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メイヨークリニックら共同チームが乳癌の抗癌剤副作用の原因を発見

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メイヨークリニックら共同チームが乳癌の抗癌剤副作用の原因を発見

薬理ゲノミクスでの発見により癌治療が前進
メイヨークリニック
2010年9月27日

メイヨークリニック研究者とその海外の協力者らは、乳癌の治療薬であるアロマターゼ阻害剤投与により重篤な関節炎を引き起こす患者集団において、複数の遺伝的変異を発見した。この深刻な副作用の激痛のために多くの患者がこの救命効果のある治療を中断している。本所見はJournal of Clinical Oncology 誌電子版に掲載されている。
「アロマターゼ阻害剤を投与される患者の多くは、これに伴う関節痛のため投与を中断しています」とJames Ingle医師(メイヨークリニック腫瘍医で本研究の統括著者)は述べる。「われわれは最新の遺伝子工学を利用し、非常に広範囲の女性を対象に、命を救う望みのある本剤投与を患者がやめる主な原因について、全く新たな手がかりを発見したのです。われわれの発見により、こうした副作用が発現すると思われる患者の特定と、発現後の治療の方法への道が開かれるのです。そうすればもっと多くの患者がこの治療法を受けるようになり、乳癌再発の危険性を低下させることができるでしょう」アロマターゼ阻害剤は主に、閉経後の早期乳癌患者への術後補助療法として使用されている。

本研究の実施方法

本研究には米国、カナダ、日本の研究者らが含まれ、筋骨格系の疼痛に関連する一塩基多型(SNPs)と呼ばれる遺伝子変異を同定するゲノムワイド関連解析が行われた。研究者らは、MA27 という前向き臨床試験に登録する患者を選び出し、2つのアロマターゼ阻害剤を比較した。このMA27 は、NCIスポンサーのNorth American Breast Cancer Groupsと共同でカナダのNCIC臨床試験グループによって実施された。選ばれた患者群は治療開始後2年以内に関節炎に似た副作用をきたすか、もしくは疼痛により試験から脱落したものとし、各々の患者群に対応する2つの対照群が用意された。研究者らは個別の293症例を調査し、585例の対照群と比較した。

研究者らは、14番染色体上にSNP候補を4つ発見した。それらは皆T細胞白血病1A遺伝子に最も近く、またこの遺伝子がエストロゲン依存性であることもわかった。さらに、SNPのうちの一つはエストロゲン応答性を示し、閉経後治療に幅広く利用されるエストラジオールに曝露すると遺伝子発現が増大した。その結果から、アロマターゼ阻害剤が引き起こす関節炎の遺伝子マーカーと治療方法を見出す手がかりがもたらされた。

この研究は、国立衛生研究所(NIH)、カナダ癌学会、文部科学省援助によるバイオバンクジャパンプロジェクト、および乳癌リサーチネットワークから支援を受けている。その他NIH薬理ゲノミクスリサーチネットワークと理化学研究所ゲノム医科学国際連合センターが支援する。本研究で取り上げた試験は、Pfizer社から一部支援を受けている。

その他の研究者らは、以下の通りである。
Daniel Schaid, Ph.D., Gregory Jenkins, Anthony Batzler, Mohan Liu, Ph.D., Liewei Wang, M.D., Ph.D., Matthew Goetz, M.D., and Richard Weinshilboum, M.D., all of Mayo Clinic; Paul Goss, M.B., BCh, Ph.D. Massachusetts General Hospital Cancer Center, Harvard University; Taisei Mushiroda, Ph.D., Michiaki Kubo, M.D., Ph.D., and Yusuke Nakamura, M.D., Ph.D., RIKEN Center for Genomic Medicine, Tokyo; Judy-Anne Chapman, Ph.D., Lois Shepherd, M.D., and Joseph Pater, M.D., NCIC Clinical Trials Group, Kingston, Ontario; Matthew Ellis, M.B., B.Chir., Ph.D., Washington University, St. Louis; Vered Stearns, M.D., John Hopkins School of Medicine, Baltimore; Daniel Rohrer, M.D., Ohio State University Medical Center, Columbus; Kathleen Pritchard, M.D., Sunnybrook Odette Regional Cancer Centre, University of Toronto; and David Flockhart, M.D., Ph.D., Indiana University, Indianapolis.

メイヨークリニックについて
メイヨークリニックは世界初かつ最大規模の非営利医療組織である。各分野の医療専門家が、共通組織と「患者のニーズが第一」という理念をひとつにして患者の治療にあたっている。3,700人以上の医者、科学者、研究者と50,100人の提携スタッフがミネソタ州ロチェスター、フロリダ州ジャクソンビル、アリゾナ州スコッツデール、同フェニックス、西ウィスコンシン、北東アイオワで勤務している。これらの施設では毎年50万人以上の患者を治療している。
メイヨークリニックの最新ニュースリリースについてはwww.mayoclinic.org/news を、研究・教育に関する情報については www.mayo.edu を、一般医療情報についてはwww.mayoclinic.com を参照ください。

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柴田慶子 訳
北村裕太(農学/医学)監修
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原文


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