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タモキシフェン後のエキセメスタン療法により、乳癌再発率が低下し生存期間が延長

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タモキシフェン後のエキセメスタン療法により、乳癌再発率が低下し生存期間が延長

Exemestane Following Tamoxifen Reduces Breast Cancer Recurrences and Prolongs Survival
(Posted: 02/01/2012)

要約

大規模国際第3相試験の長期追跡データから、2~3年間のタモキシフェン療法後にエキセメスタン剤(アロマシン®)に変更し、計5年間アジュバント・ホルモン療法を受けた早期ホルモン受容体陽性乳癌の閉経後女性では、タモキシフェン療法を5年間受けた女性と比較して、癌の再発が遅くなり延命効果があることが明らかになりました。 

出典 

2004年3月11日付New England Journal of Medicine誌(ジャーナル要旨参照)。最新の結果は2007年2月17日付Lancet誌 (ジャーナル要旨参照)および2011年11月21日付Journal of Clinical Oncology誌(ジャーナル要旨参照)に発表されました。 

背景 

ホルモン受容体陽性腫瘍女性患者は、早期乳癌の手術後、再発リスク低減のため通常はホルモン療法を受けます。長年、タモキシフェンを連日、5年間内服するというのが最も一般的な術後ホルモン療法でした。しかし、タモキシフェンは再発を全て予防するわけではなく、乳癌細胞がタモキシフェンに耐性を持つことがあります。また、タモキシフェンにより子宮内膜癌、血栓症、脳卒中のリスクが増加します。こうしたことから、研究者らはタモキシフェン以外のホルモン療法剤が優れた効果をもたらすかを検討してきました。 

新たなホルモン療法剤のひとつがエキセメスタンであり、この薬剤はタモキシフェンのように、エストロゲンに反応する乳腺腫瘍の増殖を阻害しますが、その方法は異なります。タモキシフェンは乳癌細胞が増殖にエストロゲンを利用する能力に干渉するのに対して、エキセメスタンは身体がエストロゲンを産生する能力に干渉します。 

エキセメスタンは身体がエストロゲンを産生するのに利用する酵素、アロマターゼを不活性化します。閉経前はエストロゲンの大半が卵巣で産生され、卵巣にはエキセメスタンが阻害できる量より多くのアロマターゼが含まれています。しかし閉経後は、卵巣はエストロゲンの主要産生源ではなくなり、エキセメスタンは他組織によるエストロゲン産生を阻害できます。このため、エキセメスタンなどのいわゆるアロマターゼ阻害剤(AI)は閉経後女性にのみに有効です。 

いくつかの大規模国際試験の早期の知見から、タモキシフェン療法を5年間受けた後にAIを受けた女性、またはタモキシフェン療法を短期間受けた後にAIに変更した女性では、癌再発の可能性が低いことが示唆されました。以上の試験にはエキセメスタン以外のAI、具体的にはアナストロゾール(アリミデックス®)およびレトロゾール(フェマーラ®)が使用されました。AIはタモキシフェンとは異なり、子宮内膜癌、血栓症および脳卒中のリスクを増加させることはありませんが、骨喪失を促進し骨折のリスクを増加させる可能性があります。 

試験 

本エキセメスタン群間試験には37ヵ国から閉経後女性4,724人を登録し、1998年に開始しました。全員がすでに早期乳癌の治療を受け、再発予防を目的として2~3年間タモキシフェンを投与されており、試験開始当時に癌は認められていません。参加者は試験参加にあたり、2群のうち1群に無作為に割り付けられました。1群ではエキセメスタンに変更してその後2~3年間服用し、計5年間ホルモン療法を受けました。もう1群はタモキシフェン服用を継続し、5年間の治療を終了しました。 

本試験の試験責任医師は、英国ロンドンにあるImperial CollegeのRaoul Charles Coombes医学博士でした。 

本試験の最初の結果は、参加者を約2.5年間追跡調査した後、2004年3月11日付New England Journal of Medicine誌で発表されました。この追跡調査期間は、エキセメスタンに変更した女性では乳癌再発が遅れることを統計的確実性をもって示すには十分な長さでしたが、実際にエキセメスタン群の方が長く生存したかどうかを知るには十分ではありませんでした。 

2007年および2011年に発表された最新の結果から、さらに長期間の追跡調査のデータが得られました。 

結果 

追跡期間中央値の7.6年後ではほとんどの患者が6年以上追跡されており、エキセメスタンに変更した女性では、タモキシフェン服用を継続した女性より全死因死亡リスクが14%低く、この数字は生存の絶対改善率では2.4%でした。エキセメスタン群の女性ではこのほか、乳癌再発リスクが19%低く、エキセメスタン群では遠隔再発(転移性癌)リスクが16%低くなりました。エキセメスタンの有益性は治療を止めた後でも長期間維持されました。 

治療中に発生した有害事象の分析によると、タモキシフェン服用を継続した女性で、血栓症、子宮癌や子宮ポリープ、膣出血および筋痙攣を発現する可能性が高いのに対して、エキセメスタンに変更した女性では骨折がわずかに多いことが明らかになりました。心臓発作、胸痛および脳卒中の発生率に群間差はありませんでした。しかし、治療後は、副作用発生率の差が小さくなりました。たとえば、追跡期間中の骨折リスクおよび重篤な婦人科疾患リスクに群間差はありませんでした。 

本試験のサブ試験では両群間の生活の質を比較し、生活の質に群間差がないことが明らかになりました。以上のデータは2006年2月20日付Journal of Clinical Oncology誌で発表されました(ジャーナル要旨参照)。 

コメント 

「患者が治療期間当初の2~3年間にタモキシフェンがもたらす予防の有益性の大半が得られることは早期の試験からわかっていました」と、英国ロンドンにある英国癌研究所のJudith Bliss医師は述べました。 

Bliss医師はまた「研究者らが本試験を実施する目的は、2~3年間タモキシフェン治療を受けた後に患者をエキセメスタン療法に変更することにより、タモキシフェン療法を5年間で得られると予測される有益性を上回るかを明らかにすることでした。本試験の知見から、改善することが確認されました」と述べました。 

「このような知見から、2~5年間のタモキシフェン療法後、患者をエキセメスタンや別のAIに変更することを医師が考慮するようになるでしょう」と、米国国立癌研究所の癌治療評価プログラムのJo Anne Zujewski医師は述べました。「しかし、AIはすでに骨折がある、または骨折リスクが高い女性には適切ではない場合があります」と医師はつけ加えました。 

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小高良子 訳
原野謙一(乳腺科・婦人科癌・腫瘍内科/日本医科大学武蔵小杉病院) 監修
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