腹部にまれな癌を有する小児患者に対して、外科手術が新たな治療選択肢を提供できることが示される/M.D.アンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

腹部にまれな癌を有する小児患者に対して、外科手術が新たな治療選択肢を提供できることが示される/M.D.アンダーソンがんセンター

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腹部にまれな癌を有する小児患者に対して、外科手術が新たな治療選択肢を提供できることが示される/M.D.アンダーソンがんセンター


M.D.アンダーソンがんセンター
2010年5月20日

テキサス大学M.D.アンダーソン小児がん病院の小児腫瘍外科医が行った研究により、若年患者用に改変した成人用手術を行うと、腹部にまれな腫瘍を有する小児の生存率が改善したことが示された。
Journal of Pediatric Surgery誌の5月20日号に報告されたこの研究では、線維形成小円形細胞腫瘍(DSRCT)として知られる、まれで急速に進行する小児癌と診断された24人の小児患者がレトロスペクティブに調査された。腹腔内温熱化学療法(HIPEC)または「温熱化学療法」と呼ばれる外科手術を受けた患者の3年間の全生存率は71%であった。標準治療のみを受けた患者の3年間の全生存率は26%であった。

M.D.アンダーソン小児がん病院の准教授であるAndrea Hayes-Jordan医師は、米国で初めて温熱化学療法による成人用手術を小児向けに行った唯一の外科医である。

「研究では、この外科技術が腹部に複数の腫瘍を有する患者に安全かつ有利であることが示されました」と報告書の筆頭著者であるHayes-Jordan医師は述べた。「以前は、DSRCT患者は何も手だてがないと言われていましたが、現在はこの手術により若い患者の命を数カ月、そして数年も延ばすことができます。」

先の研究では、化学療法に熱を加えると相乗効果が生まれることが示されていた。Hayes-Jordan医師はHIPECにより10〜12時間かけて患者の腹腔内の数百の腫瘍を除去または減量する。次に摂氏40〜41度(華氏104〜106度)に温めた化学療法を腹腔内に行き渡るように投与し、その間、患者は体温を安全なレベルで維持するために冷却毛布の上に横たわる。化学療法は、減量手術後に残ったあらゆる微少腫瘍細胞を死滅させる助けとなる。術後1〜2カ月以内に完全に回復し、普段の活動に戻ることができる患者も多い。

研究には5〜43歳までの患者が含まれたが、HIPECを受けた患者は5〜25歳であった。研究結果では18歳以上の患者よりも若年患者の方がHIPECによって良好な結果が得られることが示された。また、無病生存率も減量手術に加えてHIPECを受けた患者の方が良好であった。1年後の無病生存率は減量手術のみを受けた患者で14%、HIPECも受けた患者では53%であった。

「この手術が腹部腫瘍を有する多くの子供たちを救うことになると勇気づけられています」とHayes-Jordan医師は述べた。「他施設でも子供たちを救えるよう、この技術を広めています。より良好な結果を生み、あらゆる毒性を減少させるべく、これからは様々な化学療法で温熱療法を試してみたいと考えています。」

DSRCTはまれで進行性の高い軟部組織肉腫で、主に腹部や骨盤領域に多発性腫瘍として出現する。若年白人男性にもっとも頻繁に起こるが、1989年以降、全世界で報告された症例は200件未満である。DSRCTの全生存率は約30〜55%だが、これはDSRCTが化学療法と放射線に耐性を持つ場合が多いことが一因である。Hayes-Jordan医師は生存率の低さは、減量手術後に残った腫瘍細胞が腹部や他の臓器に広がることにも起因すると述べた。

「4年前、DSRCTに関してほとんど何も知らなかった私たちは、この病気に直面している家族に対してわずかな希望しか与えることができませんでした」と小児科教授で本研究の統括著者であるPeter Anderson医学博士は述べた。「温熱化学療法を含む複数の種類の治療を併用することで、患者が人生の節目である誕生日を翌年も迎え、卒業式に出席し、さらには親にもなるのを見届けることができるのです。すべて、この治療なしに彼らには経験しえなかったことです。」

Hayes-Jordan医師は、研究で公表されたデータによって、より多くの施設が腹部腫瘍を有する小児患者に対してHIPECを実施することを願っている。同医師はさらに腹部領域に転移する癌も対象とした研究を進める予定である。

本研究の他の共著者はM.D.アンダーソンの筆頭共著者であるHolly GreenおよびNancy Fitzgerald医師およびLianchun Xiaoであった。

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横山加奈子訳
寺島慶太(小児血液腫瘍・神経腫瘍医/テキサス小児がんセンター)監修
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原文


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