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SUMO切断タンパク質のT細胞/B細胞発生における重要な役割の発見/MDアンダーソンがんセンター

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SUMO切断タンパク質のT細胞/B細胞発生における重要な役割の発見/MDアンダーソンがんセンター

SENP1は重要な遺伝子活性化因子STAT5の核内への移行を阻害する
M.D.アンダーソンがんセンター
2012年1月27日

テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターの研究者主導による研究で、SUMOが遺伝子活性化タンパク質STAT5を結合した場合、タンパク結合が破壊されない限り免疫系B細胞及びT細胞の正常な胚発生を阻害するとした成果を、2012年1月27日発行のMolecular Cell誌に発表した。

「今回の研究は、SUMO及びセントリンSUMO特異的プロテアーゼ1(SENP1)の活性が免疫学領域、特にT細胞及びB細胞のリンパ球発生の範囲まで広がったものです」とM.D.アンダーソンがんセンター教授兼循環器内科部長であり、本研究報告の代表著者であるEdward T. H. Yeh医学博士は述べた。

SUMOタンパク質は、低分子ユビキチン様修飾因子、またはセントリンとして知られており、細胞内で他のタンパク質に結合しタンパク質機能を修飾するほか、細胞内で移動する。SENP1は、SUMO修飾タンパク質のSUMO部分を切断する6種類のタンパク質ファミリーの1つである。タンパク質のSUMO化(SUMO修飾)が癌や心疾患、神経変性疾患などの発現に関与しているとされてきた。

同研究チームは、最初にマウスを用いて、リンパ球発生でのSENP1の機能を分析したところ、B細胞及びT細胞発生初期段階の前駆細胞でSENP1が過剰発現していることが明らかとなった。

遺伝子組み換えで作製したSENP1遺伝子発現欠損マウスを用いたところ、Yeh博士の研究班は、マウス胎仔において感染症病原体を特定し攻撃するT細胞、B細胞、白血球リンパ球に重大な欠損があることを発見した。

SUMOはSTAT5を核内に固定
それに引き続いた実験で、免疫細胞の発生及び機能に重要な役割を果たすことが知られる転写因子であるSTAT5に辿り着いた。転写因子は細胞核内で機能を発揮し、遺伝子のプロモーター領域に結合し遺伝子発現を活性化する。

「STAT5は周期的に機能し、遺伝子の活性化のため細胞質から核内に移行し、また核外の細胞質に移行します」と語るのはYeh博士。また「核内でSTAT5のSUMO化が起こり、SUMOを除去するSENP1がない場合、STAT5が核外に移行できなくなることを我々の研究班が確認しました」とも述べた。

研究チームは、STAT5活性(つまりリン酸化及びアセチル化)を制御する他の2種類のシグナル伝達現象にSUMOが関与することを発見した。

SUMOがSTAT5シグナル伝達を阻害
JAKチロシンキナーゼがSTAT5タンパク質の特異的部位にリン酸基を結合することで、STAT5は細胞質内で活性化する。この形質転換したSTAT5は核膜を通過し核内で遺伝子を転写する。

同研究班は、SUMOがSTAT5のリン酸化部位の近位に結合するが、SENP1欠損細胞ではSUMO化が増加し、リン酸化の減少が起こることを確認した。

SUMO化vs.アセチル化
リン酸化に加え、STAT5 のアセチル化も遺伝子転写を増強するためSTAT5が核膜を通過し核内へ移行するのに必要不可欠な反応であることが示された。Yeh博士らは、SUMOは同じ結合部位に対してアセチル基と直接競合し、アセチル化を阻害することを突き止めた。

「SENP1によるSUMOの除去がなければ、STAT5はアセチル化またはリン酸化のいずれの反応もなく、再利用ができません」とYeh博士。「我々はSENP1がSTAT5のSUMO化制御を通じてリンパ球発生を制御していることを発見しました。」

Yeh教授の研究室がSUMO化について1996年に発見して以来、SUMOは数千種類ものタンパク質の機能を改変することが解明されてきた。

Yeh博士は、2月8日~11日の日程でM.D.アンダーソンがんセンター内Dan L. Duncan Buildingで開催予定である、第6回International Conference SUMO, Ubiquitin, UBL Protein:Implications for Human Diseases(国際SUMO,ユビキチン、UBLタンパク質カンファレンス:ヒトの病気への関与)の主催者を務める。Yeh博士は隔年で当会合の開催を担当している。

「SUMOについて昔は殆ど知られていませんでした。現在は、他説が証明されない限りタンパク質はSUMO化するものと考えられているのです」とYeh博士は述べた。

Yeh博士の論文の共著者には、筆頭著者のThang Van Nguyen博士、M.D.アンダーソン循環器内科のHong Dou氏、M.D.アンダーソン免疫部門のPornpimon Angkasekwinai博士、及びChen Dong博士、ヒューストンのテキサス心臓研究所/セント・ルーク病院のFeng-Ming Lin博士、Long-Sheng Lu医師・博士、及びJinke Cheng獣医学博士、米国ブラウン大学医学部及びロードアイランド病院のY. Eugene Chin博士が含まれている。

Nguyen博士は、ヒューストンのM.D.アンダーソンがんセンター及びテキサス大学健康科学センターとのテキサス大学生物医学系連携大学院の卒業生として本プロジェクトを発足した。Angkasekwinai博士はタイPathumthani県のThammasat大学と提携している。

本研究はNCI及びベトナム教育基金のNguyen博士への研究奨励制度により資金援助を受けた。

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菅原宣志 訳
石井一夫  (ゲノム科学/東京農工大学) 監修
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原文


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