転移性乳癌患者において、エベロリムスとエキセメスタンの併用により無増悪生存期間が延長/MDアンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

転移性乳癌患者において、エベロリムスとエキセメスタンの併用により無増悪生存期間が延長/MDアンダーソンがんセンター

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

転移性乳癌患者において、エベロリムスとエキセメスタンの併用により無増悪生存期間が延長/MDアンダーソンがんセンター

エベロリムスとホルモン療法剤であるエキセメスタンとの併用により、無増悪生存期間が著しく延長したことが明らかに
M.D.アンダーソンがんセンター
2011年12月7日

ランダム化国際共同第3相試験において、エベロリムスとホルモン療法剤であるエキセメスタンとの併用により、無増悪生存期間が著しく延長したことが、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターの研究により明らかになった。

BOLERO-2(Breast Cancer Trials of Oral Everolimus:乳癌へのエベロリムス経口投与試験)として知られる臨床試験結果が、本日2011 CTRC-AACRサンアントニオ乳がんシンポジウムにおいて、MDアンダーソン乳腺腫瘍内科学部門の教授で学部長のGabriel Hortobagyi医師から発表された。同時に、同試験の早期の結果が、New England Journal of Medicine誌に掲載された。

エベロリムスは免疫抑制剤であり、当初は臓器移植の際の拒絶反応を抑えるために使用されていたが、血管新生阻害作用ももつ。エベロリムスは、癌細胞の増殖と癌細胞における血管新生の主要な調節因子である哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)を阻害するが、mTOR経路はホルモン療法抵抗性の乳癌で活性化されている、とHortobagyi氏は説明する。現在、この経口剤は腎細胞癌と膵内分泌腫瘍を対象に承認されており、このうち後者の適応へのFDA承認は、MDアンダーソンの研究業績による。

BOLERO-2の予備データは、まず欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表され、有意な無増悪生存期間延長効果が示された。今回の最新結果は、さらに6カ月間の患者追跡調査を加えたものである、とHortobagyi氏は説明する。

「本研究は、我々は内分泌療法に対する抵抗性の機序についての理解を深めたという概念に基づいており、BOLERO-2の試験群では、内分泌療法で治療効果が得られないホルモン受容体陽性乳癌患者に対して二重の攻撃を用いています。アロマターゼ阻害剤であるエキセメスタンによるエストロゲンシグナリング経路と、エベロリムスによるPI3キナーゼ/AKT/mTOR経路の阻害を同時に行うのです。」Hortobagyi氏は述べる。「内分泌療法の治療歴がある患者に対してこの二重攻撃は、内分泌療法単独と比較してより有効性が高いことが、大規模な第3相試験ではじめて示されました。」

本国際共同第3相臨床試験には724人の転移性乳癌患者が登録され、その全員が閉経後、ホルモン受容体陽性の進行した患者であった。2:1の比率で、485人をエベロリムス(10 mg/日)とアロマターゼ阻害剤であるエキセメスタンとの併用療法に無作為に割付け、エキセメスタンとプラセボが投与された239人と比較した。全員がレトロゾールまたはアナストロゾールでの治療歴がある進行した患者であり、多くは治療の手を尽くした患者であった。登録された患者の年齢中央値は62歳であり、試験の主要評価項目は無増悪生存期間であった。

無増悪生存期間は、エキセメスタン単独療法群の3.2カ月に対し、エベロリムス併用療法を受けた患者群では7.4カ月であり、この結果は「極めて有意」とHortobagyi氏は述べる。臨床的有効率(完全奏功、部分奏功、6カ月以上継続した安定の合計)は、ホルモン単独療法群25.5%に対し、試験群で50.5%であった。息切れ、高血糖、口内炎、疲労などの有害事象は、いずれも併用療法群で高かったが、対処できる範囲であり、患者のクオリティ・オブ・ライフを損なうほどではなかった。生存期間のデータは、引き続き解析中である。

アロマターゼ阻害剤は骨量減少と骨折に関連があり、安全対策として患者の骨代謝マーカーが測定された。エベロリムスとの併用により骨代謝マーカーは有意に改善し、これはさらに研究が必要な興味深い結果である、とHortobagyi氏はコメントした。

「何年もの間、転移性乳癌患者に対する我々の治療アプローチは、できる限り多種のホルモン療法を継続して、転移性癌をできる限り長く管理できる状態で維持することでした。今回の結果により、このアプローチは変えられるかもしれません。今回の試験の患者はみな治療の手を尽くされており、試験開始前の内分泌治療で進行していましたが、mTOR阻害剤の追加により、毒性が多少増加するのみで無増悪生存期間の有意な延長と奏功率の向上が認められました。」Hortobagyi氏は述べた。

BOLERO-2の組み入れ基準に合致した乳癌患者にとって、この結果は「実臨床を変えるものになるかもしれないとHortobagyi氏は考えている。今後も乳癌に対するエベロリムスの追加試験が計画されており、術後補助療法におけるアロマターゼ阻害剤との併用試験、および転移性癌における追加試験が含まれている。

国際共同臨床試験に関するHortobagyi氏の共同発表者は、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院がんセンターのJorge Baselga医師である。また、New England Journal of Medicine誌に掲載された試験結果の著者は、ジュール・ボルデ研究所のMartine Piccart医師、カルフォルニア大学サンフランシスコ校、ヘレン・ディラー・ファミリー総合がんセンターのHope S. Rugo医師、サラ・キャノン研究所のHoward Burris医師、ル・ウェストがん研究所のMario Campone医師、大阪大学のShinzaburo Noguchi医師、ウィーン医科大学総合がんセンターのMichael Gnant医師、サニーブルック・オデットがんセンターのKathleen Pritchard医師、およびNovartis Pharmaceuticals社のLuc Vittori氏、Zhiying Xu博士、Pabak Mukhopadhyay博士、Tarek Sahmoud医学博士、David Lebwohl医師である。
本臨床試験にはNovartis社が一部資金を提供した。Hortobagyi氏はNovartisの顧問を務め、研究資金提供を受けていたことを報告している。

***********
石岡 優子 訳
須藤 智久  (薬学/国立がん研究センター東病院 臨床開発センター) 監修
************


原文


printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  2. 2がんに対する標的光免疫療法の進展
  3. 3遺伝子変異が多いほど、免疫チェックポイント阻害薬の奏...
  4. 4リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  5. 5コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  6. 6BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  7. 7若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  8. 8FDAががんプロファイル検査の承認経路を公表
  9. 9ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  10. 10治療が終了した後に-認知機能の変化

お勧め出版物

一覧

arrow_upward