セレニウムは肺癌の予防効果を示さず/M.D.アンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

セレニウムは肺癌の予防効果を示さず/M.D.アンダーソンがんセンター

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

セレニウムは肺癌の予防効果を示さず/M.D.アンダーソンがんセンター

M.D.アンダーソンがんセンター
2010年6月4日

国際的な第3相試験の結果、多くの人が癌や病原の予防のために毎日飲んでいる栄養補助食品「セレニウム」には肺癌(再発または二次原発)の発現リスクを減らす効果がないことが示された。
ECOG臨床試験協力団体による10年間に及ぶ試験の結果が、本日の第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において、テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンター胸部/頭頚部臨床腫瘍科教授であるDaniel D. Karp医師により発表された。

「多くの疫学的研究や動物試験で長年セレニウム欠乏と癌との関係が指摘されています。」と本試験の責任医師であるKarp医師は述べた。「1996年に皮膚癌とセレニウムとの関係を調査した試験が報告されて以来、1990年代の後半は癌とセレニウムとの関係が注目され、研究も多くなされました。しかしながら、皮膚癌に効果的な結果は得られませんでした。一方で、前立腺癌と肺癌の発現が約30%減少することが示されました。われわれが行った肺癌研究と別で行われた前立腺癌予防に関する重要な試験はこの結果を受けて発展しました。」

これらの大規模なフォローアップ試験では自然発生する(または「天然の」)ミネラルについて調査が行われたが、結果は期待通りではなかった。2009年には米国国立がん研究所(NCI)がSELECT試験を中止している。この国際的な試験は35,000人以上の男性を対象とし、セレニウムまたはビタミンEを単独または併用投与すると前立腺癌の発現リスクが減るかどうかが調査されていた。しかし、試験ではいずれを投与しても効果がないことが示された。

アメリカがん協会(ACS)によると、2009年に肺癌の診断を受けた患者は約219,440人であり、うち159,390人が死亡した。肺癌は男性でも女性でも死亡者が最も多い癌である。ステージ1までに発見されれば癌は切除できるが、この場合でも完治するのは患者の約80%である。また、ステージ1の患者では術後毎年1〜2%ずつ再発リスクが高まるため、化学的予防薬を投与することが望ましい。Karp医師によれば肺切除術を受けた患者の癌発現率は10年で10〜20%である。

2000年から2009年にかけてNCIによる国際的な第3相試験が行われた。この試験にはステージ1の非小細胞肺癌と診断された後、肺切除術を受け、術後6カ月以上癌の再発がみられなかった1,522人が登録された。患者はセレニウム200 µgの投与を受ける群かプラセボ群のいずれかに無作為に割付けられた。試験の主要評価項目は新たな癌または二次原発癌あるいは癌の再発率の減少であった。

試験は無増悪生存率がプラセボ群で優れていたことから、中間解析の後早期に中止された(プラセボ群では5年後の時点で再発なく生存していた患者の割合が78%であったのに対し、セレニウム群では72%であった)。また、二次原発癌が216件生じ、うち84件(38.9%)は肺癌であった。セレニウム群では1年後に患者の1.9%に二次原発癌が生じたが、プラセボ群で二次原発癌が生じたのは1.4%であった。また、セレニウム群では患者の3.66%にあらゆるタイプの二次原発癌が生じたが、プラセボ群で同様の二次原発癌が生じたのは患者の4.1%であった。

副作用はわずかで、両群で差は認められなかった。グレード1または2の毒性が認められた患者はプラセボ群で38%、セレニウム群で39%、グレード3の毒性が認められた患者はプラセボ群で3%、セレニウム群で1%であった。試験は効果が認められないとして独立のデータ安全性モニタリング委員会により中止された。

この試験の研究者らは、喫煙歴のない肺癌患者ではセレニウムの投与が若干効果的であることを発見したものの、この集団は94人と少なかったことから統計的な有意性は示されなかった。

「われわれの試験から、セレニウムは任意の肺癌患者では効果的な化学的予防薬ではないことが示されました。また、セレニウムは二次原発癌の発現や再発の予防薬として推奨できるものでもありません。また、この試験で効果的な結果が得られなかったことから、われわれは喫煙歴のない患者で疾患の特性が見つかるのではないかと考えるに至りました。この患者集団を研究対象として絞るべきだと考えています。」とKarp医師は述べた。

また、Karp医師は「われわれの試験結果とSELECT試験の結果を受け、医師は2つのNCIによる大規模な第3相試験を例に挙げて、これらの唯一の信頼性の高い試験の結果、セレニウムに効果が認められなかったということを患者に説明することができます」と述べた。

Karp医師の他の共著者は以下のとおりである。John Ruckdeschel, M.D.; Sandra Lee, ECOG; Gail Shaw, M.D.; Steven Keller, M.D.; Steven Belinsky, Ph.D.; Seena Aisner, M.D.; Omer Kucuk, M.D.; Jean MacDonald; and Mary Steele.

******
伊藤くみ訳
小宮武文(呼吸器内科/NCI Medical Oncology Branch)監修
******


原文


printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward