血中循環腫瘍細胞と癌幹細胞は乳癌予後不良に関与する(乳癌シンポジウムより)/M.D.アンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

血中循環腫瘍細胞と癌幹細胞は乳癌予後不良に関与する(乳癌シンポジウムより)/M.D.アンダーソンがんセンター

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血中循環腫瘍細胞と癌幹細胞は乳癌予後不良に関与する(乳癌シンポジウムより)/M.D.アンダーソンがんセンター

大量化学療法併用幹細胞移植による治療を実施した転移性乳癌患者の生存に対する細胞の影響
M.D.アンダーソンがんセンター
2010年12月10日

大量化学療法併用血液幹細胞移植前または移植後に血中循環腫瘍細胞(CTC)が存在する転移性乳癌患者では、生存期間が短くなることがヒューストンにあるテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らによる新規研究の結果明らかとなった。
本研究について2010年10月10日第33回CTRC-AACRサンアントニオ乳癌シンポジウムのポスターセッションで報告された。

さらに、血中上皮細胞の出現率が高いか、特異的細胞移行のある患者は、より高い乳癌再発率を示した。

「本研究から情報を集積することにより、われわれは最終的にこれらの分子マーカーを用いて転移や再発の出現可能性が高い患者さんを予想できるようになるかもしれません。そうすれば医師は患者さんがより良い転帰を得られるように、患者さんそれぞれにあった治療法をデザインできるようになるでしょう」と本研究の共責任著者でありMDアンダーソンがんセンター血液病理学部門教授であるJames M. Reuben博士は述べた。

幹細胞には共通レセプターがある
大量化学療法に続き自己造血抹消血幹細胞移植(ASCT)を実施すると、転移性乳癌患者の一部ではある程度寛解がみられる。しかしながら骨に広がった腫瘍細胞は造血幹細胞と共に動員、移動し乳癌再発の危険性が高まる。

「われわれは乳癌細胞には造血幹細胞と同様のCXRX4レセプターがあるため、血液幹細胞の移動を確認するため上皮成長因子を用いた方法により腫瘍細胞を移動、または動員できるかもしれないと考えました」とReuben氏は述べた。

上皮間葉移行(EMT)は転移の重要な役割を担うと考えられている。上皮細胞は臓器の表面や体腔を覆い通常は移動しない。間葉細胞は移動性で、例えば損傷修復時など多様な細胞に分化することができる。EMTではEカドヘリンの抑制がみられ、細胞間接着力が低下し細胞の可動能が増加する。固型癌の約80%は上皮組織由来と推定されている。

血中上皮細胞とCTC検出法
アフェレーシスにより移植前の転移性乳癌患者21人から血液幹細胞を採取した。CTCレベルを決定するため、血液サンプルはアフェレーシス実施前(ベースライン)と移植1カ月後に採取した。

「われわれは上皮細胞および幹細胞マーカー染色法を用い、フローサイトメトリーにより測定しました。そして上皮細胞と癌幹細胞の割合を計測し、どのように患者の生存に関係するのか考察しました」と、MDアンダーソンがんセンター血液腫瘍学部門の研究科学者であり本研究の共筆頭著者であるHui Gao博士は述べた。

細胞と生存率の関係
移植後フォローアップ期間中央値は16.4カ月。フォローアップ期間中8人は癌消失状態を保ち、13人が再発した。再発期間中央値は9カ月、生存期間中央値は14.4カ月であった。

CTCは移植前には6人、移植後には9人の患者で検出された。移植前に5個以上のCTCが検出された患者は全生存期間がより短かった。移植後に5個以上検出された患者は無再発期間、全生存期間共により短かった。

CD326+上皮細胞の割合が中央値以上の患者は無再発生存期間が短く、そうでない患者の23カ月に対し10カ月であった。また間葉細胞特性のみられた患者は、そうでない患者の23カ月に対し無再発生存期間は短かった。

次の段階へ
研究者らは近い将来プロスペクティブ研究を実施したい考えである。

「もし確実に間葉細胞特性 のあるCTCをターゲットとすることができれば、もっと効果的に癌をコントロールすることができるでしょう」とMDアンダーソンの乳腺腫瘍内科、幹細胞移植、細胞療法部門教授であり、本研究の共責任著者であるNaoto T. Ueno(上野直人)医学博士は述べた。

Gao氏Reuben氏Ueno氏のほか共著者は以下の通りである。
from MD Anderson: Bang-Ning Lee, Ph.D.; Evan Cohen, B.S.; Michelle Davis, M.S.; and Antonio Giordano, M.D. Michael Mego, M.D., Ph.D., National Cancer Institute, Slovak Republic; and Massimo Cristofanilli, M.D., Fox Chase Cancer Center

本研究はテキサス大学ヘルスサイエンスセンター、米国国立癌研究所、テキサス州 Rare and Aggressive 乳癌研究プログラム、 アメリカン航空スーザン G. コーメン乳癌財団 助成金から資金提供を受けた。

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武内 優子 訳
原 文堅(乳腺/四国がんセンター)監修
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原文


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