早期乳癌患者に対するAPBI小線源治療では従来の放射線治療法と比べ将来的な乳房切除実施率が高く、治療の毒性、術後合併症も多い/MDアンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

早期乳癌患者に対するAPBI小線源治療では従来の放射線治療法と比べ将来的な乳房切除実施率が高く、治療の毒性、術後合併症も多い/MDアンダーソンがんセンター

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早期乳癌患者に対するAPBI小線源治療では従来の放射線治療法と比べ将来的な乳房切除実施率が高く、治療の毒性、術後合併症も多い/MDアンダーソンがんセンター

早期乳癌患者に対するAPBI小線源治療では従来の放射線治療法と比べ将来的な乳房切除実施率が高く、治療の毒性、術後合併症も多い
M.D.アンダーソンがんセンター
2011年12月6日

加速部分乳房照射(APBI)による小線源治療は局所放射線治療法の一種であり、これを選択する早期乳癌患者も増えつつあるが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者によると、従来行われてきた全乳房照射(WBI)に比べ将来の乳房切除率が高く、放射線関連副作用や術後合併症も多いことがわかった。

この後向き研究結果はJAMAの最新号に掲載されているが、最初に報告が行なわれたのはCTRC-AACRサンアントニオ乳癌シンポジウムにおいてであった。MDアンダーソン放射線腫瘍学部門准教授のBenjamin Smith医師が本研究の筆頭著者である。Smith氏は次のように述べた。

「今回の研究では、早期乳癌患者に適用可能な放射線治療法2種を比較しました。その結果、APBIを実施した女性では将来乳房切除を要するリスクが2倍でした。これは腫瘍再発または局所合併症によるものと考えられます。また、術後合併症、放射線関連合併症のリスクも同様に高くなりました。」統括著者のBen Smith氏はこのように述べた。

APBIには多種ある。今回のMDアンダーソンの研究では小線源治療のみを対象としている。小線源治療とは、放射性物質を入れたカテーテルを挿入して腫瘍摘出手術後も残存する乳癌細胞を殺す放射線治療の一種である。腫瘍摘出後に生じた空洞に特別なカテーテルを外科的に挿入する。APBI小線源治療は腫瘍摘出手術後数週間以内に開始し、1日2回、5~7日実施する。

初期の研究で癌再発率が全体的に低いことが示され、APBI小線源治療はここ10年でよく行われるようになってきているが、大半の研究はAPBI小線源治療と従来の放射線治療の転帰を直接比較したものではない、とBen Smith氏は説明する。

部分乳房照射用の初の商用単一カテーテルは2002年にFDAにより承認され、APBIの実施が急増した、とBen Smith氏は述べた。

今回のMDアンダーソンの研究は、2003年から2007年の間に癌と診断された国内のメディケア受給者92,735人からの請求書の分析に基づいている。

「メディケアの患者を対象としたわれわれの研究で、APBI小線源治療の実施率は2003年に3.5%未満であったものが毎年増加し2007年には13%に達したことがわかりました。この傾向はその後も続いていると思われます」とSmith氏は述べた。

APBIは患者に対する実用性の面で利点がある、とBen Smith氏は指摘する。

「全乳房照射の標準的治療期間は5~7週間ですが、一部の患者では放射線照射日程の遅れや完遂を妨げる諸事情が生じることが研究で示されています。治療が遅れたり中途半端なままだったりすると乳癌の再発リスクが高まることが知られています。APBI小線源治療は1週間で済むことからこういった問題を解決する可能性を秘めており、非常に魅力的です。」

一方、APBIには侵襲性があり、WBIなど非侵襲性の治療法にない副作用をきたす可能性が高い、とSmith氏は指摘している。

MDアンダーソンの研究チームは今回行った集団ベースの後向き研究でメディケアの請求記録を用い、2000年から2007年までに早期かつ侵襲性の乳癌と診断された67歳以上の女性92,735人の治療歴を調査した。患者は全員、APBI小線源治療または従来の放射線治療を実施した後に乳房温存手術を受けていた。

研究チームは各放射線治療法の効果(後に乳房切除を要したか)、温存手術後の合併症(感染症か否か)および放射線照射による合併症(乳房痛、脂肪壊死、肋骨骨折)について分析を行った。

治療後5年の時点で、乳房切除実施率はAPBI小線源治療群の方がWBI群より統計学的に有意に高く、4%対2.2%であった。また、APBI小線源治療群ではWBI群と比べ急性期および晩期毒性(感染性の合併症)の発生率が高かった(16%対9%)。また、放射線照射による合併症の5年後発生率は肋骨骨折が4.5%対3.6%、脂肪壊死が8%対4%、乳房痛が15%対12%であった。

なお、ランダム化されていない、患者の追跡期間が比較的短い、腫瘍の特性について得られる情報が少ないなど、本研究には限界があることも触れられている。

今回の知見を受け、MDアンダーソンの放射線腫瘍学部門長のThomas A. Buchholz医師は、患者と医師の話し合いがもっとも重要で、それにより乳癌患者自らが情報を得て決断することができる、と話している。

本研究の著者の一人でもあるBuchholz氏は、「本研究は、大規模患者集団を対象に適切に設計されていること、また乳房温存手術後によく行われる2種の放射線治療法を比較した初の研究であることから非常に重要な結果です」と述べた。「両群とも再発リスクが比較的小さかったという点は注目に値します。しかし、ランダム化臨床試験による確定的な結果が得られるまでは、考えられるリスクとベネフィットについてわれわれは患者と話し合う責務があります。」

APBI小線源療法とWBIを比較する全米的なランダム化試験が現在進行中である。MDアンダーソンは同センター内で進行中の臨床試験に興味を持つ患者に対し引き続きAPBIを提供する、とBuchholz氏は話している。

Smith氏およびBuchholz氏以外の本研究の著者は次のとおり:MDアンダーソンから Sharon Giordano医師(乳房腫瘍学部門助教)、Ying Xu医師およびJing Jiang医師(生物統計学部門)、Grace Smith医師レジデント(放射線腫瘍学部門)。シカゴ大学からYa-Chen Tina Shih医学博士。

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橋本 仁 訳
(岡田 章代 更新 2012年5月27日)
中村 光宏(医学物理/京都大学大学院 医学研究科 放射線腫瘍学・画像応用治療学) 監修
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原文

 


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