髄芽腫モデルでは腫瘍溶解性ウイルスによって生存期間が改善する/オハイオ州立大学 | 海外がん医療情報リファレンス

髄芽腫モデルでは腫瘍溶解性ウイルスによって生存期間が改善する/オハイオ州立大学

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髄芽腫モデルでは腫瘍溶解性ウイルスによって生存期間が改善する/オハイオ州立大学

2012年2月13日投稿

• 髄芽腫は小児に最もよくみられる悪性脳腫瘍である。
• 播種のある髄芽腫は特に致命的であり、脳に対する大量の放射線療法を要する。これが脳に損傷を生じることがある。
• 播種のあるヒト髄芽腫の新モデルでは、腫瘍溶解性麻疹ウイルスが有効性を示した。

オハイオ州コロンバス―
オハイオ州立大学包括的がんセンターのAurthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Institute およびメイヨークリニックの研究者らによる新しい研究によれば、脳の周囲にある髄液に播種した髄芽腫のモデルでは、癌細胞を死滅させるために作製された麻疹ウイルス株によって生存期間が延長することが示された。

播種のあるヒト髄芽腫に罹患した動物の治療にMV-GFPと呼ばれる腫瘍溶解性ウイルスを用いたところ、生存期間が最大122%延長した。治療した動物が平均82日間生存したのに対し、対照動物では37日であった。治療した動物8匹のうち2匹は無癌状態であった。

研究結果はNeuro-Oncology誌の電子版に発表されており、髄芽腫でも特に播種のある髄芽腫に対するさらに安全で有効な治療に結びつく可能性があると研究者らは話している。

髄芽腫は小児脳腫瘍全体の15〜20%を占めており、米国では年間350〜400人が新たに診断されている。

治療しなければ、髄芽腫は致命的である。現行の治療には、外科手術、多剤化学療法および脳全体に照射する放射線療法を要する。5年生存率は約60%であるが、大量の放射線療法は知能低下を招くことが多い。

さらに、新たに診断された患者の約20%および再発した患者の75%では、腫瘍が脳脊髄液に播種している。このような小児患者の5年生存率は20%未満である。

試験責任医師を務める神経外科学教授で副学科長のCory Raffel博士によれば、「腫瘍が脳と脊髄周囲の体液に播種した患者は特に予後が悪い。腫瘍に播種があると予後が最悪になるため、放射線療法を避けると同時にこの病態に効果のある治療であれば、患者の生存期間およびサバイバーの充生度(QOL)を改善できる可能性がある」。

Raffelらはこの研究にヒト髄芽腫培養細胞株2株を用いており、ホタルルシフェラーゼで標識して細胞を発光させ、細胞が生きている動物の中で分散し、腫瘍溶解性ウイルスによる治療に反応する様子を追跡できるようにした。

脳に癌細胞を移植して3日後または14日後に、腫瘍溶解性ウイルスを同じ場所に5回注射投与した。

最初に試験に用いた髄芽腫培養細胞株では、治療動物が平均82日生存したのに対して、対照動物では37日であった。治療動物8匹のうち2匹では播種した髄芽腫が治癒しており、まず生物発光画像診断によって、そのあと組織学的にこれを確認した。

さらに悪性度のの強い髄芽腫培養細胞株を用いた2番目の試験では、治療動物が平均37日生存したのに対して、対照動物では16日であり、動物1匹が無癌状態であった。

同研究者らは現在、ヒトでの第1相臨床試験の準備としてウイルスの至適投与量を決めるための試験を実施している。

本研究の共同研究者はこのほか、オハイオ州立大学のChristopher R. Pierson、Adam W. StudebakerおよびBrian Hutzen、ミネソタ州ロチェスター市にあるメイヨークリニックのStephen J. RussellおよびEvanthia Galanisであった。

オハイオ州立大学包括的がんセンター–Aurthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Institute(cancer.osu.edu)は、教育と患者中心の医療および、予防、発見および治療の各方法の向上につながる戦略に優れた科学研究を組み込むことによって、癌のない世界を作ろうと邁進している。オハイオ州立大学包括的がんセンターは、国立癌研究所(NCI)が指定するわずか40の包括的がんセンターのうちのひとつであり、NCIの助成により第1相および第2相の臨床試験を実施しているがんセンター7施設のひとつである。NCIは先頃、オハイオ州立大学の癌プログラムを「きわめて優秀」と評価しており、これは同調査団による最高の評価である。Aurthur G. James Cancer Hospitalは癌プログラムの一部として210床を有する成人患者ケア施設であり、Leapfrog Group(医療の質と安全性の改善に貢献することを目的とする非営利団体)によって「優秀な病院」のひとつに、U.S. News & Reportによって全国トップ20の病院のひとつに選ばれている。

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連絡先 Darrell E. Ward, Medical Center Public Affairs and Media Relations,
614-293-3737 またはDarrell.Ward@osumc.edu

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ギボンズ京子 訳
寺島慶太(小児科/テキサス小児病院)監修
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原文

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