2011/12/13号◆特集記事「早期ホジキンリンパ腫化学療法への放射線治療追加は晩期副作用のため不要」 | 海外がん医療情報リファレンス

2011/12/13号◆特集記事「早期ホジキンリンパ腫化学療法への放射線治療追加は晩期副作用のため不要」

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

2011/12/13号◆特集記事「早期ホジキンリンパ腫化学療法への放射線治療追加は晩期副作用のため不要」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2011年12月13日号(Volume 8 / Number 24)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~
PDFはこちらからpicture_as_pdf

____________________

◇◆◇ 特集記事 ◇◆◇

早期ホジキンリンパ腫化学療法への放射線治療追加は晩期副作用のため不要

多剤化学療法のみを受けた早期ホジキンリンパ腫患者は、多剤化学療法に放射線治療を追加した患者に比べ、12年生存率が高いことが第3相臨床試験結果によって判明した。化学療法に放射線治療を追加した患者は化学療法単独の患者に比べて、二次癌、もしくは心臓病など副作用の晩期毒性によって死亡することが多かったと、サンディエゴで開催された米国血液学会年次大会で月曜日に報告された。早期ホジキンリンパ腫患者を対象とするランダム化試験で初の長期結果であるこの研究成果は、12月11日付New England Journal of Medicine誌電子版に掲載された。

ドキソルビシンブレオマイシンビンブラスチンダカルバジン多剤併用療法(ABVD療法)を受けた患者の全生存率が94%であったのに対し、放射線治療単独もしくはABVDに放射線治療を追加した患者では87%であった。 この臨床試験に組み込まれた405人の患者のうち、ABVD単独群の中の12人が追跡調査期間中に死亡した(死亡理由はホジキンリンパ腫6人、二次癌4人、その他2人)。 これに対し、放射線治療群では24人が死亡した(死亡理由はホジキンリンパ腫4人、二次癌10人、その他10人)。

臨床試験参加者は全員、IA期またはIIA期のホジキンリンパ腫で、腫瘍直径が4インチ(10.16 cm)以下であった。ホジキンリンパ腫は若年で発症することが多く、臨床試験参加者の年齢の中央値は試験開始時で約36歳であった。臨床試験参加者のおよそ3分の2を占める高リスク疾患患者のうち、ABVD療法単独の治療を受けた患者の92%が12年後に生存していたのに対し、放射線治療を受けた患者で生存していたのは81%であった。

無増悪率は化学療法単独群(87%)で放射線治療群(92%)よりも低かったと、試験責任医師であるカナダ国立癌研究所(NCIC)臨床試験グループのDr. Ralph M. Meyer氏は日曜日の記者会見で述べた。

「化学療法〔単独〕により全生存が改善されること、その理由は放射線治療を含む治療戦略よりも晩期副作用が少ないためであることを、われわれの研究は示しています」とMeyer氏は言う。「原疾患の増悪を抑えることがひいては長期生存につながるという標準的パラダイムは、晩期副作用のために、早期ホジキンリンパ腫には当てはまらないことも示しています」。

IA期またはIIA期のホジキンリンパ腫の臨床試験は、追跡調査期間が4~6年、再発を転帰の主要尺度とするものが大半である、とMeyer氏は述べた。 しかしながら、放射線治療に関連する晩期副作用は10年以上経過して初めて顕在化する、と続けた。

「今日ホジキンリンパ腫の治療は、原疾患を制御し治癒させることと長期的副作用を抑えることのバランスが肝腎なのです」と、記者会見の司会者で、(この臨床試験に参加した)Eastern Cooperative Oncology Groupリンパ腫部会の共同部会長を過去に務めたこともあるDr. Jane N. Winterはコメントした。 「これはそのバランスに、また新規治療の評価における長期的追跡の重要性に〔関わる試験〕です」。

この臨床試験で実施された亜全リンパ領域照射という放射線治療は、今日では旧式とみなされます、とMeyer氏は付け加えた。 「対照群の患者が受けた治療は今日では過剰とされるもので、そのせいで二次癌や心血管有害事象が増えた可能性があります」とMeyer氏は言った。 放射線治療に関連する晩期副作用のリスクは「現在の治療法ではおそらく減っている」けれでも、どれだけ減ったかはわかりません、と続けた。

NCIC臨床試験の結果は「広域照射療法による既知の長期的副作用を裏付けるものです。広領域照射による晩期副作用に関する多数の文献があり、また集学的治療の一環として照射域をもっと絞った放射線治療で同様の効果が得られることから、広領域照射が行われなくなってからすでに久しいのです」と、ハーバード大学医学部の腫瘍放射線医であるDr. Peter Mauch氏とDr. Andrea Ng氏は電子メールで伝えた。 今日、照射線量はこの臨床試験に比べればごくわずかであり、照射野はリンパ腫の病変部位だけに限定される、と両氏は説明した。

「いくつかの臨床試験によって、再発率の高さがホジキンリンパ腫による死亡率の高さに関連することが示されています」と両氏は続けた。「課題は、晩期の治療関連死亡を抑えつつ、いかにして再発を最小限にとどめるかです。 化学療法の回数を減らしたり、照射線量や照射野の大きさを制限したりすることによって、この目的を達成するために多くの成果が得られています」。

IA期またはIIA期のホジキンリンパ腫に対する放射線治療の役割をめぐって、腫瘍放射線医の見解は分かれている、とNCI癌治療評価プログラムのDr. Richard Little氏は述べた。「長期にわたって追跡調査した初のランダム化試験として初めて公表されたこの臨床試験のデータから、放射線治療を省いた治療を早期ホジキンリンパ腫の標準治療とすべきだと解釈する人が多いでしょう」とLittle氏は言う。 「しかしながら、患者や医師のなかには、放射線治療の省略によって早期の増悪がわずかに増加することを嫌う人もいるため、全症例において省略されることはないでしょう」。

—Eleanor Mayfield

【写真、原文参照】ホジキンリンパ腫は、リード・ステルンベルグ細胞という大細胞が現れることを特徴とする免疫系の癌である。この細胞は、病状が進行するにしたがって増加する。写真提供Wellcome Images

******
盛井有美子 訳
林 正樹 (血液・腫瘍内科/敬愛会中頭病院) 監修
******

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  2. 2がんに対する標的光免疫療法の進展
  3. 3遺伝子変異が多いほど、免疫チェックポイント阻害薬の奏...
  4. 4リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  5. 5コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  6. 6BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  7. 7若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  8. 8FDAががんプロファイル検査の承認経路を公表
  9. 9ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  10. 10治療が終了した後に-認知機能の変化

お勧め出版物

一覧

arrow_upward