3つの分子標的抗癌剤は致命的副作用の危険性を増加させる/ダナファーバーがん研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

3つの分子標的抗癌剤は致命的副作用の危険性を増加させる/ダナファーバーがん研究所

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

3つの分子標的抗癌剤は致命的副作用の危険性を増加させる/ダナファーバーがん研究所

2012年2月6日

ダナファーバー癌研究所の研究者らによって行われた新たな分析によると、比較的新しい3つの分子標的抗癌剤を用いた治療は、致命的副作用の可能性のわずかな増加と関連しているという。彼らは、その危険性は依然として低いが、医師や患者はそのことを考慮に入れるべきだと加えて述べている。

2月6日にJournal of Clinical Oncology に発表された研究によると、3つの薬剤は癌細胞中の血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)チロシンキナーゼ型受容体の阻害剤であり、3つの薬剤のいずれかを服用した患者における致命的な合併症の発現率は1.5%であった。一方、この結果と比較して、標準治療、あるいはプラセボ投与を受けた患者における合併症発現率が0.7%であった。

本研究では、ソラフェニブ(sorafenib、ネクサバール)、スニチニブ(sunitinib、スーテント)、パゾパニブ(pazopanib、Votrient®)の3つの薬剤を調査した。ソラフェニブは腎臓癌と肝臓癌、スニチニブは腎臓癌と消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)、パゾパニブは腎臓癌で承認されている。

Dana-Farber(ダナファーバー)のToni Choueiri医師率いる本研究の著者らにより、臨床試験で最も多かった致命的な有害事象である出血や心臓発作のリスクが少しでも高い患者に対しては、分子標的治療薬を用いる前に、医師はその潜在的な危険性を十分考慮に入れるべきである、ということが示唆された。彼らはまた、医師や患者がその危険性を認識し、患者を綿密にモニターする必要があるかどうかを考慮することも推奨している。

「通常の患者にとってこれらの薬剤は有効であり、このような癌への適応でFDAに承認されていることに疑いの余地はない」とChoueiri氏は述べている。「これらの致命的副作用の絶対数としての発症数はとても少ないが、相対リスクはより高くなる。患者と医師はそのことを認識する必要がある」。

例えば、患者の薬剤治療を一時的に中止する、あるいは患者がこれらの薬剤の1つを服用している間は待機手術を取りやめる必要があるかもしれない、と彼は述べている。Choueiri氏は心臓発作を経験したことがある患者にはこれらの薬剤を慎重に使用する必要がある、と加えて述べている。

「患者はすべての情報を与えられるべきであり、その結果、次の段階の治療へ進むかどうかを決定する際に、その長所と短所を比較することができる」。

Choueiri氏は「本研究はこれらのVEGFチロシンキナーゼ阻害剤を用いた治療により、死亡リスクが有意に増加することを示した初のメタ解析だと確信している」と述べている。死亡した患者で最も多かったのは、致命的な出血であり、また、二番目に多くみられた死因は心臓発作や心不全であり、肝不全が原因の場合も見られた。

メタ解析を行った10の臨床試験には、薬物治療を受けた患者4679人が含まれていた。

血管内皮細胞増殖因子受容体はチロシンキナーゼ分子であり、腫瘍から分泌された化学シグナルに反応し、腫瘍の増殖を支える栄養素を供給するため血管新生を促進する。しかし、低濃度の血管内皮増殖因子(VEGF)は、傷の治癒や心臓の恒常性、および通常組織での新しい血管の形成などの体内のいくつかの生理学的プロセスの維持に重要な役割を果たすので、人間にとって必要なものである。結果として、癌治療を目的としたVEGFの阻害はこれらの正常機能を妨げ、有害事象の確率を増加させる可能性がある。

ダナファーバーのFabio A.B. Schutz医師は本論文の筆頭著者である。他の著者はハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health)のYoujin Je博士とBeth Israel Deaconess Medical CenterのChristopher Richards医師である。

本研究はTrust Family Research Fund for Kidney Cancerにより支援された。

******
下野龍太郎 訳
勝俣範之(腫瘍内科、乳癌・婦人科癌/日本医大武蔵小杉病院) 監修
******
原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward