[ 記事 ]

臨床試験に通常不適格とされる患者に対する安全かつ有効な薬物治療/M.D.アンダーソンがんセンター

  • 2011年12月25日

二次疾患があり選択肢がない急性骨髄性白血病(AML)・骨髄異形成症候群(MDS)患者に対する薬剤併用法
M.D.アンダーソンがんセンター
2010年12月10日

急性骨髄性白血病(AML)および骨髄異形成症候群(MDS)と新規に診断された患者で、他の疾患や全身状態(PS, 病勢進行の指標)不良のために臨床試験から通常除外される患者に対する安全かつ有効な2剤併用法について、今週開催の第52回米国血液学会年次集会で報告があった。
「われわれの知見は、これらの患者の参加を第1相及び第2相臨床試験から除外している現在の適格基準が不適切である可能性を示唆しています」。テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンター白血病部教授で、現在進行中の第2相臨床試験の初期結果を発表したGuillermo Garcia-Manero医師はこのように述べた。当該患者は標準治療にも不適格とされる。

AMLまたはMDSと新規に診断された患者で、二次癌など他の疾病を有する患者または全身状態不良の患者は、治療しなければ60日以上生存することはない、とGarcia-Manero氏は述べた。PSの測定は、患者の状態を0(活動性に制限なし)から4(完全な機能障害)にスコア化するEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)の基準によった。

今回の第2相臨床試験では、ECOGのPSが2(身の回りのことはできるが労働はできない、起きている時間の半分以上体を起こしている)よりも上の患者および他の疾病がある患者のみを対象としている。

今回の試験参加者のような合併症を持たないAMLおよびMDS患者に対しては、5-アザシチジンとボリノスタットの併用は安全かつ有効であることが知られています、とGarcia-Manero氏は述べた。

今までのところ、AML患者9人とMDS患者18人の計27人の治療を行った。年齢の中央値は69歳で、44歳から83歳の範囲であった。追跡期間中央値3.6カ月で24人中20人が60日以上生存した(83%)。患者1人は治療中に死亡し、2人は試験から外されたのち病勢進行のため死亡した。

この薬剤併用法の効果が評価可能であった患者は15人で、うち7人(46%)が完全奏効となった。また、患者2人(転移性肉腫併発1人および乳癌併発1人)に病勢安定が認められた。

これまで生存期間および奏効に関する臨床試験の中止基準に達した事例はなく、本試験は今後も継続されいずれの中止基準にも達することはなさそうだ、とGarcia-Manero氏は述べた。

「本併用法は予後不良の患者に対しても臨床試験適格の患者と同程度に安全かつ有効なのです」とGarcia-Manero氏は述べた。

Garcia-Manero氏らはまた、これらのMDS患者における生存期間の予測のため、他の病気(いわゆる併存疾患)の存在を考慮に入れた予後診断モデルをすでに開発している。

アザシチジン(商品名Vidaza)は、遺伝子のプロモーター部分から突き出たしおりのような分子であるメチル基を失って発現が抑制された遺伝子を再活性化する。ボリノスタット(商品名Zolzinza)は、DNAという糸にくっついたビーズのようなタンパク質であるヒストンに遺伝子のアセチル基が接着するのを防ぐことにより遺伝子を活性化する。

両薬剤ともに十分な数の腫瘍抑制遺伝子を再活性化し、AMLおよびMDSに有効である。

本研究における他の研究者は次のとおり。
Elias Jabbour, M.D., Tapan Kadla, M.S., Zeev Estrov, M.D., Jorge Cortes, M.D., Patricia Ann Boone and Hagop Kantarjian, M.D.(以上M.D.アンダーソン白血病部), Elihu Estey, M.D.(ワシントン大学フレッド・ハチンソン癌研究センター)。

本臨床試験はボリノスタットの製造者であるMerck社およびアザシチジンの製造者であるPharmion社の資金援助を受けている。

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橋本 仁 訳
林 正樹 (血液/腫瘍内科医)監修
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原文


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