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BRCA遺伝子変異を有する乳癌患者は対側乳房に癌を発症する可能性が4倍高い

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BRCA遺伝子変異を有する乳癌患者は対側乳房に癌を発症する可能性が4倍高い


フレッドハッチンソンがん研究センター
2010年4月5日

乳癌感受性遺伝子BRCA1およびBRCA2に遺伝的変異がある55歳未満の乳癌患者は、変異がない乳癌患者と比較して、初発腫瘍の反対の乳房での乳癌、つまり対側乳癌を4倍発症しやすい。フレッドハッチンソンがん研究センターのKathleen Malone博士らによるこの試験結果は、4月5日付電子版Journal of Clinical Oncology誌に掲載された。
BRCA1変異を有する乳癌患者は、変異のない患者と比較して続発性の対側乳癌のリスクが4.5倍高く、BRCA2変異の乳癌患者では3.4倍のリスク増加があったことを研究者らが発見した。55歳未満で乳癌と診断された患者のうち、BRCA1変異またはBRCA2変異のいずれかを有する患者が10年以内に対側乳癌を発症する累積確率は18%で、変異のない女性の累積確率は5%であった。

さらに、BRCA1変異保有者のうち初回診断の時期が早い女性ほど、対側乳癌を発症するリスクが高いことがこの試験で明らかになった。例えば、30代前半〜半ばで初めて診断された変異保有者が10年以内に対側乳癌を発症する累積確率は31%であるのに対し、非保有者の累積確率は7%であった。

「われわれの試験結果は、早発性の乳癌がBRCA変異に起因しているかもしれないというメッセージを若年の乳癌患者に伝えています」と論文の第一著者でフレッドハッチンソンがん研究センター、Public Health Sciences Division(公衆衛生科学部)のメンバーであるMalone氏は言う。

全年齢群の乳癌患者のうち、BRCA変異を有する患者はわずか5%ほどであるが、乳癌の初回診断の時期が早ければ早いほど、その患者がBRCA変異を有している可能性が高い。「今回の試験で、若い患者(35歳未満で乳癌の初回診断をされた患者)において、片側性の乳房腫瘍を有する患者の16%と、2つの原発性乳癌を発症した患者の54%が変異保有者であったことを発見しました」とMalone氏は述べた。変異頻度は34歳〜44歳で初めて乳癌と診断された女性でも上昇していた。1つの乳房の腫瘍が初めて診断された患者の変異頻度は6.3%であった。2つの原発性乳癌が診断された患者の変異率は22%であった。

「変異頻度の上昇とその変異に関連する対側乳癌のリスクは、家族歴に関わらず、若年で初めて乳癌を診断された女性の遺伝子検査を検討し、それを医療者と議論することが必要であると強調しています」とMalone氏は述べた。「もしこのような患者がBRCA遺伝子のいずれかの変異を有すると分かったら、続発性の乳癌が診断される高いリスクを考慮して、治療法や予防法、より精密な経過観察などの戦略を立てるべきです」

Memorial Sloan Kettering Cancer Center(メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター)が実施した国際的な多施設共同試験において、対側性乳癌患者705例と対照群の片側乳癌患者1398例のデータを分析した。全ての女性は55歳未満で初回診断されていた。

参加者は、ワシントン西部、ロサンゼルス、サンディエゴ、アイオワ州、デンマークの集団ベースの癌登録より選ばれた。全参加者に対し、BRCA1またはBRCA2変異の有無を検査した。診察時にリンパ節を超えて癌が転移している徴候のある参加者はいなかった。

「これは、2つの重要な乳癌感受性遺伝子と対側乳癌リスクとの関連についての初めての集団ベースの試験です」とMalone氏は述べた。この試験は、BRCA変異と対側乳癌の関連についてのこれまでで最大規模の試験でもある。「この試験で、BRCA1とBRCA2変異を有する一般集団における対側乳癌リスクの有病率を最も明確に把握することができます」

先に行われたこれらの遺伝子の対側乳癌リスクとの関連についての調査では、主に稀なハイリスクの家族に焦点を当てており、少ない症例数に制約されていた。

「われわれの試験での対側乳癌のリスクは非常に高いですが、ハイリスクな設定の過去の試験に比べると、総合的なリスクが10〜15%低いことは注目に値します」とMalone氏は述べた。「それは、この試験が乳癌の家族歴陽性のない多数の女性のリスクを評価した数少ない試験だからです」

「臨床的判断での役割があるため、このリスク評価を明確にすることが重要です」とMalone氏は言う。「われわれの試験は、最小のリスクから最大のリスクまで、家族歴のプロフィールを全範囲にわたって盛り込んだ初めてのものであり、一般集団におけるBRCA保有者の対側乳癌の真のリスクをより正確に反映している」と彼女は述べた。

毎年18万人以上の米国の女性が乳癌と診断されている。「全国的に乳癌生存者の数が増加すると、二次性の原発性対側乳癌の潜在的リスクによる精神的負担の重大性は非常に大きくなります」とMalone氏は述べた。

BRCA1とBRCA2は腫瘍抑制遺伝子として知られる遺伝子クラスに属する。これらの遺伝子は細胞の遺伝的完全性を確保し、癌の原因となりうる制御されない細胞増殖を阻止する役目がある。BRCA1やBRCA2の変異は、遺伝性乳癌および卵巣癌の発症と関連している。

これらの遺伝子のいずれかの変異を受け継ぐと、女性の乳癌または卵巣癌、あるいはその両方を発症する生涯リスクは、著しく増加する。このような女性は若年(閉経前)での乳癌または卵巣癌、あるいはその両方の発症リスクが増加しており、これらの疾患が診断された近親者がいることが多い。

本試験はNCIからの資金援助を受け、以下の機関からの調査者との連携で実施された。
(アルファベット順)City of Hope; the Danish Cancer Society; Lund University (Sweden); Memorial Sloan-Kettering Cancer Center; the University of California, Irvine; the University of Iowa; the University of Southern California; the University of Virginia; and Vanderbilt University.

メディア向け情報:エンバーゴ(公開猶予)期間のあるJournal of Clinical Oncology誌の論文(”A Population-Based Study of the Risk of Second Primary Contralateral Breast Cancer Associated with Carrying a mutation in BRCA1 or BRCA2″)。

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山本容子 訳
原 文堅(乳腺/四国がんセンター)監修
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原文


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