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娠中の乳癌治療で生存期間が延長/M.D.アンダーソンがんセンター

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娠中の乳癌治療で生存期間が延長/M.D.アンダーソンがんセンター


M.D.アンダーソンがんセンター
2010年9月28日

長年、妊娠中の乳癌治療は転帰が不良とされていたが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らによると、妊娠しながら乳癌の治療を受けた患者のほうが妊娠していない患者に比べて無病生存率が改善し、全生存率にも改善傾向がみられたという。
MDアンダーソン乳腺腫瘍内科学部助教授、Jennifer Litton M.D.氏は2010年乳癌シンポジウムのポスターディスカッションでこの知見を発表した。

「妊娠中に治療を受けた乳癌患者の転帰は不良であることが旧来のレジストリ研究で示されてきました。しかし以前は、こういった患者は標準的化学治療を必ずしも一貫して受けていたわけではなく、治療を出産後まで遅らせることも多かったのです」と、本研究の筆頭責任著者であるLitton氏は述べた。「MDアンダーソンの妊婦患者に対する治療経験とレジストリをもとに、同じ施設で同じ医師により、同じ標準治療を受けた患者を考察することができました」。

1992年、乳腺腫瘍内科学部教授のRichard Theriault D.O.氏は、妊婦患者を管理するための化学療法レジメンを評価する最初のプロトコルを開始した。後に、彼はそのレジメンが母体および胎児の双方に安全であることを示す重要な研究を発表し、以降これが標準治療として採用された。MDアンダーソンは、妊娠中の乳癌患者およびその子供達の健康状態をフォローアップした、世界で最も歴史ある、活発で有望なレジストリを有している。

Litton氏と共同研究者らは、単一施設によるケースコントロール研究に、妊娠中に乳癌治療を受けた患者75人を同定した。MDアンダーソンが所有する腫瘍レジストリおよび乳腺腫瘍内科学部のデータベースを用い、妊娠していない乳癌患者150人との比較を行った。ケース群およびコントロール群はすべて、1989年から2008年の間にMDアンダーソンで治療を受けた患者であり、病期、年齢および診断時期が適合するよう選択されていた。診断後1年以内に出産した患者は比較群から除外された。

全参加者が標準的化学療法レジメン:5-フルオロウラシル、ドキソルビシンおよびシクロホスファミド(FAC)を受けたが、妊婦患者の治療開始は妊娠初期を過ぎてからとした。両群とも臨床的に必要であれば追加治療を受けたが、妊婦患者の場合は出産後に受けるものとした。追跡期間の中央値は4.16年であった。

5年無病生存率は、妊娠していない患者で55.75%であったのに対し、妊婦患者では73.94%で統計的に有意であった。また、統計的に有意ではないものの、全生存率もケース群で高く、コントロール群71.86%であったのに対し、77.42%であった。

「このデータおよびわれわれの研究結果からは、妊娠している患者のほうが妊娠していない患者より良好な転帰を示した理由は明らかになりませんでした」とLitton氏は述べた。「妊娠中には化学療法への反応に影響を及ぼすような何らかの生物学的作用が働くのでしょうか。あるいは妊婦患者のほうが積極的に治療を受けたということなのでしょうか」。

Litton氏は、無病生存率と全生存率の結果が一致しなかった理由は依然不明であるとし、今回の知見を理解することが最優先の研究課題であるという。

「MDアンダーソンは、長年にわたって妊婦の乳癌治療の最前線にあり、われわれは研究を通じて、母体にも子供にも安全なレジメンを見出し、最終的には標準治療として確立したのです」と本研究の上級著者であるTheriault氏は述べた。「これからはカウンセリングで妊娠中の乳癌患者にも、妊娠していない患者と同じく回復に望みをもってよいと言えますし、治療は妊娠中期もしくは妊娠後期に必ず開始するよう指示できるのです」。

その他の共著者は以下の通りである。
Gabriel Hortobagyi, M.D., professor and chair of the Department of Breast Medical Oncology; Karin Hahn, M.D., associate professor, Department of General Oncology; George Perkins, M.D., associate professor, Department of Radiation Oncology; Lavinia Middleton, M.D., professor, Department of Pathology; Ana Gonzalez-Angulo, associate professor, Departments of Breast Medical Oncology and Systems Biology; Shana Palla and Carla Warneke, both Department of Biostatistics

本研究はWolff-Toomim Foundationによる資金提供を受けた。

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河原恭子 訳
原 文堅(乳腺/四国がんセンター)監修
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原文


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