファレンス

2012/04/17号◆癌研究ハイライト「多くの癌患者が疼痛治療の改善を求めている」「初期治療が奏効しなかった小児白血病に対し追加化学療法が有効」「低用量ゲムツズマブが高齢の白血病患者の生存を改善」

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2012/04/17号◆癌研究ハイライト「多くの癌患者が疼痛治療の改善を求めている」「初期治療が奏効しなかった小児白血病に対し追加化学療法が有効」「低用量ゲムツズマブが高齢の白血病患者の生存を改善」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2012年4月3日号(Volume 9 / Number 8)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~
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◇◆◇ 癌研究ハイライト ◇◆◇

・多くの癌患者が疼痛治療の改善を求めている
・初期治療が奏効しなかった小児白血病に対し追加化学療法が有効
・低用量ゲムツズマブが高齢の白血病患者の生存を改善

多くの癌患者が疼痛治療の改善を求めている

癌患者に対する疼痛治療が不十分であるということは未だ重大な問題であり、なかでもマイノリティにおいてより頻繁に出現していることが新たな試験により明らかになった。この知見は、4月16日付Journal of Clinical Oncology誌に掲載された。

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのDr. Michael Fisch氏らは、浸潤性の乳癌、肺癌および大腸癌を患い疼痛があると考えられた、大学病院および地域の病院で治療を受けていた3000人以上の患者を対象に調査を実施した。

初回の診察時に、3分の2以上の患者が痛みを訴えるか、または疼痛コントロールのために鎮痛剤を必要とした。研究者らは、報告された痛みのレベル、種類または処方されていた鎮痛剤の用量から、これらの患者の3分の1は、疼痛治療が不十分であったことを明らかにした。

中等度から重度の疼痛を訴えた患者のおよそ40%は適切な疼痛治療を受けておらず、さらに重度の疼痛をもつ患者の20%は疼痛治療を受けていなかった。4~5週間後の追跡来院時に行われた調査では、疼痛コントロールの改善を報告した患者はほとんどいなかった。効果的な疼痛コントロールは通常モニタリングと調節を必要とするため、追跡期間として1カ月は短すぎた。

研究者らによると、マイノリティでは、疼痛治療が不十分な患者の割合は欧米人の約2倍であった。十分な疼痛治療についての格差は、薬の入手しやすさなどといった「制度上の問題」だけでなく、意思疎通の問題や患者の信条など多くの要因によるものであると著者らは述べた。

さらに、診断後のさまざまな時点で不十分な疼痛治療を報告したのは、より早期ステージの癌患者が多かった。本試験の共著者であるNCI癌予防部門のDr. Worta McCaskill-Steven氏は、次のように指摘した。これは、早期ステージの癌患者もより良い疼痛コントロールを必要としているだけでなく、医療関係者は疼痛症状の特徴をとらえ、疼痛の原因を特定していくべきであることを示している。

McCaskill-Steven氏は、医師らは他の治療ガイドラインに忠実であるにもかかわらず、疼痛管理ガイドラインにはあまり忠実でないと言及し、「本試験は疼痛評価改善の足がかりとなる」と述べた。

「(本試験において)回答した6人の癌専門医のうち、疼痛または緩和ケアの専門家を頻繁に紹介していたと報告したのはたった1人であった」とDr. Martin Stockler氏およびDr. Nicholas Wilcken 氏は付随論説で述べた。「医大や、特に研修期間やフェローシッププログラムにおいて、さらなる取組みが必要なことは明らかである」。

NCI癌予防センター緩和ケア研究の代表であり、本研究の共著者であるDr. Ann O’Mara氏は、これは医師だけの問題ではないと述べ、看護師やその他の医療スタッフもこの領域についてのさらなる訓練を受けるべきであると助言する。

さらなる情報については、「腫瘍専門医アンケート調査-進まぬ癌の疼痛管理」を参照のこと。

初期治療が奏効しなかった小児白血病に対し追加化学療法が有効

急性リンパ性白血病(ALL)と診断された小児の少数では、初期化学療法が十分な効果を示さない。導入療法といわれるこの初期療法により臨床的完全寛解が得られなかった場合、白血病専門家の多くは同種幹細胞移植を勧める。しかしながら、新たな研究で、こうした小児のうち少なくとも一部では、追加の化学療法で同種幹細胞移植よりも優れた効果が得られる可能性があることが示唆された。

この知見は4月12日付New England Journal of Medicine誌に掲載された。新たにALLと診断された小児の80%は治療に成功した。しかし、なかには悪化した患者のサブグループも存在した。たとえば、導入療法の4~6週間後に臨床的完全寛解が認められなかった癌患者は転帰不良のリスクが高い。

こうした患者への最適な治療法を決定するため、研究者らは世界中のALL臨床試験に参加した小児44,000人以上に関するデータの分析を行った。このうち、1,041人の小児は導入療法に十分な効果を示さなかった。これらの患者の多くは幹細胞移植へと進んだが、追加の化学療法を受けただけの患者もいた。

導入療法に効果を示さなかった小児の一部は、予想に反し、化学療法のみで幹細胞移植よりも良好な長期生存を示した。これらの小児は6歳未満で、T細胞ALLではなく前駆B細胞ALLを患っており、その他の高リスクの臨床的または遺伝的な特徴がなかった。

幹細胞移植ではなく追加の化学療法を受けたサブグループの小児のうち70%以上が少なくとも10年生存しており、これは導入療法に効果を示さなかった患者全体の生存率の2倍以上である。

「本研究により、導入療法の失敗が骨髄移植の適応を自動的に示唆するものではなくなった」と、共著者であり聖ジュード小児研究病院癌部門の主任であるDr. Ching-Hon Pui氏は述べた。「(しかし)72%の生存率は受け入れがたいもので、これらの患者に対するより優れた治療法を研究する必要がある」と付け加えた。

本研究は、「疾患に関する重要な洞察を得るための大規模な共同研究の威力」を示すものでもあったと、付随論説を著したベイラー医科大学のDr. Karen Rabin氏は述べた。こうした患者に対する化学療法の効果は、3大陸14の研究グループが結果を持ち寄ることで、初めて明らかになった。

低用量ゲムツズマブが高齢の白血病患者の生存を改善

標準化学療法に加えてゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ[Mylotarg])を用いた標的療法を受けた50~70歳の未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者では、標準治療のみの患者と比べて生存期間が延長した。4月4日付Lancet誌電子版で報告されたこの結果は、同薬が効果を示さず、毒性が強いという以前のいくつかの試験結果と相反するものである。

ゲムツズマブは、急性骨髄性白血病に対して2000年に米国食品医薬品局(FDA)より迅速承認されたが、全面承認のための確認試験で生存期間の延長は認められず、治療関連死亡のリスクを含めて毒性が増加することが示された。2010年、製造元のファイザー社が同薬を一般市場から自主回収したが、臨床試験は継続されていた。

フランス急性白血病グループ(ALFA)が実施した今回の試験では、副作用を軽減するために、高用量で2日間投与するのではなく、化学療法施行中に低用量で3日間投与する方法を用いた。試験では患者139人がダウノルビシンシタラビンの標準化学療法を受け、別の139人が標準化学療法に加えてゲムツズマブオゾガマイシンの投与を受けた。

低用量ゲムツズマブオゾガマイシンの分割投与を加えることにより、全生存とイベントフリー生存(再発、死亡、または、治療に反応しないと評価されるまでの期間)が改善した。2年間の追跡調査後のイベントフリー生存率は、ゲムツズマブオゾガマイシン投与患者で41%、対照群(標準化学療法のみ)で17%であった。治療から2年後の全生存率はゲムツズマブオゾガマイシン群で53%、対照群42%であった。

ゲムツズマブオゾガマイシン群の患者では、副作用、特に白血球と血小板の持続的な減少がより多く現れるようであったが、治療中の死亡については両群で有意な差はなかった。「低用量ゲムツズマブオゾガマイシンの分割投与により、安全に薬が運搬されて高い累積投与量が得られ、急性骨髄性白血病患者の転帰の大幅な改善をもたらした」と著者らは記した。

「[さらなる臨床試験で]この結果が確認されれば、極めて重要である」とNCI癌研究センターのDr. Wyndham Wilson氏はコメントし、「高齢の急性骨髄性白血病患者の治療は最近ほとんど進展がみられておらず、効果のある新薬が待ち望まれている」と付け加えた。氏は本研究には参加していない。

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北川瑠璃子、榎 真由 訳
吉原 哲(血液内科・造血幹細胞移植/兵庫医科大学病院) 監修
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