CMLの二次治療薬を初回治療薬として使用するとより早くより良好な寛解が得られる/M.D.アンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

CMLの二次治療薬を初回治療薬として使用するとより早くより良好な寛解が得られる/M.D.アンダーソンがんセンター

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

CMLの二次治療薬を初回治療薬として使用するとより早くより良好な寛解が得られる/M.D.アンダーソンがんセンター

第3相臨床試験で標準治療薬のイマチニブを超える効果が示された
M.D.アンダーソンがんセンター
2010年6月5日

New England Journal of Medicine誌の電子版に掲載された2つの試験では、薬物耐性のある慢性骨髄性白血病(CML)の治療薬として承認されている2つの薬剤には、従来の治療薬よりも初回治療薬としてより早く、より良好な効果があることが示された。
別々の国際第3相臨床試験において、治療開始から1年後の質の高い寛解について標準治療薬のイマチニブ(またはグリベックとして知られる)と、二次治療薬のニロチニブ(商品名タシグナ)およびダサチニブ(商品名スプリセル)が比較検討された。いずれの臨床試験でも、ニロチニブまたはダサチニブの投与を受けた前治療歴のないCML患者では、イマチニブ投与患者よりも寛解の2つの重要な基準である細胞遺伝学的完全寛解および分子学的大寛解がより早く達成された。またニロチニブまたはダサチニブ投与患者では、疾患が進行期に移行することが少なかった。

「第2世代のCML治療薬は、全体的にみてイマチニブよりも有効性が高く毒性のリスクが低下しています」と、テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンター白血病科の教授で部長であるHagop Kantarjian医師は述べた。Kantarjian医師はダサチニブ試験の責任著者であり、またニロチニブ試験の共著者でもある。

生存率を向上させる可能性のある薬剤

「癌治療においては、最初から奥の手を使用することが大切であることをわれわれは学びました」とKantarjian医師は述べた。「治療開始から1年以内に細胞遺伝学的完全寛解または分子学的大寛解が得られるとより良好な状態で長期間生存できることが分かっています。これらの第2世代の治療薬を最初に使用することで、CML患者の予後が改善する可能性があります。」

イマチニブ(異常なフィラデルフィア染色体により産生されるBCR-ABLと呼ばれる融合タンパク質の活性を阻害する分子標的薬)はCMLの治療薬として躍進し、この薬剤により疾患の平均的な5年生存率は50%から90%にほぼ倍増した。

その一方で、イマチニブ投与患者の30%〜40%では細胞遺伝学的完全寛解または分子学的大寛解が達成されず、患者は徐々に薬剤に対する抵抗性を示すようになる、とKantarjian医師は述べた。

(細胞遺伝学的完全寛解とは疾患の原因となる染色体異常が検出されない状態のことである。分子学的大寛解は従来の細胞遺伝学的解析よりも感度の高い試験により測定した場合、BCR-ABL癌タンパクの割合が0.1%以下の状態として定義される。)

ダサチニブ対イマチニブ

前治療歴のないCML患者を対象としたダサチニブとイマチニブの比較試験(DASISION試験)では、前治療歴のないCML患者519人がダサチニブ100 mgを1日1回投与する群と、イマチニブ400 mgを1日1回投与する群に無作為に割り付けられた。

ダサチニブ投与群において、患者の77%が確定された細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)、46%が分子学的大寛解(MMR)を達成し、また1.9%にはCMLの進行がみられた。

イマチニブ投与群では、66%が細胞遺伝学的完全寛解、28%が分子学的大寛解を達成し、3.5%には疾患の進行がみられた。

ダサチニブ群で効果が早く認められ、3カ月時点のCCyRの達成率は54%、6カ月時点では73%であった。一方で、イマチニブ群ではそれぞれ31%と59%であった。

ダサチニブ群とイマチニブ群で報告された副作用はほとんどが軽度であった。ダサチニブ群で血液学的副作用が若干多くみられたが、嘔気、嘔吐、筋肉痛および炎症等の軽度の副作用はイマチニブ群で多く認められた。

ニロチニブ対イマチニブ

ENEST臨床試験(新たに診断された患者を対象としてニロチニブの有効性と安全性を評価する臨床試験)では、新たに診断されたCML患者836人がニロチニブ300 mgまたは400 mgを1日2回投与する群と、イマチニブ400 mgを1日1回投与する群に無作為に割り付けられた。

ニロチニブ投与群では、300 mgでも400 mgでも結果はほぼ同様であった。300 mgを1日2回投与する群において、患者の80%が細胞遺伝学的完全寛解と44%が分子学的大寛解を達成し、また1%未満で疾患の進行がみられた。高容量(400 mg)のニロチニブ投与群では、それぞれ78%、43%、および1%未満であった。

イマチニブ投与群では、65%が細胞遺伝学的完全寛解、22%が分子学的大寛解を達成し、また4%においては疾患の進行がみられた。

ニロチニブ投与群ではイマチニブ投与群よりも早く分子学的大寛解が達成され、MMR達成までの期間中央値は、ニロチニブ投与群では5.7カ月と5.8カ月だったのに対し、イマチニブ投与群では8.3カ月であった。

ニロチニブおよびイマチニブの安全性プロフィールは良好であり、どちらの薬剤においても重篤な副作用は認められなかった。赤血球数、白血球数、あるいは血小板数の減少などの血液学的副作用はイマチニブ投与群でごくわずかに多かった。嘔気、下痢、嘔吐、筋けいれん、および浮腫はイマチニブ投与群で多くみられたが、発疹、頭痛、脱毛、および掻痒はニロチニブ投与群で多くみられた。

イマチニブの製造会社であるノバルティスはニロチニブの開発も行っており、またブリストルマイヤーズスクイブではダサチニブの開発を行っているが、いずれの新薬もBCR-ABLタンパク質に対する強力な阻害剤である。この2剤はイマチニブが奏効しない患者の二次治療薬として、あるいはイマチニブを投与することができない患者に対する一次治療薬として承認されている。いずれの会社もCMLの初回治療薬としてこの2剤の承認を米国食品医薬品局から得ることが見込まれている。

「2つの臨床試験の結果は、初回治療における第2世代薬剤の優位性が示されたM.D.アンダーソンの一群臨床試験の結果を支持するものでした」と、Kantarjian医師は述べた。M.D.アンダーソン白血病科の教授であるJorge Cortes医師主導による現在進行中の2つの一群臨床試験では、薬剤の性能について新たに診断された患者とイマチニブの初期試験からの歴史的データが比較検討されている。

これらの研究は、ブリストルマイヤーズスクイブおよび ノバルティスからの資金援助を受けている。Kantarjian医師は両社から研究資金の援助を受けている。

Kantarjian氏の他のENEST研究における共著者は以下のとおりである。First author Giuseppe Saglio, M.D., University of Turin, San Luigi Gonzaga Hospital, Orbassano, Turin, Italy, Dong-Wook Kim, M.D., Ph.D., Seoul St. Mary’s Hospital, Catholic University of Korea, Seoul, South Korea; Surapol Issaragrisil, M.D., Siriraj Hospital, Mahidol University, Bangkok, Thailand ; Philipp le Coutre, M.D., Charité, Campus Virchow, Universitätsmedizin Berlin; Gabriel Etienne, M.D., Institut Bergonié, Bordeaux, France; Clarisse Lobo, M.D., Instituto Estadual de Hematologia Arthur de Siqueira Cavalcanti, Rio de Janeiro; Ricardo Pasquini, M.D., Universidade Federal do Paraná, Curitiba, Paraná, Brazil ; Richard E. Clark, M.D., Royal Liverpool University Hospital, Liverpool, United Kingdo ; Andreas Hochhaus, M.D., Universitätsklinikum Jena, Jena, Germany; Timothy P. Hughes, M.D., Royal Adelaide Hospital, Adelaide, SA, Australia ; Neil Gallagher, M.D., Ph.D., and Albert Hoenekopp, M.D., Novartis Pharma, Basel, Switzerland; Mei Dong, M.D., Ariful Haque, both of Novartis Pharmaceuticals, East Hanover, NJ; and Richard A. Larson, M.D., University of Chicago.

Kantarjian氏とCortes氏の他のDASISION研究における共著者は以下のとおりである。are: Neil P. Shah, M.D., Ph.D., University of California San Francisco School of Medicine: Andreas Hochhaus, M.D., Universitätsklinikum Jena, Jena, Germany; Sandip Shah, M.D., Hemato-Oncology Clinic, Vedanta, Ahmedabad, Indiam, Manuel Ayala, M.D., Hospital de Especialidades CMN “La Raza,” Instituto Mexicano del Seguro Social, Mexico City; Beatriz Moiraghi, M.D., Hospital General de Agudos J.M. Ramos Mejia, Buenos Aires ; Zhixiang Shen, M.D., Rui Jin Hospital, Shanghai Jiao Tong University School of Medicine, Shanghai; Jiri Mayer, M.D., Interni Hematoonkologicka Klinika, University Hospital Brno, Brno, Czech Republic; (Ricardo Pasquini, M.D., Hospital de Clínicas de Curitiba, Parana, Brazil; Hirohisa Nakamae, M.D., Ph.D., Graduate School of Medicine, Osaka City University, Osaka, Japan ; Françoise Huguet, M.D., the Department of Hematology, Hôpital Purpan, Toulouse, France; Concepción Boqué, M.D., the Department of Clinical Hematology, Institut Català d’Oncologia, Hospitalet de Llobregat, Barcelona; Charles Chuah, M.R.C.P., M.D., Singapore General Hospital, Duke-NUS Graduate Medical School, Singapore; Eric Bleickardt, M.D., M. Brigid Bradley-Garelik, M.D., Chao Zhu, Ph.D., Ted Szatrowski, M.D., and David Shapiro, M.D., all of Bristol-Myers Squibb; and Michele Baccarani, M.D., Department of Hematology–Oncology “L. and A. Seràgnoli,” University of Bologna, Bologna, Italy.

******
栃木和美訳
林 正樹(血液・腫瘍内科)監修
******


原文


printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  4. 4がんに対する標的光免疫療法の進展
  5. 5若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  6. 6「ケモブレイン」およびがん治療後の認知機能障害の理解
  7. 7コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  8. 8ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  9. 9HER2陽性進行乳癌治療に対する2種類の新診療ガイド...
  10. 10リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...

お勧め出版物

一覧

arrow_upward