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口腔癌予防には薬用パッチが有望/オハイオ州立大学

  • 2011年12月12日

オハイオ大学総合がんセンターの研究者らが、口腔内の前癌病変部に化学予防薬を直接長時間浸透させることができる口腔用貼付剤を開発した。

この研究では、非常に有望な抗癌作用を示すビタミンAの合成誘導体であるフェンレチニド(fenretinide)について検討した。フェンレチニドは、毒性があることと急速に体外に排出されてしまうことから、全身投与量は確立されてこなかった。この度、研究者らは、オハイオ大学総合がんセンター、Arthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Instituteとミシガン大学の共同研究によって考案された粘膜付着性パッチを活用して、唾液で覆われた口腔組織に継続して薬物治療を施す送達システムを開発した。

「口腔用のジェル剤やリンス剤は組織に浸透する前に唾液中に溶解してしまう。この貼付剤は病変部組織を標的にし、薬剤送達をコントロ-ルできる」とオハイオ大学総合がんセンターの口腔病理学者Susan Mallery 博士は述べる。

このパッチは3つの層、フェンレチニドおよび唾液中でフェンレチニドを溶解しやすくする重合体を染み込ませた薬剤層、パッチを固定させるリング状の粘着層、パッチ内に薬剤を貯留させるための基材層でできている。

最新のPharmaceutical Research誌電子版の研究発表によれば、Mallery博士と共同研究者である同大学のPeter Larcen博士は疑似唾液および実験動物を用いてフェンレチニドのパッチの試験を実施した。どちらにおいても、フェンレチニドが体の他の部位や周りの健康な組織で検出されることなく、ヒトに必要なレベルに相当する治療投与量が確立された。

「非常に有望な結果である。フェンレチニドは研究者が癌予防剤として長い間研究してきたものであるが、この粘着付着性パッチによって我々はついにフェンレチニドの有効性を生かす方法を開発できた」とMallery博士は述べる。

毎年、300,000人以上が口腔内に前癌病変を発症すると推定され、約36,000人が口腔癌を発症する。現時点では、どの前癌病変部が癌化するかを見分ける方法はない。歯科医は経過観察で病変の様子をうかがうこともできるが、治療方針を決定しようとして生検用に外科的に病変を切除することが多い。

「口腔内に病変部位が複数あったり病変が再発する患者にとっては生検を何度も受けることは苦痛であるし、話したり食べたりすることや生活の質にまで影響を与えてしまう。理想としては、外科手術をしないでこのような前癌病変の進行を遅らせたり止めたりしたいものである。このパッチはその解決策になり得る」とオハイオ大学歯学部の口腔顎顔面外科病理学科医長のLarsen博士は述べる。

歯科クリニックでのフェンレチニドのパッチによる患者治療がおよそ16カ月以内に始まるので、Mallery博士率いる研究者チームがこれらの試験結果をヒトに適用できるかどうかをみるのはこれからのことになる。

本研究はOhio State Center for Clinical and Translational Science、オハイオ大学の7つのOSU Health Science Colleges、OSU Medical Center and Nationwide Children’s Hospitalの研究者や臨床医の連携により支援された。

The Ohio State University Comprehensive Cancer Center – Arthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Institute (cancer.osu.edu) strives to create a cancer-free world by integrating scientific research with excellence in education and patient-centered care, a strategy that leads to better methods of prevention, detection and treatment. Ohio State is one of only 41 National Cancer Institute (NCI)-designated Comprehensive Cancer Centers and one of only seven centers funded by the NCI to conduct both phase I and phase II clinical trials. The NCI recently rated Ohio State’s cancer program as “exceptional,” the highest rating given by NCI survey teams. As the cancer program’s 210-bed adult patient-care component, The James is a “Top Hospital” as named by the Leapfrog Group and one of the top 20 cancer hospitals in the nation as ranked by U.S. News & World Report.

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多和郁恵 訳
峯野 知子 (高崎健康福祉大学薬学部) 監修
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原文

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