乳癌患者において骨の薬が遊離した腫瘍細胞を抑制する/ワシントン大学 | 海外がん医療情報リファレンス

乳癌患者において骨の薬が遊離した腫瘍細胞を抑制する/ワシントン大学

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乳癌患者において骨の薬が遊離した腫瘍細胞を抑制する/ワシントン大学

転移病変を減らす可能性
ワシントン大学
2010年5月

骨を強化する薬剤であるゾレドロン酸(ゾメタ)を手術前に投与することにより、転移性乳癌と闘う助けになる可能性があることが、セントルイスのワシントン大学医学部で行なわれた研究で示唆している。
乳癌手術前の3カ月間、化学療法に加えゾメタを併用投与すると、手術時に骨髄内に腫瘍細胞が見られる女性患者数が減少した。

この試験はLancet Oncology誌5月号に掲載された。

毎日、腫瘍は何千もの細胞をまき散らしている。これらの細胞は全身に広がり、播種性腫瘍細胞(DTC)と呼ばれる。乳癌の播種性腫瘍細胞はしばしば骨髄内にとどまり、そこでは骨増殖因子が生き残るのを助けている。

化学療法は骨代謝回転および骨増殖因子を増加させる可能性があるため、骨における播種性腫瘍細胞の問題を悪化させる恐れがある。このことにより、後に癌患者において転移性病変を引き起こす可能性がある。

「播種性腫瘍細胞が死亡の主な原因になる場合には、骨髄は播種性腫瘍細胞の避難場所のようであり、播種性腫瘍細胞がさまざまな臓器に適応したり、広がるようにしている」と研究責任者でBarnes-Jewish HospitalのAlvin J. Siteman癌センターおよびワシントン大学医学部の外科の准教授で、乳癌専門医のRebecca Aft医学博士は述べる。
「私たちは、ゾレドロン酸が播種性腫瘍細胞の増殖を助ける増殖因子の放出を阻害すると確信しています」。

ゾレドロン酸は通常、多発性骨髄腫や固形癌から生じる骨転移に起因する骨の合併症を減少させたり、遅らせるために処方される。最近の2つの試験により、乳癌手術前にエストロゲン低下療法と併用してゾレドロン酸を使用した場合、無病生存期間を改善することが示された。エストロゲン低下療法は、化学療法と同様に骨量の減少を増悪する恐れがある。

このランダム化第2相臨床試験では、新たに2期または3期の乳癌と診断された109人の女性を2つのグループに割り付けた。対照群は化学療法単独療法を受け、他方の群は化学療法とゾレドロン酸の併用療法を受けた。
3カ月の治療後、骨髄に播種性腫瘍細胞を有する患者が対照群では48%から47%に減少したのに対し、併用療法群では43%から30%に減少した。この結果は統計学的有意性にほぼ等しかった。

また研究者らは、試験の開始時に骨髄内に播種性腫瘍細胞を有していなかった患者において、治療3カ月後の時点で陰性を維持していたのは化学療法単独群で60%であったのに対し、併用療法群では87%であったこと、また、統計学的に有意であったという結果を見出した。

ゾレドロン酸療法は化学療法と併用することにより付加的な利益を有した。併用療法群の女性は12カ月後に骨密度の有意な増加を経験した。これは、乳癌患者に有用である。これらの患者はしばしば化学療法や他の乳癌治療の副作用として骨粗鬆症を発症する。

この試験は、ゾレドロン酸が、ある種の乳房腫瘍と直接闘う助けになる可能性があることも示した。Aft氏は、薬剤によって、腫瘍が自らに血液供給するのを阻止する可能性、腫瘍細胞が生き残るのを困難にさせる方法で免疫系を修飾する可能性、あるいは癌細胞を死滅させている可能性があると推測している。

「乳癌手術後の化学療法中にゾレドロン酸を投与するのは一般的な治療法であるが、術前に化学療法が施行される場合については一般的ではありません」とAft氏は述べる。「化学療法は骨量減少を増悪させるため、女性は術前の化学療法時にゾレドロン酸を投与されるべきであると主張したい。私たちの単施設での試験によって、高リスクの乳癌患者に対してゾレドロン酸を使用するという同様のプロトコルについて、引き続き、より大規模な多施設共同試験で検証すべきであるということも示しています」。

Aft氏の共著者は以下の通りである。
Naughton M, Trinkaus K, Watson M, Ylagan L, Chavez-Macgregor C, Zhai J, Kuo S, Shannon W, Diemer K, Herrmann V, Dietz J, Ali A, Ellis M, Weiss P, Eberlein T, Ma C, Fracasso PM, Zoberi I, Taylor M, Gillanders W, Pluard T, Mortimer J, Weilbaecher K.

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岡田章代 訳
千種葉月(薬学)監修
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原文


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