マンモグラフィで検出される乳癌のほとんどは低リスクの癌である/カリフォルニア大学サンフランシスコ | 海外がん医療情報リファレンス

マンモグラフィで検出される乳癌のほとんどは低リスクの癌である/カリフォルニア大学サンフランシスコ

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マンモグラフィで検出される乳癌のほとんどは低リスクの癌である/カリフォルニア大学サンフランシスコ

マンモグラフィで検出される乳癌のほとんどは低リスクの癌である。

2011年12月19日

50歳以上の女性では、マンモグラフィで検出された癌の大多数の予後は良好である、ということがカリフォルニア大学サンフランシスコ校の新しい研究で明らかになったが、この研究によれば、加齢に伴い女性が低リスクの乳癌と診断される可能性が増えるという。

この研究は、マンモグラフィを使った検診により、低リスクまたは超低リスクの癌の検出が増加することの初の分子学的証明である。また、この研究は過剰治療の回避を促すため、診断時に分子プロファイリングを組み込むことの根拠にもなる。

この研究では、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の乳癌生物学の第一線の研究者が、オランダ癌研究所の研究者と共同で、定期的なマンモグラフィ検診の到来以前である20年以上前に検出された腫瘍と、乳癌検診が広く導入された後である5年前に検出された腫瘍の生物特性を分析した。そして、現在の人口では、マンモグラフィが遅進行性から中程度の進行性の乳癌を検出することが明らかになった。

この論文はBreast Cancer Research and Treatment誌に掲載された。

筆頭著者であり、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のヘレン・ディラー家族総合癌センター(Helen Diller Family Comprehensive Cancer Center)内のキャロル・フランク・バック乳癌ケアセンター(Carol Franc Buck Breast Care Center) のディレクターであるLaura Esserman氏は、「マンモグラフィ検査で見つかる大多数の腫瘍は非常に低リスクのものです。」と言う。「この研究により、超低リスクまたは無害の乳癌の患者を認識し安全に治療を最小限にとどめるために分子予測因子を使うことで、我々には治療を改善するチャンスがあることがわかりました。」

「この情報は、マンモグラフィで発見された低リスクの異常に対し、生検をどの程度積極的に勧めるべきかに関して放射線科医や外科医に知ってもらう助けにもなるでしょう。」

「もし私たちが見つける癌のほとんどが低リスクのものであれば、悪性の疑いが非常に少なく結果として良性であったマンモグラフィの検査結果に対して、より穏やかなアプローチを試すことができるでしょう。単純な経過観察のほうがより良いアプローチかもしれません。」

過去20年にわたり、特に50歳以上の女性の乳癌の発生率が継続的に上昇している。この増加の大部分は、マンモグラフィの普及と、月経の低年齢化、妊娠の高齢化、アルコール摂取の増加や、最近まではホルモン補充療法など、人々のリスク因子の変化に起因するものである。集団ベースでマンモグラフィ検査を導入した多くの国において乳癌発生率が急増しているが、これは低リスクの腫瘍の実際の増加を反映しているのか、無害の腫瘍を検出しているのか、あるいはその両方なのか、ということは今まで明確になっていなかったと研究者の間で言われている。

ある種の癌では、早期発見が結果にかなりの違いをもたらす。しかし、著者によれば、増加する低リスクの腫瘍の検出におけるマンモグラフィの役割については重大な疑問が残るという。仮に発生率の増加の多くが、ほぼ悪性の可能性のない腫瘍によるものであり、それらの癌の特定に信頼を置くことができるとして、著者は「患者と医師は利益より害になる治療を避けるために説明の上決断することができる。」と書いています。

研究者は、米国食品医薬品局(FDA)の認可を受けた、乳房の腫瘍が他部位に転移するリスクを評価する際に医師が使用するマンマ・プリント(MammaPrint)という診断検査を使用した。実験室での研究が実際の臨床での使用につながる”ベンチからベッドサイドへ移る(bench-to-bedside)”医薬品の重要性を伝える好例として、MammaPrintは、この研究の統括著者であり、カリフォルニア大学サンフランシスコ校癌センターの乳癌腫瘍学プログラムの長であるLaura J. van’t Veer氏により開発された。

この研究で研究者は、予後の良い癌の検出への移行があったか、治療せずとも予後が非常に良好である超低リスクの腫瘍の検出の増加があったか、また、これらの癌はマンモグラフィで癌が検出された女性により多く認められたか、という3つの基本的な疑問に焦点をあてた。

研究者はヨーロッパで866人の患者を対象に、リンパ節転移陰性の癌の分子学的な特徴を精査した。約半数は、乳癌検診が定例化される前の1980年から1991年の間に診断を受けた患者であり、もう半分は、目標母集団の80パーセントにおいてマンモグラフィが定期的に行われていた2004年から2006年の間に病変の診断を受けた患者である。

著者は、予後不良の癌の比率は年齢により大きく変化するとともに、女性の加齢とともに良好な予後となる傾向が高くなることをつきとめた。

また、定期的に検査を受けていなかった40歳未満の女性では、予後の良し悪しに関する傾向は、検査が普及する前の時代と、定期検査が行われている現在との間で変わらなかったことを彼らは発見した。

全体として、若い女性は高齢の女性に比べより悪い予後となる傾向がある。しかし、49歳から60歳の患者の腫瘍に関して2つの期間を比較すると、より最近に診断を受けた患者の間で予後の良好な乳癌が大きく増加していた。

Van’t Veer 氏は、以下のように述べる。「要は、患者の治療プランを立てる際に、癌がスクリーニングで検出されたかを考慮に入れるべきだということです。」「私たちはこの情報を、治療を患者に勧める際の指針として、また、低リスクの乳癌の患者に対するより低侵襲の治療の安全性を検査する臨床試験の開発の基盤として利用することができます。」

この研究は「私たちがスクリーニング検査を改良するための情報を提供してくれます。」と、著者は結論づける。「このことは、過剰治療を回避するためのリスク階層化ツールを使用しやすくするのみでなく、マンモグラフィで検出された非常にリスクの小さい病変に対して生検をすべきか否かの閾値をリセットすることが可能になるのです。」

研究者は現在、早期乳癌の診断を受けた約2500人の女性を対象としたヨーロッパでの臨床試験を含む、2つの研究の結果を立証する作業を行っている。さらに、アテネ乳房健康ネットワーク(Athena Breast Health Network)という、カリフォルニア大学内の5つの医学部キャンパスが共同して、カリフォルニア在住の女性約150,000 人の乳癌検診を行う予定であり、van’t Veer氏は「カリフォルニア大学の患者を調査する機会となる」と話している。

このマンモグラフィに関する研究は早期発見研究ネットワーク(Early Detection Research Network )とオランダゲノムイニシアチブ(Cancer Genomics Center of the Dutch Genomics Initiative)の癌ゲノムセンターの援助のもとに行われた。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の医学生であり、筆頭著者の一人であるYiwey Shieh氏は、同校総長の医学生向け夏季研究奨励金を獲得し、このプロジェクトに従事するためにオランダへ渡航した。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校附属病院について

カリフォルニア大学サンフランシスコ校附属病院は常に米国の病院のトップテンに数えられている。同病院はカリフォルニア大学サンフランシスコ校の大学病院であり、革新的治療、先進的技術、医療従事者と研究者間の連携、そして非常に思いやりのある看護チームで知られている。カリフォルニア大学サンフランシスコ校附属病院の、小児の健康、脳と神経系統、臓器移植、女性の医療と癌に関するプログラムは全米でも傑出している。同病院は大学内において自立経営の企業として運営されており、独自の利益を得て、患者に治療を提供するための運営費をまかなっている。

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寺澤多恵 訳
原野 謙一(乳腺、婦人科/日本医科大学武蔵小杉病院)監修
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原文

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