麻薬系鎮痛剤治療にカンナビスを併用することにより疼痛緩和改善の可能性/カリフォルニア大学サンフランシスコ校 | 海外がん医療情報リファレンス

麻薬系鎮痛剤治療にカンナビスを併用することにより疼痛緩和改善の可能性/カリフォルニア大学サンフランシスコ校

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麻薬系鎮痛剤治療にカンナビスを併用することにより疼痛緩和改善の可能性/カリフォルニア大学サンフランシスコ校

麻薬系鎮痛剤治療にカンナビスを併用することにより疼痛緩和改善の可能性

2011年12月6日
ニュースオフィス:Leland Kim (415) 502-6397

慢性疼痛患者の麻薬系鎮痛剤単独治療に、カンナビスあるいは医療用大麻の主成分であるカンナビノイドを併用すると、より優れた疼痛緩和を得られる可能性がカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究から示唆された。小規模なこの試験結果から、この併用療法によって麻薬系鎮痛剤の用量減少の可能性も示唆された。

米国の7600万人以上の人々が慢性疼痛に苦しんでおり、米国立保健統計センター(National Centers for Health Statistics)によるとこれは糖尿病、心疾患、癌の合計数よりも多い。

論文の筆頭著者で、UCSFの臨床医学部教授、また統合医療オッシャーセンター(Osher Center for Integrative Medicine)の癌および統合医療専門医であるDr.Donald Abrams氏は「疼痛は米国において大きな問題で、慢性疼痛は多くの人々が医療サービスを利用する理由になっている」と述べている。「不運なことに、慢性疼痛における問題の一つは、われわれが効果的に対処できる余地が少ないことです。」

Clinical Pharmacology & Therapeutics誌に今月発表された論文の中で、研究者らはカンナビノイドと麻薬系鎮痛剤の相互作用に関して、はじめてヒトを対象とした試験が行われた。研究者らは、これまでの動物実験の結果同様、この2つの成分の組み合わせが麻薬系鎮痛剤単独と比較して疼痛緩和により優れていたことを発見した。

研究者らは長時間作用型モルヒネあるいは長時間作用型オキシコドンによる治療を受けていた慢性疼痛患者を対象に研究を行った。患者にはそれら治療に加え、吸入器を用いた吸入によりカンビノイドを一定用量追加した。当初の関心は麻薬系鎮痛剤の有効性が向上するかどうかで、カンナビノイドが疼痛緩和を促進するかどうかではなかった。

Abrams氏は次のように述べている。「実際にはこの研究の目的は麻薬系鎮痛剤の血中濃度がカンナビスの吸入によって変化するかであった。麻薬系鎮痛剤の長期的投与にカンナビスを追加することによる薬物相互作用としては、麻薬系鎮痛剤の血中濃度が上昇する、あるいは減少する、または影響がない可能性が予想された。その間、患者の疼痛の状態を確認した。」

Abrams氏らはサンフランシスコ総合病院(San Francisco General Hospital)のClinical & Transitional Science Institute’s Clinical Research Centerに入院する患者の中から21名の慢性疼痛患者を対象に研究を行った。その内10名は徐放性モルヒネ、11名はオキシコドンによる治療を受けていた。試験開始時に患者の麻薬系鎮痛剤濃度を測定し、その後連続4日間患者に気化させたカンナビスを投与した。5日目、研究者らは再び麻薬系鎮痛剤の血中濃度を確認した。 モルヒネの濃度はやや低く、またオキシコドンの濃度には実質的に変化がなかったため、「疼痛緩和が弱くなることが予想されたが、興味深いことに疼痛緩和が弱まるのではなくより優れた疼痛緩和があり、驚きであった」とAbrams氏は述べた。

モルヒネ群では、はじめ疼痛のスコアが約35で、5日目には33%減少して24であった。オキシコドン群では、はじめ疼痛のスコア平均が44で、20%減少して34であった。全体として、患者に疼痛の有意な減少がみられた。

「この予備研究は、カンナビスを併用した場合に、より低容量の麻薬系鎮痛剤の長期的な投与をしなくてもすむことが可能かもしれないことを示唆している」とAbrams氏は述べている。

麻薬系鎮痛剤は非常に強力な鎮痛剤で、非常に依存性の可能性がある。また麻薬系鎮痛剤は時に呼吸器系を抑制するため命にかかわることもある。

Abrams氏は癌専門医として慢性疼痛の安全で有効な治療法を見つけることを思い立った。このカンナビス・麻薬系鎮痛剤研究の対象患者において、吐き気、嘔吐、あるいは食欲不振などの大きな副作用はなかった。

「われわれが今なすべきことは、より大規模な試験の主要エンドポイントとして疼痛を調べることである。特に私は異なるカンナビス種の効果を調査することに関心がある」とAbrams氏は述べている。

例えば、デルタ9-THCはカンナビスの主要な精神活性作用成分であるが、カンナビスには異なる効果を有する同様の成分が他に約70ある。その1つにカンナビジオール、あるいはCBDがある。これは、THCによる高揚状態をもたらすことなく、疼痛および炎症に対して非常に有効であると思われる。

「慢性疼痛患者において、麻薬系鎮痛剤との関連における高THCと高CBDカンナビスを比較するより大規模な試験を、場合によっては対照群としてプラセボを用いて行うことは興味深いことであると私は考えており、それが次のステップである」とAbrams氏は述べている。

Abrams氏は論文の筆頭著者で、以下は共著者である:Paul Couey and Mary Ellen Kelly of the UCSF Division of Hematology-Oncology at SFGH; Starley Shade of the UCSF Center for AIDS Prevention Studies; and Dr. Neal Benowitz of the UCSF Division of Clinical Pharmacology and Experimental Therapeutics.

この研究は米国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)に属する米国立薬物乱用研究所(National Institutes on Drug Abuse: NIDA)による資金援助を受けた。

カンナビスの主要成分

・デルタ9-テトラヒドロカンナビノール:カンナビスの主要な精神活性作用成分で、軽度から中程度の疼痛軽減効果がある。また癌化学療法に伴う吐き気の治療および食欲促進を補助する。高揚感をもたらす。潜在的な副作用に、心拍数の上昇、錯乱、混乱、不安、および妄想の可能性が含まれる。

・カンナビジオール(CBD):カンナビスの主要成分で、精神活性作用はなく、炎症の縮小、およびTHCによる高揚感を引き起こすことなく疼痛の緩和を補助する。関節リウマチ、炎症性腸疾患、精神疾患、およびてんかんの治療に用いられている。より高用量のCBDは、THCに関連する副作用を引き起こすことなく、心身のリラックスができる。

・カンナビノール(CBN):カンナビスの第二の精神活性成分である。THCあるいはCBDの疼痛軽減効果はない。CBNはTHCが時間が経つと形成される。THCの高揚効果と異なり、CBDは頭痛および倦怠感を引き起こす。

・テトラヒドロカンナビバリン(THCV):アフリカおよびアジア系統のカンナビスに主に含まれている。THCVはTHCの効果の強さおよび成分の送達速度を増すが、高揚感が早くなくなる。

UCSFメディカルセンター(UCSF Medical Center)について
UCSFメディカルセンターは米国のトップ10に常にランクしている病院である。革新的な治療法、先進技術、医療専門家および科学者間の連携、および思いやり溢れる患者ケアチームで有名なUCSFメディカルセンターは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の学術的メディカルセンターとしての役割を果たしている。このメディカルセンターの国内の優れたプログラムには、小児健康、脳神経系、臓器移植、女性の健康および癌が含まれる。この医療センターはUCSF内における独立経営事業として運営されており、患者ケア提供のための運営コストをまかなうため独自の収入を生み出している。

ファイスブックまたはツイッターでUCSF医療センターをフォロー:www.facebook.com/UCSFMedicalCenterまたは@UCSFHospitals

このニュースリリースはウェブ掲載のための変更が加えられている。

原文URL:
http://www.ucsfhealth.org/news/2011/12/adding_cannabis_to_opiates_treatment_may_increase_pain_relie.html

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金井 太郎 訳
須藤 智久(薬学/国立がん研究センター 東病院)監修
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