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まれな脳腫瘍の治療効果が遺伝子異常によって予測可能

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まれな脳腫瘍の治療効果が遺伝子異常によって予測可能

NCI プレスリリース  2012年2月1日

米国国立衛生研究所(NIH)が助成する試験から、異なる2本の染色体に欠失がみられる患者の生存期間が2倍になることが明らかに 

臨床試験によって、1p19q同時欠失と呼ばれる染色体異常のある脳腫瘍(乏突起膠腫)患者では、放射線療法に化学療法を追加することによって生存期間の中央値がほぼ2倍になることが明らかになった。この異常は、1番染色体の短腕と19番染色体の長腕が同時に欠失することが特徴である。放射線療法単独に比べて、化学療法と放射線療法を組み合わせた併用療法では、この染色体異常の存在と明らかに良好な予後および生存期間の著明な改善との間に関連がみられた。乏突起膠腫は、脳の神経組織に形成される腫瘍である。この試験は米国国立衛生研究所に属する国立癌研究所(NCI)から助成金を受けていた。 

この臨床試験では、悪性度の高い乏突起膠腫の患者286人を、放射線療法の単独治療群と、プロカルバジン、ロムスチン、ビンクリスチンの3製剤を使用するPCV化学療法および放射線療法の併用治療群のどちらかに無作為に割り付けて、両群が均等になるようにした。全患者の腫瘍組織を採取して、遺伝子検査のために保存した。患者の約半数を11年余ほど追跡したところで解析を行った。 

乏突起膠腫は主に成人に発生し、診断時の平均年齢は35歳である。この癌は、原発性脳腫瘍および中枢神経腫瘍を合わせた全体の9.4%を占める。 

患者群全体では、放射線療法単独を受けた患者と放射線療法および化学療法を受けた患者のいずれも全生存期間の中央値はほぼ同じであった。一方、1p19q同時欠失がみられる腫瘍の患者126人では、1p19q同時欠失がない腫瘍の患者135人よりも生存期間中央値が大幅に長く、前者が8.7年のところ、後者は2.7年であった。この観察は、この染色体異常がある腫瘍の患者は治療に関わらず、この染色体異常がない腫瘍の患者よりも実質的に長く生存することを示唆するものである。さらにもっと印象深いのが、1p19q同時欠失を用いて、放射線療法への化学療法の追加によって恩恵を得られる患者群を予測できたという所見である。1p19q同時欠失がみられる腫瘍の患者のうち、放射線療法とPCV化学療法を受けた患者(59人)では全生存期間中央値が14.7年であったのに対し、放射線療法を単独で受けた患者(67人)では7.3年にとどまった。この染色体異常のない腫瘍の患者では、化学療法の追加による生存期間の改善は認められなかった。 

RTOG9402として知られるこの試験は、米国腫瘍放射線治療グループ(RTOG)の主導により、米国北中部癌治療グループ、カナダ国立癌研究所臨床試験グループ、米国東部腫瘍学共同研究グループ、およびSWOG(旧称は米国南西部腫瘍学グループ)が参加して実施された。 

NCIの癌治療評価プログラムの副部門長であるJeffrey Abrams医師が次のように述べている。「腫瘍放射線治療グループと参加したそのほかの多施設協同臨床研究グループは、長い年月をかけて、まれな脳腫瘍のこのランダム化臨床試験を実施したことを誇りに思うべきである。この遺伝的異常は生存期間に強い影響を与え、この臨床研究結果がこの種の癌患者に対する治療法を変えていくわけであり、彼らの粘り強さと献身は報われたといえる。この臨床試験はまた、特定の治療法から最も恩恵を受ける患者をさらに正確に見極めるための遺伝学的研究のために、腫瘍組織を採取しておく必要性を強調するものである」。 

NCIでは現在、上記のほかに、このような脳腫瘍の治療を改善する目的で実施されている研究2件を助成しています。この2件に関する詳細は下記のリンクからご覧いただけます。 

CODEL trial N0577 — http://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT00887146?term=N0577&rank=1

CATNON trial RTOG 0834 — http://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT00626990?term=rtog+0834&rank=1

(写真タイトル )

治療期間 6年経過後の退形成性乏突起膠腫の再発

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ギボンズ京子 訳
寺島慶太(小児科/テキサス小児病院) 監修
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原文

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