ほとんどの早期乳癌患者では乳房切除後の放射線治療が不要かもしれない/M.D.アンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

ほとんどの早期乳癌患者では乳房切除後の放射線治療が不要かもしれない/M.D.アンダーソンがんセンター

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ほとんどの早期乳癌患者では乳房切除後の放射線治療が不要かもしれない/M.D.アンダーソンがんセンター

リンパ節転移が1カ所の患者は、リンパ節転移なしの患者に比べて再発リスクが有意に高くはない
M.D.アンダーソンニュース
2010年3月6日

リンパ節転移が1カ所のみの早期乳癌患者にとって、乳房切除後の放射線治療は有用ではないかもしれない。というのも、現代的な手術と全身化学療法後の再発リスクは低いからである。テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターの研究者らによれば、この発見は将来、年に何千人もの早期乳癌と診断される女性たちの治療の流れを変えるかもしれない。
本日、腫瘍外科学会年次癌シンポジウムの本会議で発表されたこの研究では、腋窩リンパ節転移が0か、1〜3カ所のリンパ節転移のみの病期1と2の患者で、乳房切除後に胸壁への放射線治療を受けずに手術と補助化学療法を受けた患者は、局所領域再発(LRR)の生涯リスクが低いことが示された。

M.D.アンダーソン腫瘍外科部門の教授で研修プログラム長のHenry Kuerer医学博士によれば、リンパ節転移陽性の乳癌と診断される患者の90%はリンパ節転移が3カ所以下である。リンパ節転移が1〜3カ所の乳癌と診断される女性は毎年47,000人と推定される。そのうち、30,000人は転移が1カ所のみである。

「現在のところ,乳房切除後の放射線治療はLRRの可能性を減らすために有効であることは疑いの余地がなく、この治療法はリンパ節転移が4カ所以上でLRRのリスクが10〜15%以上の乳癌患者に推奨されます。しかし、早期乳癌患者に対する乳房切除後放射線治療の必要性は、癌関係者間では何十年もの間、大論争となってきました」と本研究の統括著者であるKuerer医学博士は説明した。

1990年代の画期的な2つのランダム化試験によって、リンパ節転移のある早期乳癌患者に対して乳房切除後放射線治療を施行することで生存期間が延長することが示された、とKuerer医学博士は述べた。続いて2005年の1960年代から1980年代に実施されたランダム化臨床試験のメタ解析によって、リンパ節転移陽性乳癌女性の生存期間の延長に加え、LRRリスクも減少することが示された。これらの研究結果によって、乳癌に対する治療方針が変化した。すなわち、全米総合がん情報ネットワーク(NCCN)が2007年にガイドラインを変更し、リンパ節転移が1〜3カ所の病期1と2の乳癌患者は乳房切除後の放射線治療を「強く考慮する」ことを推奨した。

「われわれは乳癌の診療と治療の新時代に突入しました。今日、さまざまな化学療法の進歩がめざましく、複数の治療を組み合わせることで、再発の遅延や生存期間の延長に有意な影響を与えました。この進歩を前提として、本研究は比較的腫瘍が小さくリンパ節転移が少ない乳癌女性における現在のLRRリスクを評価することを目的としました」とKuerer医学博士は述べた。

Kuerer医学博士らは、1997年から2002年の間にM.D.アンダーソンで乳房切除術を受けた病期1または2の乳癌患者1,022人に対して臨床的・病理学的要因を調べた。これらの女性のうち、79%はリンパ節転移がなく、26%は1〜3カ所のリンパ節が陽性であったが、大多数の転移は1カ所のみであった。どの患者も乳房切除後放射線治療を受けておらず、術前化学療法を受けた患者もいなかった。77%が術後化学療法とホルモン療法のいずれか、または両方を受けた。年齢中央値は54歳、追跡期間中央値は7.5年であった。

リンパ節転移がない女性とリンパ節転移が1カ所ある女性の10年LRRリスクはそれぞれ2.1%と3.3%で、統計的な差がないことがわかった。

LRRに関与する唯一の独立リスク因子は年齢であり、40歳以下の患者に対してはリンパ節転移の有無にかかわらず、LRRリスクが有意に高かった。

「これら若年女性には、控えめではなく、よりしっかりとした治療が必要でしょう」と研究発表をしたM.D.アンダーソン腫瘍外科部門フェローのRajna Sharma医師は述べた。

「現代的な手術と全身化学療法を受けた早期乳癌患者の圧倒的大多数では、LRR率が非常にに低いため、ルーチンで乳房切除後放射線治療をするのが正当だというエビデンスが示されないのです」とKuerer医学博士は述べた。「本研究は早期乳癌患者の治療に携わる人々の間で大いに議論を呼ぶことでしょう。 患者が医学的に必要な治療だけを受けることを保証するためには、追加の試験を優先的に行わなければなりません。」

Kuerer医学博士とSharma医師の他、M.D.アンダーソン単独で行われた本研究の共著者は以下のとおりである。Thomas A. Buchholz, M.D., professor, Department of Radiation Oncology; Funda Meric-Bernstam, M.D., professor, Kelly K. Hunt, M.D., professor, Isabelle Bedrosian, M.D., assistant professor, Gildy V. Babiera, M.D., associate professor, Anthony Lucci, M.D., associate professor, Rosa F. Hwang, M.D., assistant professor, Loren L. Rourke, MD., assistant professor, Elizabeth A. Mittendorf, M.D., assistant professor, all in the Department of Surgical Oncology; Steven J. Kronowitz, M.D., associate professor, Department of Plastic Surgery; 4 Savitri Krishnamurthy, M.D., professor, Department of Pathology; Ana M. Gonzalez-Angulo, M.D., associate professor, Department of Breast Medical Oncology; and Wei Qiao, Department of Biostatistics.

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盛井 有美子訳
中村 光宏(医学物理士)監修
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原文


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