骨髄・幹細胞移植の10年間の技術向上で血液腫瘍患者の長期生存率が改善/フレッド・ハチンソンがん研究センター | 海外がん医療情報リファレンス

骨髄・幹細胞移植の10年間の技術向上で血液腫瘍患者の長期生存率が改善/フレッド・ハチンソンがん研究センター

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骨髄・幹細胞移植の10年間の技術向上で血液腫瘍患者の長期生存率が改善/フレッド・ハチンソンがん研究センター

フレッド・ハチンソンがん研究センター
2010年11月24日

フレッド・ハチンソンがん研究センターが実施した骨髄移植患者の転帰に関する組織内の自己分析によると、血液腫瘍の治療における骨髄移植・幹細胞移植の10年間の技術向上により、治療に関連する合併症および死亡のリスクが大きく軽減されたという。
本研究で1990年代中頃とその10年後における移植患者の転帰を比較したところ、主に次の知見が得られた。転帰に関連するとされる因子について補正したうえで、移植後200日以内における死亡リスクが60%、移植後の全死亡リスクが41%と、統計学的に有意な減少が観察された。

ハチンソンセンターの胃腸科医師で、2010年11月25日付けNew England Journal of Medicine誌に掲載された記事の連絡先著者であるGeorge McDonald医師は、「調査したすべての項目で10年後には改善していました」と述べた。

McDonald氏らは、1993年から1997年の間に非血縁ドナーから末梢血幹細胞または骨髄の移植を受けた患者1,418人の転帰と、2003年から2007年の間に移植を受けた患者1,148人の転帰を調査した。移植による治療対象は種々の白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群などであった。

調査したところ、各群の推定1年後全生存率はそれぞれ55%および70%であった。また、重症の移植片対宿主病、ウイルス・細菌・真菌による感染症、肺・腎臓・肝臓の障害による合併症のリスクがいずれも統計学的に有意に減少していることも確認した。

本研究の主著者で生物統計学者のTed Gooley医学博士は、今回の分析結果は、2000年代の移植患者が1990年代の患者に比べ総じて年齢が高く病気も重いという事実を考慮に入れると、死亡または移植関連の合併症に関する「リスク」または「ハザード」が減少したことを示している、と述べた。

McDonald氏は、本研究が後向き研究であり、移植法や治療法について患者群間でランダム化比較を行っていないので、転帰が改善した理由については推測の域を出ない、とした。その一方、著者らは診療のいくつかの変更がリスク低減に重要な役割を果たしたと考えており、その多くはハチンソンセンターほか世界各国の主要な移植センターで継続的に実施されている臨床研究(さまざまなランダム化臨床試験など)の成果によるものだ。

●移植で使用する強力な化学療法薬の過少投与および過量投与を避けるために行う薬物血中濃度の慎重なモニタリングおよび薬物用量の調整
●高齢患者および病状の重い患者に対する移植前治療の減弱化
●急性移植片対宿主病の治療における高用量全身免疫抑制の回避
●肝臓の合併症予防のためのウルソジオールの使用
●ウイルスおよび真菌感染症の早期発見法ならびに予防治療法の開発
●カンジダ属真菌や糸状菌による重篤な感染症の治療におけるより効果が高く毒性の低い抗真菌剤の使用
●ドナー幹細胞源として骨髄ではなく末梢血幹細胞を使用(生着および免疫回復に要する期間の短縮)
●骨髄または幹細胞ドナーと非血縁患者におけるより正確なマッチング

「本研究ならびに本研究で確認された転帰の改善は、医療のなかで最も複雑な部類の治療に対するチームアプローチの結果もたらされたものです」とMcDonald氏は述べた。ハチンソンセンターの腫瘍医および移植生物学者は、患者治療にあたり感染症、呼吸器・集中治療、腎臓、胃腸、肝臓の専門家ならびに高い技術をもつ看護師その他のサポートスタッフに支えられている。

「どのプログラムも、移植関連の合併症について進行中の臨床研究と関連しているので、移植のやり方も絶えず変更されています」とMcDonald氏。「われわれの努力の結集により、患者の長期生存のチャンスが大きくなっていることはデータから明らかです」。

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橋本 仁 訳
吉原 哲(血液内科・造血幹細胞移植/兵庫医科大学病院)監修
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原文


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