調査研究:殆どの末期癌患者は終末期ケアについて医師と話し合っているが、その多くは病気の終末時期であることが研究により判明/ダナファーバーがん研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

調査研究:殆どの末期癌患者は終末期ケアについて医師と話し合っているが、その多くは病気の終末時期であることが研究により判明/ダナファーバーがん研究所

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調査研究:殆どの末期癌患者は終末期ケアについて医師と話し合っているが、その多くは病気の終末時期であることが研究により判明/ダナファーバーがん研究所

2012年2月8日

根治不能な肺癌または大腸癌患者の大多数は終末期の治療選択肢について医師と話をしているが、多くは病気の終末時期であることがダナファーバーがん研究所の研究者による新たな調査研究により明らかとなった。この研究は2月7日発行のAnnals of Internal Medicine誌に掲載された。

研究者は、患者が急性治療を必要として入院する場合など、特にストレスの多い状況下でこのような終末期の話し合いが行われる傾向があること、また患者が終末期ケアについて話し合う相手は、治療に携わってきた腫瘍専門医以外の病棟医師が多いことを明らかにした。

このような状況は、より穏やかで落ち着いた病状のときに対話がなされていれば数カ月前から可能であったろう深く考える機会を患者から奪ってしまっているかもしれない、と著者らは示唆する。

「先行研究によると、医師と終末期医療に関する希望を話し合った患者は、積極的治療よりも緩和ケアや苦痛が少ない治療を選択する傾向があり、ホスピスや患者の希望に合ったケアを受けている」と筆頭著者のJennifer Mack医師・公衆衛生学修士(ダナファーバー癌研究所、Children’s Hospital Cancer Center)は語る。「しかし、これまで対話の時期、場所、相手に関する研究はなかった」。

IV期(かなりの進行期)の肺癌または大腸癌の患者2,155名を対象とした今回の研究では、カルテ記録や患者または家族/友人へのインタビューにより、73%の患者が医師と終末期医療について話し合っていたことが分かった。死亡後のカルテ調査で医師との終末期医療に関する対話の記録が残されていた1,000名近い患者における対話の時期中央値は死亡前わずか33日であった。

対話の場所と医師の専門領域に関する知見も得られた。カルテに記載のあった1,000以上の終末期医療に関する話し合いのうち55%は病棟内で行われていた。この研究では腫瘍専門医による終末期医療に関する対話記録は末期患者のわずか27%であった。

本研究では10,000人を超える肺癌または大腸癌患者を対象とした複数地域・集団・医療システム研究であるCanCORS(the Cancer Outcomes Research and Surveillance Consortium)のデータを使用した。研究者は異なる2つの時期に患者と面談を行い、診断後15カ月のカルテを分析した。

Mack医師は「これだけ多くの患者が終末期医療に関する医師との会話を行っているという事実には勇気づけられる」と述べた。「しかし、かなり多く会話が、病状経過の終末期に行われていることに懸念がある」。

先行研究では進行癌患者のうち終末期医療に関する話し合いは4割に満たないと推定していた。Mack医師は先行研究の数値の低さは、死の直前の会話を記録していなかったことが原因であろうと考察する。

別の研究は終末期医療の対話を遅らせている要因が医師側にある可能性を示唆している。その理由には、終末期医療の話題を切り出すことへの躊躇や、問題を解決し希望を与える医師のイメージに反することがあげられた。Mack医師は、医師の気持ちも理解はできるが、対話までの時間を過剰に引き延ばせば、結果として患者の不利益になるかも知れないと云う。

Mack医師たちは終末期医療に関する対話の質と内容を評価する研究の実施を予定しており、より早い段階での対話が患者に恩恵をもたらしうるかを調査する。

本論文の主任著者はJane Weeks医師・理学修士(ダナファーバーがん研究所)である。
共同研究者は次の通り。
ダナファーバーがん研究所 Angel Cronin理学修士Nathan Taback博士
ハーバード大学医学部 Haiden Huskamp博士、Nancy Keating医師・公衆衛生学修士
カリフォルニア大学ロサンゼルス校 Jennifer Malin医学博士
オンタリオがん研究所 Craig Earle医師・理学修士

本研究はNational Cancer Institute、U.S. Department of Veterans Affairs、American Cancer Society、およびNational Palliative Care Research Centerの助成金により実施された。

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遠藤豊子 訳
久保田 馨(呼吸器内科/日本医科大学付属病院)監修
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原文

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