CA-125の経時的変化は卵巣癌を早期発見するためのスクリーニングツールとして有望/M.D.アンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

CA-125の経時的変化は卵巣癌を早期発見するためのスクリーニングツールとして有望/M.D.アンダーソンがんセンター

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CA-125の経時的変化は卵巣癌を早期発見するためのスクリーニングツールとして有望/M.D.アンダーソンがんセンター

現在卵巣癌再発の発見に有用とされている血液検査は新たな可能性に満ちている。治癒可能な段階で発見されない侵襲性の高グレード病変に関する報告
M.D.アンダーソンがんセンター
2010年5月20日

卵巣癌の再発を予測するタンパク質として以前から知られているCA-125の経時的変化の評価が卵巣癌の早期スクリーニングツールとして有用であることがテキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターの研究者らによって示された。
この研究成果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会に先立ち、M.D.アンダーソン婦人科腫瘍学部門のKaren Lu教授によって本日発表された。簡単な血液検査がより大規模な試験において生存期間に対し有用であると示された場合、卵巣癌に対する平均的なリスクを有する閉経後の女性にとって、早期の段階での卵巣癌の検出や、最も侵襲性が高いタイプの卵巣癌の発見ができる待望のスクリーニングツールとなる可能性がある。

M.D.アンダーソンにはこのCA-125という重要なバイオマーカーを研究してきた長い歴史がある。同センターのトランスレーショナル研究統括責任者であり、ASCO発表試験の共同研究者であるRobert Bast医師は、1980年代にCA-125とその卵巣癌再発の予測能を発見した。それ以来M.D.アンダーソンをはじめとする研究所では、CA-125が卵巣癌の早期発見に果たす役割を解明しようとしてきた。しかし、このマーカーは卵巣癌以外の原因によっても上昇するため、早期スクリーニングで偽陽性となることがある。

「過去10年間で卵巣癌については多数の新たなマーカーや技術の発見が相次ぎ、私を含めた婦人科腫瘍学の研究者らは最終的にはCA-125より優れた早期検出マーカーが発見されるだろうと思っていました。しかしながら、厳密かつ科学的な試験によって新たなマーカーを直接比較した結果、CA-125以上に優れたマーカーはないことがわかりました」と、試験責任医師であるLu教授は述べた。

アメリカ癌協会によれば、2009年には21,550人の女性が卵巣癌の診断を受け、別に14,600人が卵巣癌で死亡した。問題は卵巣癌女性の70%以上において、診断される時点で癌が進行してしまっていることだとLu氏は説明した。

「卵巣癌は早期に発見すれば治療できるだけでなく根治可能なため、卵巣癌との闘いでの聖杯はスクリーニング法の発見と言えます」とLu氏は述べた。

Lu氏が試験責任医師を務めた前向き一群試験では、M.D.アンダーソンを主導機関とする全米の医療機関7カ所から3,252人の女性が登録された。登録された女性は全員が健康な50〜74歳の閉経後女性であり、乳癌または卵巣癌の濃厚な家族歴はなかった。この試験の主要評価項目は特異性が高い、つまり偽陽性がほとんどないことであった。加えて、試験では陽性予測率、すなわち卵巣癌の患者を発見するまでに要した検査回数も評価した。

女性全員が試験開始前にCA-125の血液検査を受けた。被験者の年齢およびCA-125のスコアに基づいた数学的モデルである卵巣癌リスクアルゴリズム(Risk of Ovarian Cancer Algorithm:ROCA)を用いて、女性を3つのリスクグループに層別化した。「低」リスクグループは1年以内にフォローアップ血液検査を受け、「中」リスクグループは3カ月以内に再血液検査でCA-125のモニタリングを受け、「高」リスクグループは経腔超音波検査(TVS)および婦人科腫瘍医の診察を受けた。

CA-125の経時的変化に基づいて中リスクグループおよび高リスクグループへ層別化された被験者の割合は、それぞれ年間6.8%および0.9%であった。累計85人(2.6%)の女性が高リスクと判定され、TVSおよび婦人科腫瘍医の診察を受けた。このうち、8人が手術を受け、5人で卵巣癌が発見され(3人が浸潤性、2人が境界型)、3人が良性腫瘍であったことから、陽性予測率は37.5%であった。よって、卵巣癌の患者1人の発見に要する検査回数は3回以下であろうとLu氏は説明した。スクリーニングでは2人の境界型卵巣癌を発見できなかった。

非常に重要な点としては、上記のうち3人の浸潤性卵巣癌は卵巣癌の中でも最も侵襲性が高い高グレードの上皮性腫瘍であったが、早期に発見されたため(ステージICまたはIIB)、治療可能なだけでなく、ほとんどが根治可能であったとLu氏は述べた。また、Lu氏は、浸潤性卵巣癌が発見された3人はいずれもCA-125値が上昇するまで3年以上低リスクグループでモニタリングを受けていたことも指摘した。

「CA-125の上昇が見られるのは卵巣癌の80%までです」とBast氏は説明した。「CA-125単独では癌を見逃す可能性があるため、現在われわれは2回目の試験としてCA-125を含めた4種類の血液検査による評価を計画中です。現時点の方法は完璧ではありませんが将来に向けた1歩だと考えています。」

Lu氏は、今回発表された研究成果は有望ではあるが最終的な結論はいまだ待たれるところであり、すぐに臨床現場の変革に結びつくものではないと強調しながらも、大規模なランダム化前向きスクリーニング試験を実施する必要があることに変わりはないと述べた。こうした研究が英国で進行中であり、2015年までに20万人以上の女性から結果が得られる予定である。

「10年以上にわたって卵巣癌の治療に取り組んできた臨床医として、私は卵巣癌のスクリーニングに関しては自他ともに認める懐疑派となりました。このような研究成果を得て現在では、それほど遠くない将来に最も早期の根治可能なステージの卵巣癌を検出できるようなスクリーニング方法を提供できるだろうと、慎重にではありますが楽観的な見通しを立てています。そして、このスクリーニング検査によって、現段階では致命的な疾患を持つ女性の生存率が変化するだろうと考えています。」

試験は現在も続けられており、Lu氏のチームはフォローアップとしてCA-125と他のマーカーを合わせた総合的な経時的変化がスクリーニングに及ぼす影響を評価する計画を立てている。

この試験はM.D.アンダーソン卵巣癌SPORE(Specialized Program of Research Excellence)の研究プロジェクトであり、米国国立癌研究所の資金援助を受けて実施された。また、Golfers Against Cancer、The Jane P. and Wiley L. Mossy Jr. Foundation、Tracy Jo Wilson Ovarian Cancer FoundationおよびNorton Fundの慈善基金を受けた。

Lu氏およびBast氏のM.D.アンダーソンの他の共著者は以下のとおりである。Theresa Bevers, M.D. Department of Clinical Cancer Prevention, Herbert Fritsche, Ph.D., Department of Laboratory Medicine, and Deepak Bedi, M.D., Department of Diagnostic Radiology, all with MD Anderson; Steven Skates, Ph.D., Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School; Olasunkanmi Adeyinka, M.D., UT Physicians Family Medicine Center; William Newland, M.D., The Iowa Clinic; Richard Moore, M.D., Women & Infants Hospital of Rhode Island and The Warren Alpert Medical School of Brown University; Leroy Leeds, M.D., The Women’s Hospital of Texas; and Steven Harris, M.D., Baylor University Medical Center at Dallas.

Bast氏はCA-125の共同発明者としてFujirebio Diagnostics, Inc.からロイヤルティーを受け、同社の顧問を務めている。

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市中芳江訳
朝井鈴佳(獣医学・免疫学)監修
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原文


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