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乳癌の5年10年生存率は過去60年間で上昇/MDアンダーソンがんセンター

  • 2010年12月6日

    乳癌の5年、10年生存率は過去60年間に全ステージで上昇—MDアンダーソンがんセンターの調査より
    M.D.アンダーソンがんセンター
    2010年9月29日

    テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの60年にわたる患者記録の調査によると、癌を検出するスクリーニング技術の向上、より多くの女性に対するより高度な手術の実施、局所進行癌および早期癌患者の再発リスクを減少させる治療法の増加により、全体として乳癌生存率は劇的に改善していることが明らかとなった。[pagebreak]今回の単一施設研究によると10年毎に、全てのステージで5年、10年生存率の双方とも上昇しており、MDアンダーソンがんセンター乳腺腫瘍内科学部 Aman Buzdar医師は乳がんシンポジウム2010に先立ちそのデータを公開した。

    米国国立癌研究所(NCI)のSEERプログラム(Surveillance Epidemiology End Results Program)同様、MDアンダーソンがんセンター乳腺腫瘍内科学部では、約70年前の創設時から、乳癌発生率、有病率、死亡率の情報を集積し、総合データベースをまとめてきた。MDアンダーソンは米国のみならずおそらく世界最大の乳癌治療を行うグループであるという点で他に例を見ないと、 Buzdar氏は説明した。

    「乳癌や他の癌種含め、組織的集学的治療を行うことがわれわれの治療の基本理念として当初から導入され継続しています。MDアンダーソンでは新規治療法が発見されれば早い段階から患者の臨床治療に適用し長期間継続するため、結果として各ステージで患者の生存率が改善します。この70年の間に、画期的な研究の発見がMDアンダーソンの患者さんの生存にいかに影響を与えたかを報告してきました」と本研究の統括著者であるBuzdar氏は述べた。

    今回のレトロスペクティブ単一施設研究においてBuzdar氏らの研究チームは1944年〜2004年にMDアンダーソンで診察した乳癌患者56,864 人の記録を再検討した。そのうち同施設で初期治療を受けた12,809人を10年毎に局所浸潤癌、領域浸潤癌、遠隔転移癌の3つのステージに分類した。

    研究者らは初診日から起算して5年、10年生存率を10年毎、ステージ毎に検討した。10年経過するにつれて全生存率だけでなく、3つの全ステージで生存率が明らかに上昇した。

    10年生存率 (患者数)

    局所領域遠隔転移全体*
    1944-5455.0%(120)16.2%(191)3.3%(92)25.1%(410)
    1955-6456.0%(462)23.9%(656)4.0%(306)30.5%(1,449)
    1965-7459.3%(440)28.8%(566)4.7%(321)34.6%(1,387)
    1975-8472.0%(701)46.9%(828)7.4%(367)49.3%(1,983)
    1985-9478.5%(1,036)57.4%(1,268)11.2%(364)61.6%(2,927)
    1995-0486.1%(1,898)74.1%(1,569)22.2%(455)76.5%(4,653)

    * 非浸潤癌と不明を含む

    Buzdar氏は、かつて治癒困難と思われた転移癌患者の生存率が改善し、現在かなりの転移癌患者が種々の適切な治療により長期生存が可能になったと記している。

    「われわれが調査を始めた1944〜1954年の10年は転移乳癌女性の10年生存率はわずか3.3%でした。しかし同じコホートで1985〜1994年の11.2%から1995年〜2004年の22.2%とそれぞれ生存率が増加しています。この劇的な変化は、化学療法の発展、新規薬剤の追加、ホルモン療法の改善さらに最近の生物学的製剤といった、乳癌全体の研究や画期的な臨床研究によるだけでなく、これらの研究を適切かつ集学的に治療に適用してきた成果を現しています」と、Buzdar氏は述べた。

    MDアンダーソンの数多くの画期的な研究は施設内外問わず、臨床治療や乳癌生存率に影響を与えた。術前全身治療の適用、化学療法の改善、特にアントラサイクリン系、タキサン系、生物学的製剤、アロマターゼ阻害剤のような比較的新しいホルモン製剤など、集学的治療の実施である。

    これらの研究結果や調査報告は確かに喜ばしいが、今後もさらに研究を続けなければならないとBuzdar氏は言う。
    「今後われわれは、高リスク早期乳癌患者の死亡再発リスクのさらなる減少と、転移癌患者の病勢コントロール維持を目標に、乳癌の治療法を改善していく必要があります」とBuzdar氏は述べた。

    Buzdar氏の他、共著者は以下のとおりである。 Thomas A. Buchholz, M.D., professor in the Department of Radiation Oncology; Gabriel N. Hortobagyi, M.D., professor and chair of the Department of Breast Medical Oncology; Kelly Hunt, M.D., professor in the Department of Surgery; Kenneth R. Hess, Ph.D., professor, Department of Biostatistics; and Sarah H. Taylor, Department of Tumor Registry.

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    武内 優子 訳
    原 文堅(乳腺/四国がんセンター)監修
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    原文


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