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エベロリムスにより神経内分泌腫瘍患者の無進行生存期間が延長/MDアンダーソンがんセンター

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エベロリムスにより神経内分泌腫瘍患者の無進行生存期間が延長/MDアンダーソンがんセンター

オクトレオチドとの併用によりカルチノイド症候群を伴う腫瘍に効果が示される
M.D.アンダーソンがんセンター
2011年11月29日

哺乳類ラパマイシン標的分子(mTOR)の阻害剤であるエベロリムスをオクトレオチドと併用すると、進行した神経内分泌腫瘍を有しカルチノイド症候群の既往歴がある患者の無進行生存期間を延長することが示された。テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者が発表した。

国際ランダム化プラセボ対照第3相臨床試験によるもので、本日付のLancet誌にその結果が掲載された。

エベロリムスに、抗腫瘍活性を有するソマトスタチン類似体である持続型(LAR)のオクトレオチドを併用すると、腫瘍の増殖はオクトレオチド単独投与と比較して5カ月遅くなった。これは臨床上大きな意味を持つ。

神経内分泌腫瘍(カルチノイドとも言う)はさまざまな部位を原発巣とする稀な腫瘍である。カルチノイドは多くの場合肝臓へ転移し、カルチノイド症候群と呼ばれる種々の症状を呈する。

「現在のところ、大部分の神経内分泌腫瘍については、FDA承認を受けた抗腫瘍薬はありません」。MDアンダーソンの消化器腫瘍学部門准教授のJames C. Yao医師はこのように述べた。「これまでは限られた治療選択肢しかありませんでしたが、本試験は新たな選択肢として期待できます」。

重大かつ稀な腫瘍

Yao氏によると、神経内分泌腫瘍と診断される人の数は、人口10万人対で年に1人であったものが過去30年間で年5.25人と5倍以上になったという。患者の約半数には局所・遠隔に関わらず転移があり、進行性患者の65%は診断後5年以内に死亡する。

エベロリムスは臓器移植における拒絶反応防止のために使われる免疫抑制剤で、腫瘍細胞の分裂および血管新生を制御する中心となるmTORタンパクを阻害する。過剰なmTORタンパク活性が神経内分泌腫瘍の病理発生と関連があるとされている。

前臨床試験ではmTOR阻害により神経内分泌腫瘍の増殖が抑えられる可能性が示され、MDアンダーソンで行われた初期の第2相臨床試験でもエベロリムスに神経内分泌腫瘍に対する抗腫瘍活性が期待できることが示されている。

今年5月、国際ランダム化第3相臨床試験において、エベロリムスが関連疾患である膵内分泌腫瘍患者の無進行生存期間を延長することが示され、同疾患に対する治療薬としてFDA承認を受けることにつながった。

オクトレオチドなどソマトスタチン類似体は、神経内分泌腫瘍によるホルモン関連症状を改善する。オクトレオチドLARには抗腫瘍活性があることもわかっており、一部タイプの神経内分泌腫瘍患者について病勢進行を遅らせる。

無進行生存期間が延長

今回の試験(RADIANT-2試験)は、進行度が低度または中等度(局所進行して切除不能または遠隔転移あり)の神経内分泌腫瘍を有しカルチノイド症候群の既往がある患者429人を登録して行った。進行度は過去12カ月の放射線像により判定した。

患者には10mgのエベロリムスまたはプラセボを1日1回経口投与し、併せて28日ごとに30mgのオクトレオチドLARを筋肉内投与した。病勢の進行、副作用による治療中止、試験への承諾撤回による治療中止がない限り治療を継続した。

無進行生存期間中央値はエベロリムス+オクトレオチドLAR群で16.4カ月、プラセボ+オクトレオチドLAR群で11.2カ月であった。

副作用はエベロリムス群に多く見られたが管理可能なものであった。口内炎(62%対14%)、倦怠感(31%対23%)、下痢(27%対16%)などがみられた。

次の段階は

Yao氏は、ランダム化による不均衡を是正した追加の予備分析を2012年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)の消化器癌年次集会で発表すると述べた。

「われわれは現在スポンサー企業(Novartis社)と共同で神経内分泌腫瘍に対する確認試験を進めているところです」とYao氏は話している。

Yao氏以外の研究者は次のとおり。
Marianne Pavel, M.D., Charite-Universitatsmedizin, Berlin; John Hainsworth, M.D., Cannon Research Institute, Nashville; Eric Baudin, M.D., Oncologie Endocrinienne et Medecine Nucleaire, Villejuif, France; Marc Peeters, M.D., Antwerp University Hospital, Belgium; Dieter Horsch, M.D., Klinik fur Innere Medizin, Zenttralklinik Bad Berka GmbH, Germany; Robert Winkler, M.D., Judith Klimovsky, M.D. and David Lebwohl, M.D., Ochsner Kenner Medical Center, Louisiana; Valentine Jehl, MSc, Novartis Pharma AB, Switzerland; Edward Wolin, M.D., Ceders Sinai Medical Center, Los Angeles; Kjell Oberg, M.D., University Hospital, Uppsala, Sweden; and Eric Van Cutsem, M.D., University Hospital Gasthuisberg, Leuven, Belgium.

Yao氏はNovartis社の顧問を務め、同社より研究資金の提供を受けている。

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橋本 仁 訳
大渕 俊朗(呼吸器・乳腺内分泌・小児外科/福岡大学医学部) 監修
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原文


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