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ペプチドカクテルが多発性骨髄腫の免疫反応を誘導/ダナファーバー癌研究所

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ペプチドカクテルが多発性骨髄腫の免疫反応を誘導/ダナファーバー癌研究所

ペプチドカクテルが多発性骨髄腫の免疫反応を誘導

研究結果から、ごく初期段階の患者による臨床試験を示唆

ダナファーバー癌研究所の研究者らは、初期の「くすぶり」型多発性骨髄腫を攻撃する生体防御反応を誘導し、血液癌の発生を遅延または予防すると考えられる免疫刺激ペプチドの「カクテル」を作成した。

研究者らはこの実験研究結果について、2011年12月12日(月)午後6時(太平洋標準時)米国血液学会(ASH)年次集会で報告し(演題番号3990)、この免疫療法によるヒト対象臨床試験の実施が有益であると述べた。

筆頭著者 Jooeun Bae博士および統括著者Nikhil Munshi医師主導の研究チームは、培養検査により、多発性骨髄腫細胞由来の4種の抗原ペプチド混合物が、各ペプチド単体よりも強力に種々の免疫防御反応を誘導することを確認した。

「したがって、特異的ペプチドカクテルを利用し、多発性骨髄腫関連抗原を標的とすることは、この血液癌および関連疾患患者にとって有効な治療選択となる可能性がある」と著者らは記した。

多発性骨髄腫は、異常血液細胞が骨や他の組織に蓄積し、致死性の機能障害を生じる。米国癌協会(ACS)によると、2011年には米国内で約20,520人が本疾患と診断され、約10,610人が死亡すると予測されている。

免疫療法とは、生体の免疫システムに癌細胞を「異物」と認識させ、それらに対する防御反応を誘導するものであるが、多発性骨髄腫への応用は困難であるとこれまで考えられてきた。この種の治療は「癌ワクチン」とも言われ、骨髄腫自体の細胞から得た、タンパク質の断片であるペプチドの働きを利用し、免疫反応を誘導させる。

しかし多発性骨髄腫は、多くの癌がそうであるように、変幻自在の敵である。その腫瘍関連抗原は出現しては消失することを繰り返し、免疫系に検出されないよう自らの性質を十分に変異させることができる。この理由から、骨髄腫抗原単体を用いた過去の試験では、この疾患に対する有効な免疫反応を誘導することができなかった、とMunshi氏は説明した。

今回の新しい研究で、ダナファーバーの研究者らは、単体ではなく複数の骨髄腫抗原を免疫系に作用させることで、強力な反応を誘導する可能性が高まるのではないかと考えた。ゆえに4種の骨髄腫ペプチド抗原を同定し、それら各抗原について研究室での培養を用いて、T細胞による免疫反応の誘導能力を検査した。

次に彼らは、全4種の骨髄腫抗原を混合しカクテルを作成した。混合物は骨髄腫細胞に対し各単体ペプチドよりも強力に、複数の作用点を標的として防御反応を促進した。

彼らが研究に用いた骨髄腫抗原はヒト細胞由来のものであるため、この理論について動物実験を実施することは考えられない。よって次の段階として、初期または「くすぶり」型の、未治療患者を対象とした臨床試験を実施する予定である、とMunshi氏は述べた。

「一部の患者は本格的な症候を呈さないか、あるいは数年にわたり癌が進行しない」とMunshi氏は説明している。「われわれは、このペプチドカクテルを投与することにより骨髄腫の進行が抑制されるかどうかを確認したい。この可能性には非常に期待している。なぜならこれらの患者には正常な免疫システムがありながら、現在のところわれわれはその免疫システムに向けて何もできていないからである」

本研究はダナファーバー癌研究所より資金提供を受けた。

共著者は以下のとおりである。
Ruben Carrasco医学博士、Weihua Song医師、 Rao Prabhala博士、Kenneth C. Anderson医師(以上ダナファーバー癌研究所)、Ann-Hwee Lee博士(ハーバード大学医学部)

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武内 優子 訳
田中 謙太郎(呼吸器・腫瘍内科、免疫/テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)監修
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原文

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