予後及び癌の統計情報を理解する:Q&A | 海外がん医療情報リファレンス

予後及び癌の統計情報を理解する:Q&A

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予後及び癌の統計情報を理解する:Q&A

原文記事日付 03/07/2008

キーポイント
  • 予後とは、癌の一般的な経過や転帰を示すものです。
  • 各人の予後に影響を及ぼす因子には様々あり、癌の種類、発現部位、及び病期、また染色体異常又は血液細胞数異常(特定の種類の癌)、更には年齢、一般健康状態、および治療への奏効具合などがあります。
  • 予後を予測する際、医師はその患者にもっとも類似した病状を持つ患者群から得られた統計情報を用いることがあります。
  • 生存割合(率)とは、こうした統計情報の一つで、ある特定の癌の種類と病期にある患者について、診断時からある期間生存する患者の割合を表す。
  • 医師は、患者ごとの転帰については確信は持てません。事実、患者の予後は時間とともに変化することがあります。
  • 患者の病状を最も熟知している医師が、患者の全体の状態に影響を及ぼす特性を念頭に置き、予後について話し合うのに最も相応しい立場にいると言えます。

1.      予後とは何ですか?

癌に直面した人々は当然ながら将来に不安をいだきます。予後は、癌の一般的な経過や転帰の見込み、つまり患者が癌から回復、又は癌を再発(癌が再び発生すること)する可能性を示すものです。

 

2.      患者の予後に影響を及ぼす因子にはどのようなものがありますか?

数多くの因子が患者の予後に影響を及ぼします。その中でも、癌の種類や発現部位、病期(癌の転移、つまり癌が他の部位に広がりの程度)、そのグレード(癌細胞の形態がどの程度異常であるか、また癌がどれだけ速く増殖したり転移したりしそうか)などが重要な影響因子となります。また、白血病やリンパ腫といった血液癌(血液や骨髄の癌)では、染色体異常や全血球数(CBC)異常が予後に影響を及ぼします。この他には、年齢、一般健康状態、そして治療に対する奏効などが挙げられます。

3.      統計情報が予後予測にどのように貢献するのでしょうか?

予後を検討する際に、医師は癌や治療に影響を及し得るあらゆる因子を慎重に考慮した上で、予後を予測します。医師は、数百人または数千人規模の癌患者に対して、長い年月の間に実施された研究から得た情報に基づき予後を予測します。
可能な場合、医師は患者それぞれに最も類似した状態の患者群から得られた統計情報を用います。数種類の統計情報が予後の検討時に用いられることがあります。一般的に用いられる統計情報は次のとおりです。
●生存率(割合):特定の癌及びその病期の患者において、診断後一定期間生存した患者の割合を表します。例えば、ある特定の癌患者100人中55人が5年以上生存し、残りの45人は死亡した、という場合の割合です。生存率の統計情報では、癌以外の原因で死亡する患者もあるために、患者をさらに死因により分類します。例えば、上述した45人のうち、35人が癌により死亡、また残りの10人は癌以外の死因で死亡、という具合に分類します。
●5年生存率(割合):癌の各症状の有無、無病状態、または治療継続中という状態に関わらず、癌の診断を受けてから5年間生存している患者の割合を表します。5年生存率は、予後を検討する際や異なる治療を数値的に比較する際に、標準的に用いられます。この生存率は、治療後の期待余命が5年しかない、また癌が治らないことを意味するものではありません。

●無病生存率(割合)、あるいは無再発生存率(割合):癌が再発しない状態で生存する期間を表します。死亡までの期間ということではありません。

生存率は非常に多くの患者に基づき算出されることから、ある特定の患者のための予後予測に用いることはできません。全く同一である患者というのは存在しないため、治療方法やそれに対する奏効も大きく異なるものなのです。

癌が治療に対して奏効を示すことが見込まれる場合は、医師から予後が良好であると伝えられるでしょう。また、癌を制御することが難しいと見込まれる場合は、予後が思わしくないということが言えます。但し、予後は単なる予測にしかないことを念頭に置くことが重要です。つまり、医師は患者それぞれの転帰について完全な確信があるわけではないのです。

4.      予後を知ることは役に立ちますか?

癌患者やその周囲の人々は、数多くの不明点に直面します。癌に関して、また今後予想されることを理解することで、患者やその周囲の人々は、治療の計画や生活スタイルの変更、生活の質や金銭管理に関する決断などに役立ちます。また、癌患者の多くが予後について知りたいと希望します。予後について知ることで様々なことへの対処が楽になると感じるからです。患者は、生存率といった患者自身に関する統計情報を医師に尋ねたり、自ら調べたりします。また、統計的な情報は誤解を招き焦燥感を煽るものと捉え、あまりに非人間的であると感じている患者もいます。

患者の病状を最も熟知している医師が、予後について話合し、患者にとって予後がもつ意味合いを説明する最も相応しい立場にいます。また同時に、医師ですら予後として期待できることについては明確には言えないということも理解しておくことが重要です。事実、患者の予後は癌の進行や治療の成功/不成功により変化するものなのです。

予後に関する情報を求めることは個人的な判断で行うものです。どの程度まで予後について情報を求めるか、そしてどう対処するか、それは患者次第なのです。

 

5.      患者が治療を受けないと決めた場合の予後はどうでしょうか?

それぞれの患者によって病状が異なるため、この質問について答えを出すのは容易ではありません。通常、予後統計は、最新の治療に対して現在受けられる最良の治療法を比較した研究から得られるものであり、「治療をしない」ことを比較したものではありません。そのため、治療しないことを選択した患者の予後を正確に想定することは医師にとって容易ではないでしょう。しかし、すでに述べたとおり、患者の病状を最も熟知している医師が、患者の全体的な状態に影響を及ぼす患者特性を念頭に置きながら、予後について話し合うのに最も相応しい立場にいると言えます。

患者が治療を受けないことを選択する理由には様々なものがあります。ひとつには、治療に関連した副作用への懸念があります。患者はこういった懸念を医師や癌看護師と話し合うべきです。現在では、癌療法による副作用の発現を予防または制御する数々の薬剤があります。また、この他に治療を望まない理由としては、治療を行っても予後が思わしくないとされる癌の場合が挙げられます。こうした場合、患者は臨床試験(研究的な試験)を検討するかもしれません。臨床試験では、現在ある標準的治療よりもさらに有望な新薬での治療を受けられることがあります。

臨床試験への参加を検討されている患者は、医師に相談下さい。臨床試験関連情報については、米国国立癌研究所(NCI)の癌情報サービス(CIS)[電話番号1-800-4-CANCER(1-800-422-6237)]、またインターネット上で配布しているNCI小冊子「臨床試験への参加」(http://www.cancer.gov/clinicaltrials/Taking-Part-in-Cancer-Treatment-Research-Studies
on the Internet
:原文)から入手いただけます。この小冊子では、臨床試験がどのように行われるか、また予想される試験の有用性やリスクについて説明しています。NCIは米国国立衛生研究所の機関の一部です。臨床試験についてさらに詳しい情報についてはNCIウェブサイト内のhttp://www.cancer.gov/clinicaltrialsから入手いただけます。現在実施中の臨床試験に関して詳細に情報を提供し、またPDQ®やNCIの包括的な癌情報データベースへのリンクも示しています。また、CISでもPDQに関する情報を提供しています。

NCI原文へ

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菅原宣志 訳

後藤 悌(呼吸器内科) 監修

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